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入山章栄 / 日経BP (90件のレビュー)
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総合評価:
shigehachiman
1
答えは自分の中にある
まず、経営学の研究は、実際の企業経営に役に立つ研究が行われていないという事実が述べられます。ここで最初に、頭を殴られます。 でも、それが何故なのかという説明がきちんとされています。 経営学は社会科学…の一分野であり、科学である限り普遍的真理の探求がその使命であり、個々の会社の経営についての事例は、普遍的真理とはなりがたいからだと述べられます。 そして、現代の経営学が何を探求しようとしているのか、そして今得られた知見にどのようなものがあるかを解説していきます。 私は、日本にある大学の経営学部出身ですが、経営学を「科学」と思ったことはありませんでした。それが、現在では、きちんと「科学」になったということを感慨深く読みました。 ただ、最新知見の紹介がちょっと長く感じられて退屈なところもあります。 ここは、★マイナス1。 読後には、経営学をいくら学んでも、会社経営の最適解を教えてもらえるものではないことを知るでしょう。経営判断の参考になる知見を得ることができても、最終的な経営判断は経営者が個別の会社に応じて判断すべきことだからです。そういうことが述べることのできる著者はとても正直な方だと思いました。 経済学者が株式で大儲けできないように、経営学者も会社経営がうまいというわけではないのです。そりゃ、会社経営したことがない学者が、会社経営に長けているとは思えないですよね。 この著者の姿勢に共感できる方は、是非読んでみて欲しいと思います。 学問は、常識を疑うことから始まることに納得できます。 また、途中と最後にアメリカの大学とビジネススクールの制度に触れている箇所がありますが、日本とアメリカの大学教育の違いについて知りたい方は、山内太地『大学のウソ』がオススメです。続きを読む
投稿日:2017.04.25
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サラリマヌス
経営層と話す機会も出てきたので一読。経営に関する論点と先端の知見を知れて面白かった。意思決定に携わる際に定石を知ってると立ち振る舞いに自信を持てるなと。書籍の性質上、本書は簡単な内容に留めていると思う…ので、他の著作で踏み込んだものがあれば読んでみたい。続きを読む
投稿日:2024.02.20
のんたタイ
このレビューはネタバレを含みます
最新の「経営学」について書かれた本。「経営学」は科学(データに基づく真理の追及)であって、実際の経営に使える実学ではない。 でも最新経営学理論の部分は整理して自分のコンサルティング資料にしておきたい。
投稿日:2023.06.05
せん
30-50代の副業はたしかに増えるべき 自分のお金の使い方も、不動産や証券にばかり向いていたが会社を買うのもありかもと思ってきた
投稿日:2023.01.29
necomeister
魅かれた所は戦略と事業の関係やトランザクティブメモリ、RBVの限界とか。 言われれば当たり前なのだが、会社が身を置いている市場において、フレームワークや考え方がどう役に立ち限界があるのかを教えてくれた…本。 とはいえ、この本だけで網羅する話でも無いので、古典を学んだ後に読むのが丁度良い気がする。続きを読む
投稿日:2022.09.19
aya00226
経営学が役に立たない理由 経営学は厳密である、知的に新しい、が必要だが、実務に役に立つ、とはトリレンマの関係にある。 経営学者は、実務に役に立つ必要があるとは考えていない。 役に立つためには、新しい視点よりも、現実のエビデンスが必要。 顔を付き合あせて生まれるトランザクティブメモリーが必要。 競争の形が違えば、求められる戦略は違うのが当然。 価格勝負ほど、ビジネスモデルが重要。 リアルオプション理論=不確実性が高い事業環境では、投資の柔軟性を高めれば、リスクを抑えつつ、チャンスを逃さないことができる=投資の柔軟性を高める。 知の範囲を広げることと、知の探索=深めることの両方が必要。