【感想】「時刻表」はこうしてつくられる

時刻表編集部OB / 交通新聞社新書
(6件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • tagutti

    tagutti

    <目次>
    序章   鉄道の夜明けと時刻表の誕生
    第1章  活版時代の時刻表制作
    第2章  活版から電算写植へ
    第3章  『大時刻表』から『JR時刻表』へ
    第4章  『JR時刻表』で比較する50年今昔

    <内容>
    弘済出版社(現交通新聞社)は、JTBと共に時刻表を発行していた。最近時刻表を買わないので知らなかったが、JTBは、国鉄がJRになったときに時刻表から手を引いていたんだ。現在は『JR時刻表』一本なんだね。鉄道がどんどん無くなっていく中、今後の時刻表はどうなるんだろう。発売は約10年前で、もう変わっているんだろうね。
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    投稿日:2022.12.27

  • henahena1

    henahena1

     昭和30年代から始まった、毎月出ているあの分厚い「時刻表」がどう作られたのかを振り返る本。原稿作りから編集、校正作業の実際が、編集部OBによって語られた本。てっきりおれは「ダイヤがどう組まれるのか」という話かと思ったが、そうじゃなくて文字通り「時刻表」という雑誌がどう作られるのか、という話。
     いわゆる「スジ屋さん」の仕事の話に興味があって選んだけど(タイトルだけで選んで図書館で予約してしまったので)、まったくお門違いだった。でも割とすぐ読めそうなので、せっかくなので読んでみる。活版印刷、と言われてももはや何のことなのかよく分からんおれにとっては(なんか非常識?若者アピールしてるつもりじゃないんだけど)、昔のものすごい苦労話、という風にしか読めなかったのと、働き方改革の波に飲まれているおれにとっては「合宿」とか「出張校正」とか、もうとんでもない時代のギャップを感じて、何とも言えない気持ちになった。「一晩中タバコは吸われ続け、紫煙は濃い霧のように漂っている。その煙は一度も絶えることがなく、いつのまにか朝となる。朝になったのは掃除のパートさんがやって来るから分かるのである。朝方、一区切りつくと洗面所で脂ぎった顔を洗う。徹夜マージャンより疲れるなと、新人の編集部員そう感じたりしただろう。」(pp.32-3)とか、凄まじい描写がいくつかあり、この時代に生きてたらこんな働き方が善とされるんだろうなあとか、思った。体に悪そう。
     正直、あまり全体的に興味は持てなかったが、唯一、「冷静に校正を進めるためのテク」と続く「ベテランと『新米』の違い」、「重要ポイントは、こんな場所に(校正編)」のpp.78-83の部分は、仕事にもある一般的な事務作業やチェック作業に役立つ、あるいはヒューマンエラー防止の観点で参考になる、面白い部分だった。「精神衛生が大切」(p.78)は当然だろうけど、そういう心掛けや工夫をしながら仕事をすることの大切さが分かった。「『四面楚歌』に直面したときは、簡単なものから解決して、自分を取り巻く相手の数を減らす。」(p.79)というのは、これを読んで、おれが今実践している。(やや四面楚歌感がある今日この頃…。今このブクログを書けるのが嬉しい。でも半ばブクログ書くのも仕事みたいになっているのだけど)あとは、ベテランと新米の違い、のところは、おれも先輩、後輩がいて訓練をするような仕事に就いたことがあるので、すごくよく分かる。そこから得たおれの教訓は「経験と知識は両輪」、って当たり前かもしれないけど、本当にそう思っている。「ベテランは間違いが出やすい場所を知っているのである。つまり、過去に失敗した『すねの傷』をたくさん蓄えているのだ。過去の例を頭の中に整理しておき、『この状況下では、重要ポイントはここ』という場所で、過去例を即座に頭の中から引っ張り出してくる。ベテランが重要ポイントに目を置くと、新米さんはやはり予想通りのミスを犯しているものだ。」(p.80)というのは、納得。早くおれも「ベテラン」と呼ばれる域に達したい。あと、おれのもう1つの教訓と重なって嬉しかった(?)のは「『最後』は間違いが出やすい」(p.81)の部分。「人は無意識に『緩』と『急』をつけている。(略)最後は意外と緊張感が緩む。」(p.81)という分析があって、なるほどと思った。
     ということで、全体的にはおれにはよく分からないノスタルジーみたいなものが流れているこの本には正直興味は持てず、「時刻表制作関連用語」集、が巻末についていても、こんなの知ってどうするんだろう、と他の本以上に思ってしまった。「難読駅名」(p.84)は面白いかも。留辺蘂、御幣島、飫肥、薊野…。変換できるのか打ってみた。(20/09/20)
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    投稿日:2020.09.26

  • saga-ref

    saga-ref

    久しぶりの鉄道本。時刻表は当然のことながら各駅の正確な発着時刻が掲載されて当たり前。しかし、その編集・校正作業は他の書籍とは格段に違う大変な作業である。自分は日本交通公社の時刻表を愛用してきたが、A4版の大時刻表は気になる存在であった。JR時刻表が発売された時には、記念にJTB時刻表と一緒に購入したが、JR時刻表は後発のものという印象だった。続きを読む

    投稿日:2017.08.26

  • hoshi10

    hoshi10

    20年くらい前までの鉄道弘済社時刻表の作成裏話。なぜ、監修時刻表が、JR発足時にJTB版から鉄道弘済社版に変更となったのかという部分などは、とても興味深かった。

    投稿日:2015.05.12

  • tom-scotch

    tom-scotch

    時刻表制作の技術的な話と、時代と共に変遷した紙面について述べている。かなりノスタルジック。

    僕も昔は時刻表を読むのが大好きだったが、今やネットで見る時代。あの本屋に平積みされている時刻表はいったい誰が買っているのだろうか。続きを読む

    投稿日:2013.11.18

  • sazuka

    sazuka

    イタリアでは15分までの電車の遅延は遅延に入らず、ニューヨークでは到着予定時刻に「will be」と書かれている、では日本はというと、1分で遅延扱い。そんな日本の緻密な鉄道運行を支えた、というか期待させたのが、時刻表。ダイヤを組む、という意味ではなくて、利用者の手に渡る印刷物です。その時刻表の制作背景の今昔と、それに伴って鉄道サービスの変遷を語る、というか懐かしむ本。僕は鉄道にそれほど思い入れはないけれど、いつも時刻表って作るの大変だろうなあ、と思っていた。想像どおりというか、想像以上に大変そうだ。デジタル化されてスピーディになった部分はあるけれど、活版時代のもくもく(は、黙々と、紫煙にひっかけてみた)とした作業に、嫌だなあと思いながら憧れてみたりして。印刷、鉄道のどっちかにヒットすれば面白く読める、と思う。続きを読む

    投稿日:2013.07.08

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