【感想】プロ司書の検索術―「本当に欲しかった情報」の見つけ方

入矢玲子 / 日外アソシエーツ
(11件のレビュー)

総合評価:

平均 3.9
3
4
2
1
0

ブクログレビュー

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  • あかた

    あかた

    最近司書さんという存在が気になる。
    図書館に毎週通うと好きなNDC分類ならだいたい把握しているが、それ以外の分類は全然わからない。
    検索方法については一般のウェブ検索でも活用できる。
    タイトルにサブタイトルを誤登録されているものなどは見落としていた。
    65冊目読了。
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    投稿日:2024.03.31

  • 司書KODOMOブックリスト(注:「司書になるため勉強中」のアカウントです)

    司書KODOMOブックリスト(注:「司書になるため勉強中」のアカウントです)

    司書の資格を取る勉強の為に読んだが、もっともっと早くこの本に出会いたかった。

    メモ
    p.25 グーグル一本槍の検索で手詰まりになった学生に:「では一緒に検索しながら、データベースの使い方や、キーワードの発想法を覚えましょう。検索はコツをつかめばどんどん精度が上がります。同時に、『あ、こんな関連情報があった、これは使える!』と知見が広がっていくのも醍醐味です。ちなみに図書館や司書を上手に使うと、調べる力は各段に深まりますよ。」

    ・データベースは世界中に無数にあって迷うが、最も使いやすく便りになるのは、各分野の「定番」である。その分野の専門家なら誰でも知っているデータベース。

    ・データベースの内容は千差万別で検索方法にもそれぞれクセがある。特徴を知り、複数のデータベースの長所を組み合わせたり、弱点を補い合うといった軽やかなサーチが○

    ・日外アソシエーツがネット公開している「図書館員が選んだレファレンスツール2015」が役に立つ。データベースは自分のお気に入りをリストアップしておくと○

    ・検索が行き詰った!→司書がおススメする打開策は
    ①「複数の情報源で探す」
    登山では、多くのルートを知っていてベストを選ぶか、一つしか知らないルートで行くかは命に関わる。研究やビジネスも同様、行き詰まったら情報源探しに立ち戻るのがおすすめ。
    ②「信頼できる情報源で探す」
    主観や感情、商業的な意図、悪意の嘘や扇動。インターネットは混沌としており、もたらされる情報は玉石混合。情報の検証方法を活用して信頼性を獲得して。
    ③「複数のキーワードで探す」
    二の矢、三の矢を放つことは、一発必中のウデを磨くと同時に、豊な余慶の獲得につながる。だから司書は、最初のキーワードで「検索の目的を達した」と言う方にも「別のキーワードも試しませんか?」とささやきかけるのである。
    例:「森林」について調べたいなら、「山林」「樹林」「山岳」「forest」
    ④「思い込みを外す」
    レファレンスをしていると、利用者の思い込み、うろ覚え、もの忘れ、誤解、誤認、錯覚、先入観は多い。いったん信じると思い込んでいることすら気付かないのが人間。③の別キーワードに当たることも、自分の思い込みに自力で気付けるきっかけとなる。
    ・混沌の中で虚実を手早く見分ける検索方法6つ
    ①できるだけ学術情報を活用する
    学術論文とは、学術研究の成果として生み出された情報のこと。国や高等教育機関が絶えず検証し、正確に作成するための厳密な基準が何世紀もかけて学際的・国際的に築かれてきたもの。査読(専門家が内容を評価、検証)している。
    ②信頼できるサイトを選ぶ
    サイトの信頼性は、URLの末尾にある「トップレベルドメイン」でチェックする。
    【.go.jp】日本の政府機関、各省庁所管の研究所等が登録できるドメイン
    【.ac.jp】academic 国公立大学や私立大学など
    【.gov】government 主としてアメリカ合衆国の連邦政府機関や各州の自治体などで使う
    【.edu】education 主としてアメリカ合衆国の教育機関で使われる。ほぼ大学のみで使われる。
    ちなみにグーグルでトップレベルドメインを指定できる。設定→検索オプション→サイトまたはドメインに.edu .gov などを入力。
    ③信頼できる出版者、著者を選ぶ
    各出版社の名著を読むなど、自分なりの出版社の鑑識眼を養う。
    「新聞の記事が信頼できるか?」の問いをよくきかれる(新聞に対する社会全般の信頼度が揺らいでいる)ので入江さんは「内容の判断はできません。しかし、『この新聞が何年何月何日に、こう報道した』というのは事実ですよ」と答えている。
    ④記述の正確性を見る
    「~らしい」「かもしれない」などの表現、伝聞、推測表現は信頼性が低い。根拠があるのか憶測なのかを見極めて。「ある研究によると」「という数字がある」も信頼せず確認すること。初歩的な誤字脱字のあるサイトも内容に精密さを欠く。
    ⑤複数の情報源で確認する
    複数のサイトから同じ情報を得られたからといって信頼性が高いとは限らない。なぜならそれはコピペを重ね、孫引き、ひ孫引きとなったものなのかも。出典が明記されているか等検証する。オリジナルのコピー元を探すこと。また、検索上位に来たサイトが信頼できるとも限らない。
    ⑥自分自身の常識を疑う

