【感想】なぜこの店では、テレビが2倍の値段でも売れるのか?

山口勉 / 日経BP
(4件のレビュー)

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  • obirin_hori_seminar_2019

    obirin_hori_seminar_2019

    【何事も先入観を取り払うことが大切。】

    もしあなたが小売業者なら、どういう戦略で経営する?大手量販店のような薄利多売をするのか?あるいはAPPLE、シャネルのような厚利少売をするのか?もしこのような問題を知りたく、あるいは将来小売業界に興味がある人がいるなら、この事例は教科書レベルといっても過言ではない。店の名は「でんかのヤマグチ」、東京都町田市にある店だ。町田はヨドバシカメラ、ヤマダ電機などが密集する激戦区。「でんかのヤマグチ」はそこに生き残った理由は何だろう?一緒にこの本の中で答えを探そう。
    ヤマグチの経営方法は薄利多売、厚利少売のどちらでも言えない。「厚利長売」という経営方式だ。字面通りに、高い値段で利益を得って、お客さんと信頼関係を築き、長い間で経営活動をすること。大手量販店の包囲網から脱出するの切り札は量販店ができない「高売り」だ。一見、大手量販店ばかりの町田で「高売り」戦略で勝ち抜くどころか、生存さえも問題になると見えるが、ヤマグチの計算を見たらどうだろう。
    高売りなら売り上げが減少するのはほぼ決まっていることだ。しかし、粗利益(売り上げ-仕入価格)が35%だったとしたら、どうだろう?実は売り上げが三割減っても赤字にならず、前と同じぐらいの経営利益が出せる。ヤマグチの計算を見ればわかるだろう。売上高10億円で粗利益率25%の時、粗利益額は2億5000万円になる。販管費(販売費および一般管理費)が2億だと、営業利益は5000万円。もし、10億円の売上高が3割減って、7億になったとしよう。粗利益率が25%だと、粗利益額は1億7500万円になる。販管費が同じ2億円だと、2500万円。の赤字が出る。しかし、粗利益率は35%だったら、どうだろう。売上高7億円だと、粗利益額2億4500万円。販管費が同じ2億円ならば、営業利益は4500万円の黒字になる。これが、ヤマグチが自ら探した生き残った策だ。
    他にも徹底したアフターサービスや、お客さんの来店を推進するキャンペン、自分の講演の報酬を社員たちに配る「おしゃれの感謝金」など様々な経営戦略がある。まるで経営のツール本みたいなものだ。もし興味があったら是非読んでもらいたい。
    私がこの言葉を好きな理由は、これだと思う。ますます社会人ぽくになる私たちにとって、先入観を抱くものを判断するのがますます普遍になる。しかし、先入観で判断するなら人間が一番大事な創造性の役割がだんだん弱くなるだろう。大人は子供より強いところはたくさんなるが、想像力や創造性などの領域はどうだろう。子供が経験も少なく、先入観がまだ形成しないから発想が活発だと思う。だから大人も先入観の籠から解放して、物事を考えするのはどうだろう。      
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    投稿日:2019.07.24

  • japapizza

    japapizza

    東京・町田にある「でんかのヤマグチ」では、他の家電量販店よりも高い値段で商品を販売している。社員数40人ほどの街の小さな電器店にもかかわらず、最も多い時には6店もの大型店に囲まれながら、15期連続で黒字を続けているという。仕事柄、この業態には関心を抱かざるを得ないのだが、久しぶりにやればできるのだと驚いた。口で言うのは簡単だが、どれだけサービスを徹底しても高値で商品が売れるというのはにわかには信じられないからだ。たいへん興味深かった箇所を以下引用。

    「顧客数が1万3000件であれば、訪問販売と店舗の営業担当者が合計18人ほどですので、1人当たりの担当顧客数を訪問販売の営業で400〜500人、店舗の営業で500〜700人にできます。このうち、本当の上得意客と言えるのは、3分の1の150人ほど。1日5軒訪問すれば、30日で1周できる計算となります。
     このように少なくとも、上得意客には最低でも月に1回は会いに行けるようにしました。そして『何かお困りごとはありませんか』という御用聞きをする。そのうえで、住居は一軒家かマンションか。どのような間取りか。家族構成は何人か。持ち家なのか借りているのか。といった具合に、より深く顧客を知ろうと心掛けました。」

    「でも本当は『顧客がかゆくなる前にかいてあげる』くらいの気配りが必要だと思っています。電球が切れたときに、他の部屋は大丈夫かどうかをさりげなく調べる。エアコンや室外機のフィルター交換も、お客さんが気付く前にヤマグチが『そろそろフィルターを交換された方がいいのではありませんか?』と先回りして気付いてあげるといったことです。」

    「ちなみにヤマグチは高売りだから、『顧客はお金持ちばかりでしょう』と言われることがありますが、これは誤解です。ヤマグチの顧客にいわゆる富裕層と言われるようなお金持ちはあまりいません。
     あえてお金持ちを顧客として積極的に狙っていく、という売り方もしません。むしろお金持ちは経験上、価格にシビアな気がします。買い替えを勧めても『まだ使えるからいいよ』といって、何十年も使われているお金持ちの顧客もいます。
    ですから、ヤマグチの顧客は普通に会社を勤め上げて、定年になって年金で暮らしているような方が大半です。」

