【感想】最高の戦略教科書 孫子

守屋淳 / 日本経済新聞出版
(75件のレビュー)

総合評価:

平均 3.7
14
23
23
5
1

ブクログレビュー

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  • Tickler

    Tickler

    本書が画期的なのは、これまでの孫子の解説書が踏襲してきた孫子13篇の篇に沿った解説という形式を捨てた第1部と、実業界や競技界の大物の言葉を大胆に引用しまくった孫子活用事例集的な第2部という構成にある。

    今までの孫子の解説書を、孫子というクラシックを楽譜に忠実に演奏したアルバムに例えると、本書は、孫子の有名フレーズだけ演奏した第1部と、ジャズやロックのミュージシャンがカバーした第2部という構成のオムニバスアルバムだ。

    最初、一読した印象では、なぜこの本がそんなに売れてるのかわからなかった。なんで孫子をぶつ切り解説してんだ?と思ってしまったからだ。孫子の解説書としては、山本七平の「孫子の読み方」のほうが、著者の戦争体験とも相まって迫力がある。

    再読してみて、本書が受けている理由がわかった。これって、オムニバスアルバムなんじゃないか?

    そう解釈すれば、ホルストの惑星を最初から最後まで聴くのはつらくても、平原綾香のジュピターならすんなり聴けるように、ヒットフレーズだけピックアップして今風のアレンジを加えた解説書として納得した。

    でも、やっぱり「孫子の読み方」の方が好き。
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    投稿日:2024.04.20

  • 2028043番目の読書家

    2028043番目の読書家

    孫子が残した言葉というのもかなり印象的だったが、それよりも応用についての言及が個人的には良し。
    一見すると、「こんな古臭い戦争についての言葉なんか現代にどう活かすんだ。」と思うようなものでも、抽象的に捉えると様々な事物に応用できるという考え方になるほどなと。続きを読む

    投稿日:2024.02.20

  • じょ~ろん

    じょ~ろん

    孫子は古典として長い間読み継がれており、一度は目を通したかったもののなかなか今まで機会がありませんでした。今回、良い解説書としてお勧めされましたので、手に取って読んでみました。

    「孫子の兵法」は、簡単に言えば「戦うためのテキストブック」です。もちろん、現代では命のやり取りが行われることは(少なくとも日本に住んでいるかぎり)ありませんが、それでもビジネスや生活の中で「やり直しの利かない一発勝負に身をゆだねるとき「こちらが望んでいなくとも、相手から戦いを挑まれるとき」が無いわけではありません。

    そういった際、あらかじめ兵法を知っておくことは決して無駄ではないと思うのです。

    また、実践に基づく記述であるからこそ長い間テキストとして生き残ってきたのであり、そういった意味でも有用な書と言えるでしょう。

    本書は単なる解説にとどまらず、特に現在の時代背景に当てはめた解説が秀逸であり、イメージもしやすいです。古典が初めての人にも、共感できたり身の回りのことに当てはめてみることができたりしますので、最初の一歩としてはお勧めできる内容となっています。

    私自身は、以下の点の記述がとても良いと思いました。迷ったときや困難に当たった時など、折を見てまた再読したいと思います。

    ・戦わずし勝つのが最良。

    ・まずは勝つのではなく『不敗』を維持することを目指す。

    ・敵の最も重視しているところを奪う。

    ・自分の生死や国の存否がかかる戦争では、周到な準備をするのが当たり前。

    ・自分は相手を意のままにできるが、自分は相手から自由にされないことが主導権の要諦。先手を取ることが主導権に結び付けられる場合、極めて勝負は有利に進められる。

    ・どんな部下に対してもまずは温情や愛情をかける。それが組織統制の優先事項になる。

    ・あるレベルで固執してしまっている何かを捨てることで、一つ上のレベルにおいて新たな可能性が開けてくる。

    ・約束は控えめに。実行はたっぷりと。
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    投稿日:2024.02.12

  • 米山隆一郎

    米山隆一郎

    初版2014年。

    「孫子」と聞いて古いと思う人もいるかもしれないが、この本は訳と解説の良さによって現実の様々な局面を想定して書かれているので、現在でも役立つとてもいい本である。生活・ビジネスにも応用できる。

    読み込むと勝率が一気に上がる。「彼を知り、己を知れば、百戦して殆うからず」が孫子の教えの中で一番人気があり有名で、奥が深い。

    もちろん他にも多くの言葉が書かれていて、それらの訳や解説を読んでいると、三次元的に頭の中でヒト・モノ・コトが動き出し、面白い本である。

    名著であり、何度も読みたくなる。帯にある言葉通り、「もっと早く読んでおけば良かった」である。
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    投稿日:2024.02.06