    ・司書とは「情報の案内人」広い視点から適格なアドバイスができると◎新しいコンテンツ、データベースの使い方が変わったetc
    ・p.38 司書は「創造の同伴者」。研究者は自分の専門分野ではデータ探しの達人だが、専門外では必ずしもそうではない。一方で、研究の独創性を深化させるには、着想の宝庫ともいえる未踏の分野からも情報を横断的に集める必要がある。それを手伝い、積極的な提案もするのが司書の役割の一つ。歴史の専門家に経済学の最新研究を知らせる、社会学の研究者に文学雑誌で見つけたエッセイを渡す、そういうふうに異文化の資料を紹介するのも○

    ・レファレンス
    p.42 相手の思い込みや無意識のウソに巻き込まれることなくプロの判断力を保て。
    『5年くらい前の新聞で見た』と言われたら10年前までさかのぼれ。『毎日新聞で読んだ』と言われたら『サンデー毎日』もあわせて調査せよ。

    入矢さんの司書としてのカンの鍛え方:
    p.44 入職直後の五年間は、年刊約2万点におよぶ本の発注と受入れをし、その後の五年間は目録の作成を行う。様々な本の書名、著者名、出版社、目次、序文を読む日々。利用者から情報を求められた時、バラバラな小ネタが頭の中で結びついて「そういえばあの本!」とスパークするようになった、入矢さんのカンの原点はここにある。

    ・情報検索は本探しを基本とする。本には専門情報が最も豊かにあり、また、情報はメディア→記事→論文→本→辞典や事典に載るという手順をたどる。本は情報としての成熟を終えた形だといえるから。

    ・p.51 世の中で起きていることを『知る』には新聞がベースとなり、世の中で起きていることを『理解する』には書籍がベースになる

    ・検索で満足な結果が得られない時に、軽やかに気分を変えてウィキペディアにいくのも◎。必要な情報(作品がどの本に収録されたかとか)やキーワードが拾えるかも。また、検索ワードに冠詞が抜けていてヒットしない(「Echonomist」だと思ったら「The Echonomist」だったとか)もウィキペディアで正式名称がわかったりもする。

    p.86・「芋づる式情報術」のススメ
    情報Aに接したらAで紹介されていた本Bを読み、次はBがふれていた人物Cについて調べるというやり方。自然と広汎な情報を俯瞰できるようになる。(といういみでネットだけでなく本の情報収集はおすすめ)
    ・ネットの芋づる式情報術「人物メモ」
    人名からのアプローチ。新聞データベースでテーマを検索し、コメントしている学者や識者を見つけてメモする
    →CiNiiやOPACでその人の論文や著作を探す。テレビの情報番組や特集などで「お!」と思う発言をしていた人もメモをとると情報のツテが広がる。

