【感想】ディアスポラ

グレッグ・イーガン, 山岸真 / ハヤカワ文庫SF
(42件のレビュー)

総合評価:

平均 4.2
17
14
5
3
0
  • あまりの壮大なスケール

    あまりの壮大なスケール。はっきり言って難しすぎてついていけない所があるが見事な大法螺イーガン節である。すばらしい。

    これまで読んだ作品と比べるとユッタリとしたストーリーで、解説の大森望氏が指摘するようなビークル号的古典的冒険譚の香りもある。もう少し異世界の細部をギリギリ書いて冒険譚風味を出して、という気はするが、それじゃテーマとそれるし冗長か。続きを読む

    投稿日:2016.10.10

ブクログレビュー

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  • 司書KODOMOブックリスト(注:「司書になるため勉強中」のアカウントです)

    司書KODOMOブックリスト(注:「司書になるため勉強中」のアカウントです)

    「30世紀、人類のほとんどは肉体を捨て、人格や記憶をソフトウェア化して、ポリスと呼ばれるコンピュータ内の仮想現実都市で暮らしていた。ごく少数の人間だけが、ソフトウェア化を拒み、肉体人として地球上で暮らしている。“コニシ”ポリスでソフトウェアから生まれた孤児ヤチマの驚くべき冒険譚をはじめ、人類を襲う未曾有の危機や、人類がくわだてる壮大な宇宙進出計画“ディアスポラ”などを描いた、究極のハードSF。」続きを読む

    投稿日:2023.12.01

  • ゆん

    ゆん

    このレビューはネタバレを含みます

    ディアスポラ、ようやく読みました。正直今までのイーガンの本の中では一番わかっていないで読んでいる部分が多かったと思うのだけど、話自体はなんとか追っていました。作中人物ほど、何かが明らかになった時に驚嘆できないのが残念だけど仕方がない笑

    解説の大森望の言葉が最大級の賛辞でぜひ引用したい。
    グレッグ・イーガンは、疑問の余地なく、現在の地球上で最高のSF作家である。…SF史全体を見渡しても、思考の徹底度においてイーガンを凌ぐ可能性があるのは、かろうじてスタニスワフ・レムぐらいだろう。イーガンはほとんど独力で現代SFの最先端を支えている。…「グレッグ・イーガンがSF作家でいてくれてよかった」という気分になるのが主観的宇宙論三部作だとしたら、SF読者にとっての『ディアスポラ』は、「いままでSFを読んできてほんとうによかった」という気持ちにさせてくれる小説だ。イーガンと同時代に生きているしあわせを心から喜びたい。

    ここでもう全部述べられている気はするのですが、残念ながら『ディアスポラ』を読んでも、「いままでSFを読んできてほんとうによかった」という深い感慨にまではたどり着けなかった。おそらく先に三体を読んでいるからで、もし三体以前に読んでいたらきっとそういう気持ちを得ていたのではないかなと推測している。三体の方がわかりやすかったのもあり、途方もない彼方まで飛んでいくということに対してドーパミンドバドバにはなれなかったよう。それを考えると三体、それから他のSF作品で『ディアスポラ』に影響されている作品は山ほどあるんだろうなあと思う。とはいえ最後読み終わった後の読了感は何とも言えない、じーんとしたものだった。どうしてここまできたのか?に対する答えが態度として理解されたときの感動(言葉でなく)がそこにあった。

    といいつつ、私はむしろ最初のヤチマが自我を持つまでのシーンに感動を覚えていた。生命の誕生ともいうべき工程が丁寧に描かれ、そこで自分なるものが発生する神秘・不思議に惹かれた。
    あとはオーランドとアトランタで会うところもそのあとのトカゲ座の災害のシーンも好きだったな…。イノシロウ…(ちょこちょこ日本っぽい名前出てくる)

    そして本作でもメインテーマの一つは「私とはだれなのか?」というアイデンティティの問題。
    「別の目標を見つけて、それを新しい目標に決めることはできるだろうけれど…そのときもぼくはぼくなのか?」(p.237)

    「ぼくらの現状は、それとは正反対だ。際限のない選択肢がある。ぼくらがほかの宇宙航行文明を見つけることの必要な理由は、それだ。…ぼくらは同じ決断に直面して、いかに生き、なにになるべきかを理解した他者を見つける必要がある。ぼくらは、宇宙に存在することの意味を知る必要がある」(p.290)
    ここは後のパオロ・ヤチマの先へ先へという原動力に繋がる場面でもあるけれど、心打たれたシーンだった。ともすると、もうなんとなくやるべきことをやったと思いがちな人生において、まだまだやるべきことがあるだろうと叱咤激励してくれる。まあパオロは最後やるべきことはやりつくしたとなるのだけど、それはあそこまで行ってこそ、そう思っていいのだと思いました。

    それにしてもイーガンはどうしてこんなに彼方まで自分の想像力を飛ばせるのか、不思議でならない…
    「…だが何兆タウものあいだに、ハーマンは人生経験の記憶の大半を消去し、十回以上も人格を書きかえていた。以前パオロはきかされたことがある。「おれは自分自身の曾々々孫だと思っている。死ぬのもそんなに悪いものじゃないね、何度にもわけて経験するなら。それは不死と同じだ」(p.298)

    次は残していた主観的宇宙論三部作の三作品目である万物理論を読む予定。

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    投稿日:2023.08.25

  • daisuket

    daisuket

    めちゃくちゃ読むのに時間かかった。そして全部理解できたとは言い難い。それでも「読んでよかった、SFってすごい」と唸らせる。宇宙はどのように広がっていて、人類はそれをどのようになら体験・知覚できるだろうかという想像力の限界に挑むハードSFの極地。続きを読む

    投稿日:2022.12.22

  • さんごり

    さんごり

    このレビューはネタバレを含みます

    順列都市が私達の精神がデータ化されるまで、また自律するAIが誕生するまでの話だとしたら、これはデータ化された私達が幾重にも別れて(データ化されているので、クローンを生み出すのは簡単です)さまざまな宇宙に拡散し、探索をするさらに未来のお話でした(根源的には、未来の滅びを避けるための手がかりを探索の目的にしています)。
    私達が気づいていないだけで、私達の生きる空間はトランスミューターのような存在とは既に繋がっているのかも。トランスミューターが進化の果てに獲得したのが、あらゆるものに干渉しすぎない「自制」の力であったことがとても印象的でした。
    3次元以上の世界って想像するのが難しいですが、かなりイメージが掻き立てられます。
    あと、主人公のヤチマのようにマイペースに生きることは辛くなく生きるコツなのかなと思いました。イノシロウ、オーランド、パオロ…様々な人物の末路が描かれますが、自分の中に生きることの答えを見出したヤチマの行き方は最も自分自身という存在にとって幸福なことのように思います。

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    投稿日:2021.05.06

  • atsushi

    atsushi

    順列都市が面白すぎて期待値を上げて読んでみたが,完全に置いていかれた..
    話が全然入ってこなかった.

    投稿日:2019.10.04

  • 水琴桜花

    水琴桜花

    難解さで知られるイーガン作品のなかでも、比較的とっつきやすいと思います。
    人間の、というより知性のアイデンティティを極限まで突き詰めた小説です。

    ちなみにとある漫画で「イーガンを理解している人はいないけど、理解したふりをするのが通の読み方」みたいなことを、さもSFあるあるっぽく言ってました。
    そういう斜に構えた読み方はせず、純粋に楽しみましょう。
    続きを読む

    投稿日:2019.07.07

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