企業は深めることに傾きやすい。 両方できることが大事=両利きの経営 看板方式はスーパーの引き取りを取り入れた。ヤマトの宅配は、吉野家の単品経営からヒントを得た。大規模小売店と地元商店の共存共栄からセブンイレブンを日本風にアレンジした。=知の探索。 組織の知は、コンポーネントな知(部品ごとの知識)とアーキデクチュラルな知(組み合わせデザイン)に区別できる。 初期はアーキテクチュラルな知によって製品を作り出す。標準化してドミナントデザインが出来上がると、コンポーネントな知で改良するが、新しい組み合わせは出現しにくい。新しいアーキテクチュラルな知を創造し続けることが大事。 イノベーションと創造性(クリエイティブ)の違い=創造性は既存の知を新しく組み合わせて新しいアイデアを生み出す力。イノベーションはアイデアを実現する力。創造的な人ほどイノベーションを起こせない。 弱いつながりのほうが、拡散しやすい=新しい組み合わせが起こりやすい=創造性が発揮されやすい=クリエイティブ=チャラ男 イノベーションは、製品化と実行=強いつながりが必要=根回しオヤジ 知の探索のためには、組織全体の学習は遅く、学習速度が混在していて、メンバーが一定の比率で入れ替わること。特に不確実性が高いとき。 トランザクティブメモリー=who knows shat を高めるとフォーマンスが高まる。コミュニケーションを高めるが、メール電話より、直接顔を見ることが大事。インフォーマルな会話の重要性。平場のオフィス設計(アスクルの例)フェイストゥーフェイスの仕掛けを作る。総合商社には、高い水準のトランザクティブメモリーがある。 ブレストではアイデアは出ない。気兼ね、他人の評価を気にすること、などから思い切ったイデアが出ない。集団で話すときは思考は止まり勝ち。 反面、ブレストは組織全体の記憶力を高める=シェアードメンタルモデル。ブレストでアイデアが出なくても悲観しない。そもそも組織の記憶力や価値基準を共有するところに意味がある。 失敗体験と成功体験はどちらが大事か。 成功体験はその後の成功率を上げる。しかし大事なのは失敗体験。失敗を十分に重ねてから成功する組織がその後も活躍する。アリババおジャックマーは、受験から起業まで失敗の連続だった。若いうちは失敗経験を積め。 グローバル企業とは。 北米、アジア太平洋、欧州の3か所を主要市場とすると、すべての市場で20%以上の売上があるのは少ない。日本で3社。ホーム地域への異存が高い。他地域では商売はしているが通用しない。ソニー、キャノン、マツダ、トヨタは欧州では少ない。 FSA(ファインスペシフィックアドバンテージ)ではなく、PSA(レジオナルスペシフィックアドバンテージ)を持っている。そのまま世界で通用するFSAにはならない。 世界はグローバル化していない。情報化で国同士の距離の影響はむしろ増えている。世界は狭くなっていない。距離の弾性値が高い傾向は、アニメゲームポルノなど嗜好性の高いデジタルコンテンツ取引で顕著。世界はフラット化ではなく、スパイキー化しつつある。VCは、特定の地域に集中するスパイキー化が進む。スパイキーグローバリゼーションを前提にすると、国単位ではなく各都市が連携することが有用。 ダイバーシティ経営は必要か タスク型の人材多様性とデモグラフィー型の人材多様性。タスク型はプラスの効果があるが、デモグラフィー型は同質なグループで対抗するのでマイナス効果がある。デモグラフィーが多次元になれば、組織内の軋轢は減るので、パフォーマンスは高まる可能性がある。中途半端なダイバーシティがよくない。 ホモフィリー=人は同じような属性を持った人とつながりやすい。健康な人は健康な人と。つながった相手から影響を受けやすい。 社内では、女性は男性人脈に入りにくい。また女性人脈は薄い。男性人脈と女性人脈をうまく使いこなせる人が女性として成功しやすい。 リーダーシップ=トランザクティブリーダーシップ(アメとムチ)=実務家、トランスフォーメーショナルリーダーシップ(啓蒙)=カリスマ。不確実性が高いときほど、カリスマが必要。 女性のほうがトランスフォーメーショナル型になりやすい=リーダー像と女性像という矛盾したイメージを克服するために、カリスマスタイルになる。 リーダーの話法=イメージ型の言葉とコンセプト型の言葉。イメージ型のほうがカリスマ性を発揮しやすい。