    ・「データベースで検索する前にまずはグーグルからあたろう」ではなく、学術を対象としたグーグルのサービス「グーグルスカラー(Google Scholar)から入るのが○。それでもなかったら図書館に行ってデータベースを使う。

    ・p.99 グーグルスカラーの検索窓の下には「巨人の方の上に立つ」と書かれています。物理学者のアイザック・ニュートンが使ったことで知られる言葉です。私たちが先人よりも遠く広く見渡せるのは、私たちの方が優れているからではなく、積み上げられた先人の業績の上に立って世界を眺められるからだ、という意味を表しています。「先人の積み重ねた業績に基づいて創造、発見する」という謙虚な態度と、事故の人類史的な役割を忘れるなということです。

    ・医療についての情報を求める人は増えている。
    その背景に、患者に十分な情報を伝えて治療の合意を得る「インフォームド・コンセント」が進んでいることがある。それに伴い、患者への情報提供を目的とした一般向けの診療ガイドラインもつくられるようになった。このガイドラインを探すには日本医療機能評価機能が提供する「Mindsガイドラインライブラリ」「東邦大学・医中誌診療ガイドライン情報データベース」もおすすめ。
    ・キーワードをタテ、ヨコ、ナナメに考える
    【ヨコ】類語、日本語なら英語(庭園→ガーデン)、人物なら幼名、いみな、フルネーム、通称、愛称、送り仮名の違い(「申し込み」「申込」申込み」)、カタカナ語(「プリンタ」「プリンター」「ウイスキー」「ウィスキー」)
    【タテ】上位概念と下位概念。一般的⇔個別的 抽象⇔具体 広義⇔狭義 
    【ナナメ】人物について調べるなら、「業績・思想・出身地・上司や部下・著作・思想・性格・生きた時代」などなどをキーワードにしてみる

    ・AND,OR,NOT検索を極める
    ・ショートカットキーを覚えて使う
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    投稿日:2023.09.26

  • ネク

    ネク

    検索
     複数の情報源
     信頼できる情報源
      有料のデータは図書館で利用できる場合もある
     複数のキーワード
      検索結果の中から検索キーワード候補抽出
      関連検索
     検索の意図
      
    本の検索
     ndc + キーワード

     CiNii
      Books
       全国の大学図書館の蔵書を一括検索
      Articles
       学術雑誌の記事や論文検索
      Dissertations
       博士論文検索
     WebcatPlus
      連想検索
     国立国会図書館
     カーリル
     ジャパンサーチ

    雑誌、新聞
     領域外の情報にも注目
     人に注目
      人物メモ
       著作やインタビューをチェック

    統計
     e-Stat
     リサーチ・ナビ

    法律
     裁判所
    医療
     診療ガイドライン
      Mindsガイドラインライブラリ
     闘病記
      患者図書館で取り扱いがある場合も

    情報の信頼性
     学術論文
      インパクトファクター
       学術雑誌の信頼性
      論文の被引用数
      査読論文
     信頼できるサイト
      政府ドメイン
      教育機関ドメイン
     信頼できる出版社、著者
     記述の正確性
      以下正確性が低い可能性が高い
       伝聞、推測形式
       引用元の不明確なデータを使用
       誤字、脱字
     複数の情報源で確認
      メディアを変えて確認

    情報の発信
     複眼的考察
      正負
      事実と感情
      時間と空間
      定量と定性
     引用形式を正確に
      SIST
       参考文献の役割と書き方
     事実、意見と推測を区別
      推測より仮説

