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長野まゆみ / 河出文庫 (29件のレビュー)
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間違って覚えていた
長いこともうひとつの作品「銀木犀」と混同していた。以前読んだ話と似ている、しかしこんな話だったかしらんと首をかしげていたのだが、氷解した。 秘密めかした冷ややかなとりつく島のない兄、水路の向こうの秘密…の庭、花の時期ではないのに香る木犀。夏の話なのにひんやりした水気に包まれるような物語。続きを読む
投稿日:2017.02.27
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春谷(はるや)
このレビューはネタバレを含みます
約20年ぶりに再読。 長野まゆみ作品を読むこと自体が約15年ぶりくらい。昔ファンでした。 いやぁ耽美ですね! 懐かしいというか、当時は登場人物達に萌えながら読んでいたのだけど、やっぱり久しぶりに読んでも、きょうだいのつれない感じに萌えますね(笑)。 あと自然風景の描写がさすが緻密で美しいのだが、しばらくこの世界から離れていた私には情景を想像するのが難しかったです。当時の私は理解できていたのだろうか。 簡単なあらすじ。 夏、祖父の家で療養している兄・夏織を訪れた弟・柊一。冷たい態度の兄に焦がれる柊一は、お土産の硝子の小魚を渡そうにも渡せない。 常に眠っているイメージの祖父に読み聞かせを兄と交替ですることになった柊一は、本にはさまれた兄が描いた絵を見つける。署名にはなぜか「カンパネルラ」。 兄が午後から川をボートで漕いでどこかへ行くのを気にした柊一は、兄の秘密の隠れ処であろう場所を見つける。 と同時に、兄の描いた絵が変化していく……。 なぜ、カンパネルラと署名したのか?絵にはどんな秘密が隠されているのか? と謎を追いつつ読み進められたのが楽しかった反面、明確に謎が解明されないまま終わりました。 だいたい耽美、幻想的な作風というのは、ストーリーではなく世界観に耽溺するものなので、何がどうなったとハッキリ解明するのも野暮なんですが。 たぶん、夏織は、みんな大好きカンパネルラ(銀河鉄道の夜)その人だったか、もしくは、カンパネルラに惹かれて連れ去られた結果カンパネルラ的存在になったか。つまり、柊一が祖父の家を訪れた時点であの世の人だった、もしくは死後まもない状態だったか。 要するに、兄が天上へ旅立とうとする時の柊一の心情をファンタジックに描いたのがこの作品なのかな。祖父も生きてんだかよくわからない存在だし、河畔の風景も柊一の心の中の風景なのか……、 とか解説しちゃうとなんか、やはり野暮ったくなってしまいましたね。 幻想は幻想のままが良いのですね。 最後は柊一も兄の後を追っちゃうのかな? カンパネルラに呼ばれて、三途の川を渡るのか渡らないのか。 またいろいろと再読したいな〜と思うけど作品数が多いので読破するにはかなりかかりそう。
投稿日:2023.03.06
23
・12月8日に読みはじめ、10日に読み終えました。 ・長野まゆみのつめたくつれない少年、妖しい少年、翻弄される少年…… うれしい。柊一と一緒に夏織を探している気分になった。 ・硝子の魚を夏織に渡せていたら、夏織のことを繋ぎ止められていたのかなとかなんとなく思う。夏織の真意は語られないままだったので、全然わかんないけど。夏織も柊一もカンパネルラに手を引かれたのか翻弄されたのか…… ・最後に追っていた背中が「兄さん」から「少年」に変わったところ、よかったな。顔も曖昧で存在も危うくなっていた夏織が、ついにほどけてしまった、そんな感覚。 ・「文藝」2001年夏号のインタビューを読んでみたら、「木のうろ」ではなく、「木が密になっているところにちょうど人ひとり入れるというもの」とあった。『カンパネルラ』のことではなく『銀木犀』のことっぽいんだけど、どちらも双子のような作品と言っているので同じように思っても良いのかな? 宿り木や冬虫夏草のようなイメージ、とあって、宿り木の少年なんて耽美すぎる…… と思う。木に取り込まれてしまったとか、そういう雰囲気でなんとなく把握していたものが「宿り木」とかしっかりしたことばで言われると、なんかインモラルな感触を覚えてしまうな…… ・初期の長野まゆみは耽美に振り切ってるなと思った。書式も相まって…… でも生と死の境目にいるような少年はずっと出てきてるよな~…… 続きなのか、似たような感じのやつなのか、『銀木犀』という作品があることを知ったので、なんとか手に入れたい。新刊書店じゃあまり売ってないんだよなこのへんのは……
投稿日:2022.12.11
solala06
出、出た~~~~~~~~~~ 長野まゆみの伝家の宝刀、病弱なのに上から目線兄とそれに焦がれる弟~~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!! しかも共倒れENDっぽいよ!!!!!!!!!!そうだね、…長野まゆみ的銀河鉄道の夜メリバ二次創作だね続きを読む
投稿日:2022.03.13
kumapooooo
ほわほわと存在感のない人々が、ほわほわと同じ場所を行ったり来たり。ロケシーン少な過ぎの低予算映画かよ!って小説だけど。 まぁ存在感のなさで言うなら爺ちゃんは本当に存在したのか謎。死んでんじゃねーのか。…爺さんを殺してその罪悪感に苛ませるままに幻覚に囚われて第二の人格お兄ちゃんを生み出して最終的には誰もいない一人きりで爺ちゃんを埋めたところに生えてきた銀木犀がすくすく育って犯罪がバレる、という話になってた。嘘だけど。 そんなこんなで実際にはほわほわだった。続きを読む
投稿日:2021.02.13
shokomama
カンパネルラと言う題名で選んだ本でしたが、長野まゆみさんの少年アリスを読んだ事があるので期待して読みました。子供の頃銀河鉄道が本当に走っている光景を信じていた幼い私。カンパネラはザネリを救うために川へ…入りそのまま帰ってこなかった、夏織も又帰って来なかった、その存在すら曖昧になっていった。カンパネルラは宮澤賢治ファンにとってむやみに使う事は許せないのですが、私の中ではOKでした。続きを読む
投稿日:2020.02.23
橘
こちらも夏の清涼剤でした。 夏織は初めから居なかったのでは…と思います。 柊一とのやりとりしか無いですし。柊一は夏織が療養していると思っているけど、既に他界しているのでは。。 こちらの長野さんはどんど…ん自分が不安定になっていく感覚があります。でも不快では全くなく、心細いけれどどこか陶酔してしまいます。続きを読む
投稿日:2019.08.25
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