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ヘルマン・ヘッセ, 高橋健二 / 新潮文庫 (29件のレビュー)
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総合評価:
ボーっとした人
1
一見あっさりしていても、味のある小説
ヘッセの小説の多くに共通するアウトサイダーといえる主人公たち。その中でこの小説のクヌルプは、何かに留まる生活ということが受け入れられないという主人公だと思います。 クヌルプは、込み入ったことになる…と逃げ出してしまうし、分かりやすく何かを生み出したわけでもありません。皆から好かれ、それでも放浪する生き方をする。いったい生きることの意味って何なのか、と考えさせられた小説でした。 続きを読む
投稿日:2016.08.11
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食いしん坊花子
漂白の魂、とは。
気ままな旅を続け、明るく朗らかに人々の間を渡り歩くクヌルプ。 そこには人生の軽やかさと美しさがあり。 そして最後の神との問答に、とても感動しました。 10代のころ憧れた「生きる」ということ。そして「…自由」。 この作品にはそれが描かれていました。 今も、ヘッセで何が好きか、と問われると 必ずクヌルプを挙げます。が 続きを読む
投稿日:2017.03.06
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daisuket
学生時代に読んだ『車輪の下』以来のヘッセ。初恋で傷つきエリート街道から逸れて漂泊の人生を歩むようになったクヌルプについて描かれた3編からなる作品。自由に漂うことを楽しみ羨ましがられることもありつつ、無…責任な孤独さをたしなめられたり自分自身でもどこか自分の人生を歩んでいないのではないかという他人事的な感覚もある歩み。そしてそんなクヌルプがその人生の歩みの最後の自身の人生をどのように総括するのか。時代背景や社会状況は異なってもクヌルプの傷つきやすさや感覚に共感する人は現代でも多いのでは。名作。続きを読む
投稿日:2023.12.10
おかにゃん
このレビューはネタバレを含みます
自由奔放に生きてきたけれど自分は何者にもなれなかった、と嘆くクヌルプに、人々に愛され、ときに嫉妬心を呼び起こさせる、それこそがお前の存在意義だったじゃないかと言い放つ神様。 この本を人生の本としてあげていた某私の推しさん、アイドルとしての存在意義をクヌルプと重ねたのかしら?…と思ったらなんか切なくなっちゃった。 他の方の感想を見ていたら、クヌルプを「我が家にやってきた猫」に例えていた方がいて、みんなを魅了してきたクヌルプの人となりがストンと理解できた!人間がこういう性格だと「ただのワガママじゃん」て思ってしまうところが面白いね。 猫はそうやって生きても「なんのために生きているんだ」とは悩まないだろうけれど(笑)
投稿日:2023.05.05
avec toto
「早春」「クヌルプの思い出」「最期」の3編から成る。 年上の初恋の娘に裏切られた時から、クヌルプの漂泊の人生が始まる。旅人となり放浪する彼は、自然と人生の美しさを見いだす生活の芸術家となり、行く先…々で人々の生活に灯りをともす。肺を病んで雪の中で倒れ、人生を後悔する彼に、神は彼らしく生きたと語りかける。 「早春」「クヌルプの思い出」と読み進めていて、この話の何が名作なんだろうかと、正直疑問に思った。クヌルプは、私には、わがままで厚かましく、自己中心的が過ぎるような気がした。誰もが彼を好いて、きれいな子供が屈託なく生き進んでいるかのように評し、放浪している彼に喜んで手を差し伸べている。それがなぜだか理解できなかった。 そのもやもやは最後までやはり残るが、「最期」の編を読むと、彼がいかにして絶対的な孤独を好むようになったのか、自然に包まれながらさすらうことを望むようになったのかが描かれていて、私にとってやや愛すべき人に変貌していき、独り死んでいく彼を憐れむ気持ち、慈しむ気持ちが不思議と湧いてきた。 クヌルプの死の場面は、この上なく美しい。子供の頃、フランダースの犬のネロとパトラッシュが天に召される場面を知った時の、深刻で強烈だった感覚と似ていた。 ☆神さまとクヌルプは、互いに話し合った。彼の生涯の無意味だったことについて。また、どうしたら彼の生涯が作り変えられ得ただろうか、ということについて。なぜあれやこれやがああなるよりほかなく、なぜ別なようにならなかったかということについて。 あるがままでいいんだ、何も嘆くことはない…何もかもあるべきとおりなんだ。 あの時こうしていれば、など、時々立ち止まって深い後悔に打ちひしがれたりは年を重ねれば誰しもあることだけれど、何もかもあるべきとおりなんだ、と大きいものに肯定されたようだった。続きを読む
投稿日:2022.09.30
真夏日和
孤独を愛することは誰かに依存してはいけないんやと、思う。クヌルプはけっこう自分勝手で自分大好き人間やから、孤独とはちょっと違うのかもしれない。人の好意をどう思ってるのかなとはめっちゃ感じたし、そばにい…たくないタイプかなーと思ってしまったですよ。続きを読む
投稿日:2019.02.22
まき子
何があっても、決断したのは自分で、それが自分らしさということと受け止めた。 うーん、今の自分には響かないなあ。
投稿日:2017.12.31
nokakiyama
雪降る中での神との対話は、これまでの人生の中でも有数の「あまりに美しい」文章だった。この美しさを求めて何度でもページを捲りたくなる、そんな一冊。
投稿日:2017.10.23
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