【感想】アラン 幸福論

アラン, 神谷幹夫 / 岩波文庫
(104件のレビュー)

総合評価:

平均 4.2
41
25
17
1
1
  • 未来の公民教科書?

    散文で簡潔。知覚理解を言語化して補完してくれる。とりわけ心の言葉がつっかえる人におすすめ。
    社会システムはどうあるべきかを考えるとき、その目的を明らかにしてくれる。ホッブズやルソー、マルクスなどの方法論より土台の層を得ることができ、てっぺんへの方向づけも得られる。
    そうそうと読む人には価値あるが、へーと読む人には退屈させてしまう。

    抜粋
    「本当の原因も尋ねないで入場料を払ったのだから楽しませてもらおうという見物人のような気持ちで人を見てはならない」




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    投稿日:2013.10.31

ブクログレビュー

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  • かけだし医師yoshi

    かけだし医師yoshi

    このレビューはネタバレを含みます

    【ネガティブ感情との付き合い方】
    ・恐怖や不安には必ず原因がある。それが分からなければ怯えるしかできないから、まずはその原因を見つけよう。
    ・情念(理性では抑えきれない、想像力を掻き立てる感情)に囚われるな。落ち着け。情念を支配するために、まず行動しろ。例えば、運動会前の緊張は走り始めれば抜ける。不安の9割は実現しない。
    ・また、行動だけではなく、態度、仕草、表情によっても情念は支配できる。
    【仕事】
    ・自由に働くことは最も楽しいが、奴隷のように働くことは最も辛い。 自由に働くとは、労働者自身が、知識と経験に基づき、調整し、試行錯誤できる仕事をすることだ。
    ・他人の畑を耕すな、自分の畑を耕せ。
    【生活】
    ・幸福になるためには、「傍観者」をやめろ。聞くだけ、見るだけといった人から貰える幸福はすぐ消える。自分が人生の主役となり、幸福を作り出せ。
    【人間関係】
    ・自分の敵は自分自身のみだ。
    判断を誤ったり、無駄な心配をしたり、絶望したり、気持ちが沈むような言葉をかけるのは、全て自分。
    ・人に同情することや哀れむことは絶対にやってはならない。なぜなら、それは互いに情念を強め合うことに他ならないからだ。例えば病状に臥した友には、同情するのではなく、明るい希望を与えたり友情を見せるべきだ。
    ・1番大切なことは、「自分自身が幸せでいること」だ。泳げない人は溺れている人を救えないように、幸せでない人は他人を幸せにできない。幸せになることは、誓うべき義務だ。
    【処世術】
    ・「礼節」と「礼儀」は最強である。
    これらは、ゴマをするという意味ではなく、自然と身についた物腰、ゆとり、余裕のことである。
    これは、ビジネスにおいては守りだけではなく、攻めの構えにもなる。そして何度も言うが、これらは情念を支配することに繋がる。

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    投稿日:2024.02.22

  • みやこ

    みやこ

    どうしても
    無人島に1冊しか本を持っていけないなら
    この本を持っていきます。
    高校時代に初めて読んでから
    何度も何度も読み直しては読み直すたびに
    新しい発見や気付きがあります。

    投稿日:2023.12.05

  • k

    k

    世界的に知られたアランによるエッセイ。
    「幸福」をテーマに、2〜4ページの断章が本書には90ちかく収録されている。

    内容は平易で、哲学的な内容ではあるが非常に理解やすい。説教臭くもなく、押し付けがましくもない。
    あと、とにかく文章が美しい。
    アンドレ・モーロア(19世紀フランスの小説家)をして「これは、私の判断では、世界中でもっとも美しい本の一つである」とのことだが、確かにそう思う。その魅力を減らすことなく伝えている訳も素晴らしい。


    アランの言いたいことを自分なりに簡単にまとめてみる。

    ・「幸福」とは、自分でつくりだすものだ。ドアを開いて待っているだけでは幸福が訪れることはない。
    放任された気分は、すぐに悲しみや苛立ちに変わってしまう。

    ・「幸福」を自分の外に求める限り、いつまでもそれには辿り着かない。幸福とはつねに、今の自分の中にあるものだから、それを見出すために努力しなければならない。

    ・そもそも人は自分の「感情」をコントロールすることなどできない。みんなそれができると勘違いしているから必要以上に長く悲しみに浸ってしまう。
    例えば指先を紙で切ってしまったとき、人はそこにある種の必然性と原因を認めることができるから、痛みを受け入れる。これが悲しみになると、その原因はすべて自分の内側から出てきたものであると思うから、原因について長く考えたり悲しみに抗おうとする。
    そうではなくて、今目の前にあることに集中したり、運動したり音楽を聞いたりすることで、悲しみは和らげることができる。