情景を語る。比喩(メタファー)を使う。 トランスフォーメーショナル型のリーダーのほうが、内発的動機付けを高めやすい。新幹線清掃のテッセイの例。 同族企業は日本だけに多いわけではない。アメリカもSP500の1/3が同族企業、全体では雇用の6割は同族によるもの。日本では上場企業の3割。 同族企業のほうが業績が良い。物言う株主としての同族。企業と一族を一体とみなす。社内外の優秀な経営者を放棄している。身内の経営に甘くなりがち。 婿養子による経営が最強。日本の養子の98%は大人の養子。日本の上場企業の3割が同族企業。婿養子の企業のほうがROEが高い。 アシックスの尾山氏(娘婿)、松井証券の松井道夫氏、スズキ自動車の鈴木修氏など。 同族だが、外部経営者という例。LIXIL、カルビー、サントリーなど CSRは業績を高めるか。 周囲からの評価が高まる。人材強化、イメージ効果。広告費を使うBTOC企業のほうが効果が高い。 情報開示効果により資金制約が緩和される。ネガティブ事件による株価の落ち込みが少ない。 CSRは、情報開示することが前提。=自らを律する機会になることも一因。 起業活性化のための方策 事業のたたみやすさ(リアルオプション理論)=倒産法(チャプターイレブン)。日本も法整備では悪くない。 キャリアのたたみやすさ=倒産したあとに、職に就けるか。日本では難しい。 ハイブリッド起業家=勤めながら起業する。スウェーデンでは半数近くがハイブリッド型。起業を辞める人もいる。 副業は、安月給を埋めるものではない。労働契約における誠実義務で副業も認められていない。 企業家精神=アントレプレナーオリエンテーション=革新性、積極性、リスク志向性 4条件=サーチ行動(現状を疑い、疑問をもつ)、知の探索、知の深化(深堀り)、トランザクティブメモリー(who knows what) 儲かる条件は、産業か企業そのものか=産業効果は4割、企業効果が6割。業績がよい企業は企業効果が見られる。業績が悪い企業は産業効果に左右される。 リソースベーストビュー=何が価値があるリソースか。市場によって変わるべき。しかし経営学では一側面に着目して議論することが多い MBAでは、ケース分析が大事。部分だけの分析では実際の企業を評価できない。 知の競争をする経営学者は、ドラッガーを読むヒマはない。 経営学者とMBAの教育者と一般図書を書く人との違い。
投稿日:2022.02.04
あああら 1646886番目の読書家
ビジネススクールでは学べない世界最先端の経営学 経営学は答えは示せない。 あくまで思考の軸、羅針盤である 2017年1月16日記述 入山 章栄氏による著作。 早稲田大学ビジネススクール准教授。 慶應義塾大学経済学部卒業、同大学院経済学研究科修士課程修了。 三菱総合研究所で主に自動車メーカーや国内外政府機関へのコンサルティング業務に従事した後、 2008年に米ピッツバーグ大学経営大学院よりPh.D.を取得。 同年より米ニューヨーク州立大学バッファロー校ビジネススクール助教授。 2013年から現職。Strategic Management Journal, Journal of International Business Studiesなど 国際的な主要経営学術誌に論文を発表している。 本書によると経営学の最先端はMBAの教科書に反映されていないのだという。 意外な思いもするが、考えてみるとやむを得ないのかもしれない。 大学でも学部レベルで学問の先端についてわかるはずがないからだ。 ましてMBAは2年間くらいだろう。 じっくり教える時間もないのかもしれない。 P16で紹介されているようにAOM(アカデミーオブマネジメント)の世界大会に参加する各国の参加人数の内、日本は33人。(2015年) 韓国でも154人。 台湾で134人なのだからこれは人口比を考えても 日本の少なさが目立つ。 野口悠紀雄氏が2004年にスタンフォード大学に教えに行っている時に日本人留学生の少なさを指摘していた。 しかし留学生だけではなく研究者のレベルにおいてすら既に同様の傾向を持っている。 日本人の英語力(特にエリートの)は確実に落ちているとしか言えない。 他に印象に残った部分を紹介してみたい。 