    キーワードの発想
     概略を調べる
      とは検索
     ノイズの量を確認
      ノイズが多い場合は概略を調べ直してキーワード候補を再度洗い直す
     検索結果を確認
      フレーズ検索
      検索の意図と合わせて確認
       そもそも
       結局は
       もしも?
       本当に?
       なぜ?
       本論を各論に分割
     キーワード
      ヨコ
       類語、同義語
        類語辞典
         weblio
       文字の種類
        ひらがな、カタカナ、漢字
         混在パターン
       漢字の異同
        匂いと臭いなど
       送り仮名の違い
        申込み、申し込み、申込など
       人名
       カタカナ語
        プリンタとプリンター
        ギリシアとギリシャ
         など
       英語のスペル
      タテ
       上位概念と下位概念
        一般的と個別的
        抽象と具体
        広義と狭義
      ナナメ
       連想
     英語でも検索
      国連
       ユネスコ
       WHO
       OECD
    情報
     デジタル
      所有権ではなく利用権
     ダークアーカイブ
      大学と出版社が共同で作ったバックアップ

    情報リテラシー
     情報へのアクセス
     情報の評価
     情報の活用
    続きを読む

    投稿日:2021.08.12

  • ゆきなし

    ゆきなし

    勉強になります…普段の仕事などではなかなかここまで使うことはないだろうけど、どういう検索ツールがあるか知っておくだけでも違うと思うので、メモをたくさん取りながら読みました。ここまで自分でグングン情報調べられたら楽しいだろうなあ続きを読む

    投稿日:2021.07.08

  • aya00226

    aya00226

    インターネットの深層webに情報の7~9割がある。検索には引っかからない情報。
    「図書館員が選んだレファレンスツール2015」
    「図書を探すBookplus」

    図書館のOPAC
    国立情報学研究所のCINII、
    国立国会図書館オンライン=国立国会図書館のOPAC
    国立国会図書館サーチ=全国の図書館をさがせる

    カーリル、ジャパンサーチ

    雑誌もISSN番号がついている。
    論文もDOIという識別子がついている。
    翻訳作品は、OPACで原タイトルを検索すればヒットする。または、「レファコレ」で翻訳図書目録を探す。

    『仕事に役立つ専門誌・業界紙』
    『雑誌新聞総カタログ』2019年で廃刊。

    日経テレコン。人物から追う方法。

    学術雑誌はciniiarticles、国立国会図書館オンライン、
    一般雑誌は、大宅壮一文庫雑誌記事索引。
    海外学術誌は、グーグルスカラー。

    政府統計はEstat。統計を調べるには「リサーチナビ」
    総合統計書、統計図書館、など。

    人物は、Whoplus、日経テレコンの人事検索。

    東洋経済デジタルコンテンツライブラリー。
    診療開度line「MINDSガイドラインライブラリー」
    「患者図書館」

    「ジャパンナレッジ」ネット上の小さな図書館。

    引用形式の解説書『レポート論文作成のための引用参考文献の書き方』

    情報のオンライン化で、使えなくなるリスク、資本の論理が過大化するリスク。オープンアクセスやダークアーカイブなどで対処。
    続きを読む

    投稿日:2021.04.05

  • gomapuchi

    gomapuchi

    読みながら、学生には大学に入ったらまずこの本を買って手元に置いてくり返し読んで欲しいと思った。

    次の二つは著者の思うところが書かれている7章から。

    『情報は万人に平等に無償で開かれるべきです。情報の平等が健全な競争の土台になるからです。』p.203

    『くり返しますが、小中高校に学校司書が配置され、基本的な情報リテラシーを生徒や学生が学べる未来が早く来てほしいものです。その時期に初歩の情報リテラシー能力がつけば、大学生にレベルの高い情報リテラシーを広範囲に教えられます。
    それは社会全体の生産性や生活の質の向上に寄与し、日本の研究やビジネスの競争力全体を高める問題解決策の一つになるのです。』p.226


    『教育格差』を読んでから、図書館にはなにができるのだろうと考えている。
    教員とは別の立場から地域の子どもたちや若者の学びを支えることができるのではないか、でもそのためには司書が安定して雇用されていることが欠かせない。地域住民の望むレベルの一歩先を提供することが必要だろうけれど、今、住民が望んでいないものにGOを出せるトップがどれだけいるだろう。どうやって説得したらいいのだろう、誰が説得すべきなのだろう。なにができるのだろう。
    続きを読む

    投稿日:2021.02.07

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