    「ヤマグチは家電量販店なのですが、1999年からリフォームも始めました。というのは家電の訪問販売で顧客の自宅に定期的にお邪魔しているうちに、親しくなった人からこんな要望が出てきたからです。
     『そろそろ自宅のリフォームを考えているんだ。どこかいいところ知らない?』
     『台所をちょっと直したいんだけど何とかならないかしら』」

    「この修理部門では家電を売り込む営業活動はしていません。修理の顧客は修理だけしてほしいのです。修理してほしいのに、新製品を勧められると嫌な感じがしてしまいますよね。修理で顧客が期待しているのは、いかに素早く直してくれるか。新製品を買いたいと思っているわけではありません。
     修理は修理。購入は購入。両者のニーズは似ているようですが違います。顧客の期待はどこにあるのか。それを見誤ると顧客を逃すことになりかねません。
     修理は部品代と人件費くらいしかかかりませんから粗利率は高いのですが、額自体はそれほど大きくありません。しかし、私はそれでいいと思っています。なぜなら、修理はすること自体に意味があるからです。
     修理部門は顧客のためだけでなく、会社を守ることにもつながります。
     …
     どの店で購入した家電もすぐに直してくれる修理部門があると、ヤマグチで購入したことはないけれど、『ヤマグチではどの店で買った商品も直してくれるんで便利だったよ』という顧客の声が広がることになります。」

    「2010年10月のことです。『包丁研ぎ器』を20台ほど購入しました。店頭で販売するわけではありません。これも顧客サービス向上の一環です。
     外回りの営業担当に包丁研ぎ器を持たせて、御用聞きの際に包丁研ぎもしてあげたら、喜ばれるんじゃないかと思い付いたのです。包丁を研ぐと、切れ味は格段に増します。しかし、普段の生活の中では、なかなか自分で砥石や包丁研ぎ器を買ってまで、包丁を研ごうとは思わないものです。
     もともと、包丁研ぎ器は、…ある社長が、『店頭で販売したり、訪問販売したりするときにウチの商品も一緒に売ってくれないか』と売り込みに来たものです。砥石は人工ダイヤモンドで、確かに品質は良いものです。しかし、ヤマグチのお客さまに売るには、やや高価でした。」

    「ヤマグチでは扱っていない商品が2つあります。パソコンと携帯電話です。…
     その理由は単純で、儲からないからです。パソコンや携帯電話は価格競争が激しく、しかもアフターサービスが大変です。『動かなくなった』といったトラブルが起こる割合は、冷蔵庫などの白物家電の比ではありません。
     …
     本来は顧客にとって幅広い品ぞろえを提供した方がいいことは言うまでもありません。しかし、売る側の負担が大き過ぎる場合は別です。自分たちの実力に見合っていない製品を売っても、売る側にも顧客側にもメリットはありません。」

    「顧客の反応はイベントの内容によってまちまちです。
     もっとも反応が良い11月の男爵祭りでは、送付数の25〜30%が来店します。」

    「ヤマグチでは顧客全体の1万1000世帯の6割弱がクレジット会員です。このクレジット会員は、年会費2780円をいただき、現金不要・サインでお買い上げができるというものです。
     さらにパナソニック製品には完全5年保証、即日修理訪問(午後4時まで受け付けた分)、家電製品安全保険(火災などでの電化製品の損失を20万円まで保障)など、5つの特典を付けています。」

    「釣った魚にはエサをあげない、という言葉がありますが、ヤマグチは逆です。何しろ、『売ってからが商売の始まり』を口ぐせにしているのですから、むしろ売った後の方が大事なわけです。
    例えば、ヤマグチではIHクッキングヒーターを使った料理教室を定期的に開きます。…
    普通の考え方であれば、これからIHクッキングヒーターを買おうと考えている見込み客を集めるための料理教室だと思うかもしれません。しかし、ヤマグチでは逆です。この料理教室の参加者の多くは、ヤマグチでIHクッキングヒーターを購入された顧客です。もちろんIHを持っていない人も参加できますが、本当の狙いは既に購入した人へのアフターサービスにあります。」
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    投稿日:2018.10.08

  • 123456qaz

    123456qaz

    「日本の会社はいいものを作ることが得意だ。ヨーロッパの会社はものを高く売ることが
    得意だ」 ヴィトン、シャネル、フェラーリ

    東京都町田市 でんかのヤマグチ

    値段のことは構わないから、ヤマグチから買いたい

    売り上げから仕入れ額を引いたのが粗利益額 35%目標
    「これからは、高売りだ。35%の粗利益率を目指そう」
    社員に卸値、仕入れ値を公開

    裏のサービス 担当地域を巡回中、タクシー代わりに送ってあげる、留守番、植木の手入れ

    お客様にしたことシート 裏サービスは何をしたか?
    包丁研ぎ器 普段の生活では買ってまでは使わない→顧客サービス化

    シマウマカー

    サービス券→客の使い勝手を考えて3ポイント制 ☆多いと集める気になれない→ポイントカード不要

    メーカー系列の地域販売店網→価格決定権を流通サイドに奪われない。☆昔の日本

    営業には武器が必要 顧客名簿
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    投稿日:2015.07.31

  • tennstedt

    tennstedt

    4ステップ(販売後定期フォロー☞顧客化)
    利益率を高める
    悪いイメージ、噂は出さない(敵は作らない)、プラスに持っていく
    粗利=売上
    すべては先回り!!
    信頼関係をあげてから、気を使う!!
    二人以上の社員が目に入らない。視界にも気を配る☞滞在時間を伸ばす。
    2本のベルト☞企業からDMフォロー
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    投稿日:2013.04.04

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