経営学を上手く使っている方々の多くは、答えそのものよりも経営学の知見をあくまで「思考の軸・ベンチマーク」として使っている メタアナリシス・・過去の統計分析の結果を、さらに統計的に総括する手法。 競争の型が違えば、求められる戦略は異なるのです。 イノベーションの源泉の一つは、「既存の知と、別の既存の知の、新しい組み合わせ」にあります。 人間はゼロから何も新しいものを生み出せません。 従って、常にいまある知と、それまでつながっていなかった別の既存の知が新しくつながることで、新しい知が生まれるのです。 *企業はどうしても知の深化に偏り、知の探索を怠りがち。(コンピテンシートラップ) 知の探索のためには「幅広い人々から多様な情報が効率的に流れる」ネットワーク上にいるほうが有利です。そしてそのようなネットワークは「弱いつながり」からできているのです。 従って、弱いつながりの人脈を多く持つほうが、人はクリエイティブになれるのです。 従業員の創造性の高さ⇒アイデアの実現の関係は、その人が(1)実現へのインセンティブを 強く持ち、(2)社内に強い人間関係を多くもっている場合にのみ、大きく高まる。 組織の学習効果、パフォーマンスを高めるために大事なのは、 「組織のメンバー全員が同じことを知っている」ことではなく、「組織のメンバーが他のメンバーの 誰が何を知っているかを知っておくことである」というものです。 英語で言えば組織に必要なのはwhatではなくWho knows whatであるということ。 直接対話することが組織の学習効果を高める。 シリコンバレーのハイテク企業の中に遊び場を設けて社員の直接対話の機会を増やすことをしている。 コーヒー飲み場、お茶飲み場を設ける企業もある。 ブレストはアイデアを出すのに効率が悪い。ただし組織の記憶力を高めるのに役立つ。 世界始業を北米、欧州、アジアに分けた時全ての地域でホームの売上が5割以下などにまんべんなく売り上げる構成になっている企業はわずか。他の2地域に2割以上の売上。 365社のうちで言えば9社だけ。(2001年時点) IBM インテル フィリップス ノキア コカ・コーラ フレクストロニクス モエヘネシー・ルイヴィトン SONY、キャノン の9社。 マクドナルドやトヨタも入っていない(トヨタやホンダも欧州では苦戦している。世界の3地域で まんべんなく打ち上げられていません。 ⇒優れた多国籍企業でも、その優位性はホーム地域では威力を発揮するが、他地域では通用しない 日頃からCSR活動をきちんとしていれば、企業イメージや透明性が向上し、いざネガティブな事件に巻き込まれても、投資家が極度の不信を起こさずに済む ハイブリッド起業・・会社をやめずに会社務めをしながらそれと並行して起業すること世界でもハイブリッド起業が増えている。フランス18% スウェーデン32% オランダ68% 日本の起業活性化案の一つとしてサラリーマンの副業推奨は大いにアリだと。 米国には2013年時点で2774の四年制大学があります。 そのうち研究大学と呼べるものは百数十くらい。 AAUという選ばれた研究大学だけが所属できる団体に属している大学は全米で60だけ。 このAAUの基準は厳しく、研究パフォーマンスが悪いとメンバーから外されてしまう。 米国のビジネススクールの教授の3タイプ タイプ1・・査読論文を学術誌に掲載することを主戦場とする経営学者 (上位ビジネススクールでは大半を占める) タイプ2・・教育中心の教授 (ヨッフィーやバブソンカレッジの教授などに代表される) タイプ3・・査読論文を学術誌に掲載するのではなく、一般書籍など別のかたちで 経営学や実務家に幅広く影響を及ぼす経営学者 (ポーターやクリステンセンなど) これは米国だけではなく日本にも当てはまる気がする。 本来は大半の大学で求められているのはタイプ1ではあくタイプ2であろう。 経営共創基盤の冨山和彦CEOの主張する大半の大学は職業訓練校化するべきだと。 G(グローバル)型とL(ローカル)型にわけよという議論とほぼ通じる。 タイプ3は野口悠紀雄氏のような存在であろう。 世の中にどれだけ訴えかけたいかどうかという動機次第という所だろう。 まあ、本人次第。ウェットなコラムかけるとか学術論文とは違う文才が必要。
投稿日:2022.01.11
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