【感想】御曹司は獣の王子に溺れる

このレビューはネタバレを含みます

▼あらすじ
次期社長候補の御曹司が、事故で異世界に飛ばされた!!
しかも身元不明で拘束されてしまった!?
遠藤(えんどう)が送り込まれた先は、山奥に佇む廃墟のような城――そこに棲むのは、呪いで獣の姿にされたバスティアン王子だった!!
恐怖より先に白虎の美しさに心を奪われた遠藤は、側仕えを志願してしまう。
「お前は私が恐ろしくないのか?」
父王に疎まれ人間不信の王子は、遠藤になかなか心を開かず!?

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ストーリーの完全度：普通
トーン：コミカル・せつない
エロ度：低い
萌え度：普通
総合評価：★4.0

異世界転生ものでしたが、どことなく『美女と野獣』を彷彿とさせるお話でした。
最初、現代で生きていた頃の遠藤の冷徹な性格が好きになれなくて少し躓きかけたのですが、読み進める内にストーリーがだんだん面白くなっていったのでそのまま最後まで読み切りました。

王族なのに獣の姿をしている事から国民に忌み嫌われ、荒れた古城で孤独に暮らすバスティアンと異世界人である遠藤が心を通わすまでの過程が丁寧に描かれており、読み応えは十分だったと思います。
特に、遠藤の物怖じの無さと真面目な働きっぷりによってバスティアンの警戒心が少しずつ解けていく様子は読んでいて楽しかったです。
バスティアンも変わりましたが、やはり一番変わったのは遠藤でしょうね。異世界に転生してからの彼はまるで人が変わったように生き生きとしていて、転生できて良かったねって感じで(笑)

あと、遠藤と同じタイミングで事故に遭った遠藤の友人、永野についてもずっと気にかかっていたので、再会できたのは嬉しかったですね。
まぁ、転トラ(転生トラック)って大抵、助けようとした方もちゃっかり一緒に転生してたりするので永野の再登場は予想の範囲内ではありましたが、あのままお別れにならなくて良かったです。永野も幸せに暮らしてるみたいでホッとしました。

ただ、バスティアンの呪いの正体が遠藤のせいだとは思わなかったので、永野が明かした真実については驚きましたね。死んだ後に神様に頼んでそれぞれの望みを叶えてもらうという設定も、異世界転生もののテンプレの一つなのでセオリー通り過ぎてちょっと笑ってしまいました。永野がオタクっぽいのもちょっと面白かったです(笑)

でも、そこからの展開は駆け足気味で、特にバスティアンが人間に戻ってからのくだりは色々と都合が良過ぎて個人的には少しうーん…となってしまいました。バスティアンの兄の一件がお咎めなしなのもどうなの？って感じで…。
まさか最後、遠藤がママになるとは流石に予想だにしていませんでしたが…バスティアンも遠藤も子供たちも幸せそうなのでいいか(笑)
これからは差別に傷付く事なく、家族で幸せに暮らしてほしいですね(^^)

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