【感想】山椒大夫・高瀬舟

森鴎外 / 新潮社
(117件のレビュー)

総合評価:

平均 3.7
22
36
31
7
2

ブクログレビュー

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  • jube

    jube

    何十年も前に、この『鶏』を読んだ時に、とてもイラっとしたのを思い出す。今もそうだが、この”別当”のタイプの人がものすごく嫌いなのである。足元をみて、じわじわとグレーゾーンで悪いことというか、セコいことをするヤカラ。人のものを自分のもののように使い、勘違いする。この別当の延長線に最近大きな問題になった某球団をクビになった犯罪者のような人に繋がるのかと思う。
    石田は吝(けち)ではあるが、美学のある人物として描かれる。美学、というか良えカッコしいというか、めんどくさいというか、、そこらへんもわからんでもない。腹が立っても言わない人っちゅうかねぇ。ほんま、わからんでもないが、モヤるのである。

    「鶏なんぞはいらんと云え。」

    執着、という言葉を考えさせられる話でもある(主観)。
    この時代の軍人(位の高い)的な、というか、
    石田(森先生のアバター)の教育者向きの部分を感じなくはない。
    細かいことは思うけど言えない、モヤっとしつつ
    表向きはポーカーフェイス上等である
    それ以上に、別当タイプのうざい人にはかかわらず、
    関わると同じクソに落ちるように感じて逆に口聞けない
    無視が一番というか、、(100%主観か)
    書き出すと、異常に長くなるのでこの辺でやめておく(笑)

    小倉三部作と総称されるのは
    「鶏」、「独身」、「二人の友
    学生時代、研究テーマを森鴎外にしようかめちゃくちゃ悩んだ時期があった。
    結局別の人にしたが(すまん森先生)、それぐらい非常に入れ込んだ作家である。
    小倉の旧森鴎外邸を訪れる機会に恵まれたのでゆっくり再読した
    「この土地の家は大小の違いがあるばかりで。
    どの家も皆同じ平面図に依って建てたようにできている。」
    『鶏』で石田が感じた小倉の住宅は、
    そのまま森先生が感じたことであろう
    現在はしょうしょう背の高い近代コンクリートのアパートメントなどが周りを囲んでいて、少々興がそがれるが、邸本体のたたずまいはしっかりと当時を保っている。
    「門口を入って左側が外壁で、家は右の方へ長方形に延びている。その長方形が表側と裏側に分かれていて、裏側が勝手になっているのである。」
    「先ず、柱が鉄丹(ベンがら)か何かで、代赭(明るめのマットな赤茶、赤土の顔料赭”そほに”)のような色に塗ってあるのが異様に感ぜられた。」
    異様ではあるが不快ではない、とも書かれている。
    新築とは言わないが、建ててからそんなに年数が経っていないのに、
    「何となく古い、時代のある家のように思われる。」
    このあたりは要塞が近いので石塀や煉瓦塀を築くことができなかったらしい。なので、現在も当時のままの竹の生垣なのであろうか。
    「玄関から次の間を経て、右に突き当たる西の詰が一番よい座敷で、床の間が附いている。」
    裏側の方は、西の詰が小さい間、その次がやや広い。「この二間が表側の床の間のある屋敷の裏」
    「表側の次の間と玄関と裏が、半ば土間になっている台所」
    「井戸は土間の隅に掘ってある」室内井戸になっている。
    「庭には石炭屑を敷かないので、綺麗な砂」
    「真中に大きな百日紅の木がある。垣の方に寄って夾竹桃が五六本立っている」
    残念ながら庭の地面も庭木も経年ですこし違っている
    裏庭は表庭の3倍ぐらいの広さ(現在はそんなに広くはない)、所々にみかんの樹、「瓦で築いた花壇には菊、丸石で畳んだ井戸、どの石の隙間からも赤い蟹。」
    赤い蟹はいなかったが、ジョウビタキがうろうろしていて
    とても趣があった。
    続きを読む

    投稿日:2024.04.13

  • jun.k

    jun.k

    外国語の使用がものすごく気になります。カタカナで表記された意味のわからない言葉がとても邪魔に感じました。正直にいって、鼻につきます。

    『山椒大夫』はなぜこのタイトルなのでしょうか。
    『高瀬舟』はとてもよい作品だと思います。続きを読む

    投稿日:2023.11.12

  • ほんのむし100

    ほんのむし100

    何年ぶりかに「高瀬舟」を
    読んでみたくて購入

    ちょっと思い違いをしていたシーンや
    当時はあまりピンと来なかった事が
    感慨深ったり再発見できて良かった

    当時は該当する日本語が
    無かったのか
    外国カタカナ語を
    そのまま使っている短編は
    ちょっと読みづらかった

    「二人の友」が良かった
    淡水の交わりとは
    こういうものかなと

    ブックオフ一宮妙興寺店にて購入
    続きを読む

    投稿日:2023.11.08

  • massa@No.1009☆

    massa@No.1009☆

    うーん。
    この本の感想を見てて「難しい」というワードが多かったので不安でした。
    予想的中で中身がさっぱり伝わりませんでした。
    本の半分近くが訳解説になってますので、難しい言葉や古い単語が出てくると毎回戻らなくては行けないので読むリズムもどんどん崩れます。

    しかし、高瀬舟は罪と情を天秤にかけるような…短いですが深い印象を受けました。
    続きを読む

    投稿日:2023.09.27

  • そら

    そら

    時々読み返したくなる山椒大夫。
    短い話なので、ちょっとした時間のある時用読書シリーズの一つ。
    以前、丹後半島を旅した時に、安寿と厨子王の銅像を見た事があり、写真がないか探した。
    発見したとき「厨子王!」と叫んだ(知らんけど)
    続きを読む

    投稿日:2023.05.28

  • 小坂 純渚

    小坂 純渚

    高瀬舟にフォーカスします。

    人間にとって充足ってなんだろ?と深く考えさせられました。

    「足るを知る」と「安楽死(もしくは本人の委託による自殺幇助)の正当性」がこの本の2大テーマだと思いますが、これらのベクトルの方向は正反対なのか、もしくは同一方向なのか?
    足るを知る、は老子の言葉そのものですが、安楽死については無為自然や八正道には反しているようにも思う。そう考えると、東洋思想へのアンチテーゼのようにも感じます。
    ただ、自利的安心(足るを知る)と利他的慈悲(今回の場合の死)と考えれば、大乗仏教としては唯一不二になって正当化されてしまうかも。

    鷗外に聞きたいところですが、自分で考えろと言われるんでしょうね。もう少し思考してみます…
    続きを読む

    投稿日:2023.05.05

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