  • satomshr

    satomshr

    孫子の解説本という側面に加えて,後半には実際に活用するための解説もあり,いろいろ考える際の参考になった。分厚い本だが,孫子の漢文は読み飛ばし,現代語訳と解説だけ読めば,少しは負担軽減になる。孫子に出てくる話題以外に,空手の師範,棋士,スポーツ選手などの話題も絡めて考え方を説明しており,内容そのものは分かりやすい。ただ,本書の性質上,「いつでもこの考え方が正しい」とは言い切れず,各々が置かれた状況にこの考えを当てはめたときにどういう答えが出てくるか? は自分で考える必要がある。例えば「和」を作り上げた組織は持続性はあるが,外部勢力からは戦い慣れしていないひ弱な集団に見えるという指摘は,組織のリーダに対する大きな問いかけであり,私自身もハッとさせられた。続きを読む

    投稿日:2024.01.21

  • 横

    最高の戦略教科書 孫子
    著:守屋 淳
    紙版

    テーマごとに並べられた孫子を初めて手にとりました

    エッセンスを短時間で確認するのはいいかもしれない。版もA5だし、読みやすい

    孫子とは、奇襲を主戦とする短期戦であり、戦争論は、主力同士がぶつかる持久戦を想定している
    なので、孫子の言う戦とは、速やかに勝利してそして、短期で撤退する

    ・孫子の背景には、絶対に負けることができない、プレッシャーが強い
    ・100戦100勝しても、体力がなくなれば、別の敵にやられてしまう
    ・戦争とは、国民の生死、国家存亡がかかっている。それゆえに、最新の注意が必要である

    1部は、孫子のおさらいです

    ・最高の戦い方とは、事前の敵の意図をくじき、これを封じること
    ・次にすぐれているのが、敵の同盟関係を分断して孤立させること
    ・勝てるのであれば当たり前に勝ち、勝算がないのであれば戦をさける
    ・敵を知り、己を知れば、絶対に敗れることはない
    ・戦争とは騙し合いである
    ・状況に応じて戦う
    ・個別撃破、敵が少数なら、囲んで戦う、敵の分散しているところを、味方の集中している兵力でたたく
    ・敵の最も重視しているところを、奪取することだ、そうすれば敵を意のままに振り回すことができる
    ・まず、勝つ見通しをつけてから戦う、そうすれば無理なく勝つことができる、別に人から賞賛されなくてもいい
    ・迂直の計、あとから出発したにも関わらず、計略をかけて、敵を留め、先に戦場に到達する
    ・情報戦、スパイ戦

    2部は、現代への応用篇

    ・戦場に最低最悪の状況を想定する
    ・試行錯誤とは、何度でも戦うことができる小規模戦、臨機応変とは、絶対負けることができない戦闘における応用戦。臨機応変でなければならない
    ・ジリ貧でも、漁夫の利でも勝利は勝利
    ・重心を見ぬけ、そしてそこをつけ
    ・長期戦には、王道で。奇襲戦はなんども通じるわけではない
    ・孫子と孫子の戦い、個別撃破を計画すれば相手も個別撃破をしかけてくる
    ・勢いと育成、勝ちぐせをつけて、一歩でも前へ出る

    目次
    まえがき

    I部 『孫子』はそもそも何を問題とし、何を解決しようとしたのか

    第一章 百戦百勝は善の善なる者にあらず
    第二章 敵と味方の比べ方
    第三章 戦いにおける二つの原則――不敗と短期決戦
    第四章 兵は詭道なり
    第五章 情報格差のある状況での戦い方――各個撃破と急所
    第六章 情報格差が作れないときの戦い方 1主導権と裏の読みあい
    第七章 情報格差が作れないときの戦い方 2無形と勢い
    第八章 自国内での戦い方――地形とゲリラ戦
    第九章 勝は度から導き出される
    第十章 勝てる組織と将軍の条件
    第十一章 情報を制する者は戦いを制す

    II部 『孫子』の教えをいかに活用するか

    第十二章 そもそも人生やビジネスに、戦いなんて必要ないのではないか
    第十三章 そもそも戦略と戦術とは、どう違うのか
    第十四章 試行錯誤ばかりしていたら心が折れそうなんですけど
    第十五章 ジリ貧状態では、不敗なんて守っていられないのではないか
    第十六章 相手の急所をつけば、すぐに決着などついてしまうのではないか
    第十七章 詭道やだましあいなんて、品性下げそうでいやなんですけど
    第十八章 「各個撃破」なら勝てるのに、なぜ「選択と集中」では失敗するのか
    第十九章 追いつめる以外の「勢い」の出し方はないのか
    第二十章 弱者はどのように振る舞えばよいのか

    ISBN:9784532169251
    出版社:日本経済新聞出版社
    判型:4-6
    ページ数:384ページ
    定価:1800円(本体)
    発行年月日:2014年01月
    発売日:2014年01月24日1版1刷
    発売日:2014年02月27日4刷
    続きを読む

    投稿日:2024.01.05

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