【感想】中世ヨーロッパの城の生活

ギース,J., ギース,F., 栗原泉 / 講談社学術文庫
(20件のレビュー)

総合評価:

平均 3.8
3
8
4
1
0
  • 堅めの入門書

    ギース夫妻による城、農村、都市という「中世の生活」三部作のひとつ。三部作といっても順番はあまり関係ない。むしろ内容的には三部作外の『中世ヨーロッパの騎士』(夫妻共著ではなくフランシス・ギースによる単著)と重なる所が大きい。
    生活以外にも城の構造の変化や封建制の基本的な所に関しても書かれている。中世社会史、生活史は文献が少ないこともあり、学術的なアプローチとしてはほぼ鉄板の入門書。ただ、それなりに堅い内容なので、大学生以上向け。

    「中世ヨーロッパ」とはいうものの、主に西暦1000年以後のイングランド(とイングランド支配下にあったフランスの一部)。他の三部作に限らず、同じ著者の他の本もこれは同様。(イギリス系の西洋中世史は割とそういう傾向)
    この時期のイングランドは王権が他国と比べると例外的に強い(ノルマン・コンクエストのせい)反面、領主権は比較的弱く(農奴の身体支配まで及ばないタイプ)、また税による軍役免除がいちはやく導入されるなど、中世ヨーロッパの典型としてはあまり適切ではないことに注意が必要(もし典型的な中世ヨーロッパなどというものがあるなら、という話だが)。
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    投稿日:2018.12.14

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  • shimooon

    shimooon

    11世紀から13世紀頃のイングランドの城と、その城や周辺に住む人々の生活を描く。

    イングランド以外のヨーロッパの城の紹介はかなり限定的なので、中世ヨーロッパの城の包括的な解説書というわけではない。

    イングランド史をある程度知っておいた方が読みやすい。
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    投稿日:2023.07.23

  • suy-c-k

    suy-c-k

    イギリス中心ではあるが非常に精密に中世の暮らしが解説してある。日本の世界史では学ばない内容も前提知識のように扱われている感じがあるので、より深く理解したい場合は別途知識を補完する必要があるように感じた続きを読む

    投稿日:2023.01.23

  • サマ

    サマ

    イギリスを中心に、中世の城の成り立ちから発展、構造、生活、戦時の各所の役割と運用、貴族や騎士の逸話など事細かに語られている。まともな世界史の知識がほぼ抜け落ちているので人物のつながりなどの話はついていけなかったのだが、細かな家計簿なんかを読んでいるだけでもかなり面白かった。実際的・具体的な話ばかりなので中世の人々の生活の息遣いが感じられるような気がする。構造が文字と白黒の遺跡の写真だといまいちわからなかったので、別の本で補完したいと思う。続きを読む

    投稿日:2021.01.14

  • Στέφανος

    Στέφανος

    チェプストー城◆城、海を渡る◆城のあるじ◆住まいとしての城◆城の奥方◆城の切り盛り◆城の一日◆狩猟◆村人たち◆騎士◆戦時の城◆城の一年◆城の衰退

    原書名:LIFE IN A MEDIEVAL CASTLE(Gies,Joseph;Gies,Frances)
    著者:ジョゼフ・ギース
    著者:フランソワ・ギース
    訳:栗原泉、翻訳家、セント・メリー大学(米国)卒
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    投稿日:2019.05.12

  • アカセン

    アカセン

    11世紀から13世紀のイギリス・フランスのお城にまつわるエトセトラ。年代も地域もバラバラのところからエピソードを寄せ集めて城の狩猟・城の騎士・城の立地などの項目を作ってるので、ウィリアム征服王・ヘンリー碩学王のノルマン朝や、ジョン失地王・ヘンリー3世のプランタジネット朝などの周辺事情に馴染みがないと、状況が把握しにくい。その辺りを諦めたとしても、騎士と武芸試合、季節ごとの祭、鷹狩の鷹の育て方、家令・侍従・執事の職務などなど楽しめる逸話はそれなりにある。お家の事情はさらっと流して読むか、勉強してから後で深く読みなおすのが吉。続きを読む

    投稿日:2018.10.20

  • かおるひめ

    かおるひめ

    ウェールズのチェプストー城を例に挙げ、
    中世ヨーロッパの城での生活を描きだす。
    何故このような城が作られたのか、
    どのような者たちが城にいたのか・・・等、
    豊富な資料で説明。
    戦略と防衛のために建てられ、領主の権力と富の象徴であった城。
    城の中には、領主の家族以外にも多種多様な仕事を受け持つ者や
    騎士たちがおり、また城の経済基盤となる村や荘園には村人がいた。
    城の中での生活、村人との関わり、狩猟、戦時と、詳細です。
    特に家令の家計簿の細かい記録!
    それと騎士の意外な実態!
    但し、文章が豊かな反面、図版が少々足りない感あり。
    トイレとか風呂とか、文章だけではわかりにくい。
    「中世の城日誌―少年トビアス、小姓になる (大型絵本)」と
    「カラーイラスト世界の生活史8 城と騎士」で
    補って読みました。
    続きを読む

    投稿日:2018.05.31

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