【感想】ルポ 児童相談所 ──一時保護所から考える子ども支援

慎泰俊 / ちくま新書
(20件のレビュー)

総合評価:

平均 4.2
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  • 一時保護所からの視点は新しかった

    これまで、いくつか児童相談所に関する本を目にしてきたが、一時保護所の視点から書かれたものは初めてだった。児童が保護されてから、児童養護施設や里親などのもとにいくまでに、このような現実、課題があるのだということを学ぶことができた。
    児相叩きでも、賛美でもなく、子どもの権利の視点から中立的に書かれているのが良いと思う。
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    投稿日:2018.09.30

ブクログレビュー

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  • 森 翔大

    森 翔大

    児童相談所の一時保護所の実態を、筆者が実際に過ごし、関係者にインタビューし、明らかになった一保による格差を目の当たりにした。年々増加する虐待件数、それ以上に保護される子どもも増加の一途を辿っているにも関わらず、増えない児相職員の数、繁忙感に駆られる職員の精神的疲弊、子どもへの苛立ち不十分なケア事情など、課題は山積み。都道府県でも格差、一保間でも格差があること自体問題であるし、心の傷を負った子どもをさらに追い込む現状はあってはならない。地域が児童擁護の役割を果たすことが重要とする筆者の考えは、至極ごもっともで、地域の住民が子どもを育てる思想を持つことが、親の負担を減らし、そもそも虐待を減らせる一因となるのではないかという考え方には強い共感を抱く。
    自分が何ができるのか、何を残せるのか、見つめたい。
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    投稿日:2024.02.24

  • finger0217

    finger0217

    講演会の講師となる慎氏の著作です。
    本人がライフワークの一つとしている、子どもへの支援の観点から、綿密な取材によって児童相談所(一時保護所)の実態を紹介しています。

    母子支援施設や児童養護施設などのほか里親などの社会的養護の下に入る前に、子どもたちが暮らすのが児童相談所に隣接している(ことが多い)「一時保護所」ですが、そこではさながら刑務所のように管理され抑圧されて暮らしている子どもが多く(もちろんすべての施設で、ではありませんが)、彼らがどのような暮らしをしているか、ということはあまり知られていません。

    児童福祉の観点から、
    ・どのような問題があるのか
    ・その原因は何か
    ・解決のために何が必要か
    の三点について、一般の読者にもわかりやすく解説されています。

    私自身の立場から、すぐに生活を変えてこの社会的な課題の解決のためにできることはほとんどないかもしれません。それでも、こういった「問題がある」ということを知り、その解決のために何が必要かということを考えることは「大人」として必要なことだろうと感じます。
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    投稿日:2024.02.04

  • ほたるいか

    ほたるいか

    わかりやすかった。児童相談所にくる子たちは悪いことしたわけじゃないのになって思う。親の影響で子どもが理不尽に苦しむという構図は「カルトの子」で書かれていたことと同じように感じた。

    投稿日:2021.10.06

  • 虹色

    虹色

    図書館で借りました
    一気に読み終えました

    児童相談所を叩く風潮や偏見は いつの時代も同じで 私はいつも疑問に思っています

    この本は偏見なく冷静に描かれていました
    とても良い本◎

    どこのどんな職場でも 少人数ではあるかもしれないけど高い志を持って働いている人は必ずいます
    反面 変な人がいるのも事実。
    これは今の社会の仕組みだから 変えることは難しい

    児童相談所は とにかく忙しいのではないでしょうか
    人も足りてないと思う 

    『一時保護委託』という制度。
    私も この制度はとても重要だと思う
    ここでの判断が子どもの将来を左右される要であると思う
    この制度をもっと充実させていくことが 著者と同じで 最重要課題だと感じました


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    投稿日:2021.03.11

  • あつし

    あつし

    堺や明石の件
    一方的な児相叩きをあおるような報道に疑問を感じて手に取りました

    おおよそ、疑問に感じたことが本書によって、「そうだよなー」と納得できました
    決して、どちらか側に偏らず、満遍なく取材をしている良書だと思います。

    一時保護は躊躇いなくするのが良い。これは間違いない。子の命を守るために
    その後に第三者機関で妥当性を早急に判断する
    児相の人員の確保と、施設や里親への一時保護委託を増やすことが課題
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    投稿日:2021.03.10

  • さぬきうどん人

    さぬきうどん人

    親の虐待や貧困、犯罪などで面倒を見てもらえなくなった子どもたちは児童相談所が管理する「一時保護所」で保護されることになる。その名の通り一時保護であるが、身寄りのない子どもにとって、すがるべき施設であり、重要な教育の場でもある。その保護期間中に子どもの自宅や親戚宅、里親など受入先が決められる。

    著者はいくつかの一時保護所を訪問し、時に宿泊もして、日本の一時保護所の実態と親と離れた子どもたちの生活について記す。

    本書を読んで一時保護所の一番の問題点は子どもの人権を無視した運用だろう。1人の人間を隔離し、衣食住を制限し、その終了日も明確にされない。しかも、その強制力の法律的根拠も薄い。逆らわない子どもといえど、こんな扱いでは将来に影響するだろう。とはいえ、子どもを野放しにするわけにもいかないし、一時保護所の人員や予算は限られている。

    著者はその解決案として一時保護委託を提案する。子どもを住む場所から遠く離れた一時保護所に送るのではなく、近隣の施設やボランティアなどに預けることだ。

    そんなの性善説に頼りすぎている、シロウトに子どもを受け入れさせるのは危険、と批判するのは簡単だ。しかし、高齢化社会での貴重な子どもを守り、教育することは社会全体の義務だろう。何かあれば、児童相談所に責任をかぶせておく時代じゃない。
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    投稿日:2020.02.19

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