    どれも自明で、普遍的なことであると思う。
    だけども、我々は往々にしてこれらのことを忘れてしまう。自分の感情は自分で管理できると考えがちだ。
    だから本書の内容を肝に銘じておかなければならない。

    そして、アランがここまで一般的なことを述べているにも関わらず、薄っぺらくも押し付けがましくもないのは、やはり文章の美しさと心地良いリズムがあるからだと思う。

    読了して終わり。ではなくて、定期的に読み返して自分の骨にしたい本だと思った。
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    投稿日:2023.10.21

  • kairi777

    kairi777

    修正なしのプロポらしいので、重複する部分が気にはなるが、より作者が言いたかったことが強調されてて逆にわかりやすいのかな?


    自分なりのまとめ(超訳)
    ・イライラしたらウジウジ考えず、筋肉を動かす
    楽観主義は努力のなせるわざ。意思によるもの。
    ・幸福を持っていないと、人に幸福は与えられな
     い。でも、一人だけで留めていたらその幸福を忘 れてしまう。だれががつっついてあげなければ、心は麻痺してしまう。




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    投稿日:2023.10.07

  • Keito

    Keito

    タイトルから幸福であるにはかくあるべしみたいなのを勝手に思っていてこれまで敬遠していたが、池田某の紹介で、こんなに簡明に哲学をしているこのひとの哲学は自分のスタイルとよく似ているといっていて、読んでみることに
    原題は論というよりかは断章を意味しているようで、アランというひとがひとり哲学するその残滓のようである。しかし、彼もまた「わたし」とはなんだ、「善い」があってしまうという哲学に魅入られた考えるひとで、まるで生きているかのような文体がそこにはある。
    生きること死ぬことというのは本当に普遍的なもので、二度の戦争の最中というのをひょっとすると忘れてしまいそうなほど今も変わらない、考えるひとの流れの中にある。
    哲学は誰かがこう考えたをたどるものではなく、自分という唯一無二の最大の謎が、生きて死ぬというこれまた最大の不条理を表現していくことだと思う。
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    投稿日:2023.07.29

  • 司書KODOMOブックリスト(注:「司書になるため勉強中」のアカウントです)

    司書KODOMOブックリスト(注:「司書になるため勉強中」のアカウントです)

    「「幸福であることは他人に対する義務」「幸福に対する第一の規則、それは他人に自分の不幸を話さないこと」などの名言、箴言で知られるアランの『幸福論』。戦争の不安に取り巻かれた二〇世紀初頭のフランスにおいて、「幸福とは何か」を哲学的視点から綴ったエッセイが原典です。
    『幸福論』といえば行間を読めなければ理解できないといわれますが、本書では読みやすく、わかりやすく翻訳したうえで、原書が書かれた当時の状況の解説も加えながら、興趣深く読めるよう、編集しています。」

    内容説明
    幸せになりたければ、上機嫌にふるまいなさい。20世紀初頭のフランス。社会不安を吹き飛ばす実践的人生哲学。

    目次
    第1部 アランと『幸福論』(『幸福論』ってどんな本?;アランってどんな人?;アランが生きた時代 ほか)
    第2部 全訳『幸福論』(身体と心について;自分について;対人関係について ほか)
    第3部 哲学書としての『幸福論』(世界三大幸福論とは;アランの思想と楽観主義)

    著者等紹介
    アラン[アラン] [Alain]
    フランスの哲学者。本名エミール=オーギュスト・シャルティエ。アランは筆名。1868年フランス・ノルマンディー地方に獣医の子として生まれる。1892年高校の哲学教師となり、職業人生を高校教師として全うする。1900年ごろから精力的に新聞にプロポ(随想)を寄稿。これが後に『幸福論』のもととなる。1914年、第一次世界大戦が起こり46歳で志願兵となる。足かけ4年従軍し、除隊後は再び教職に復帰。1933年65歳で職を退く。1945年、77歳で結婚。1951年パリ西郊ル・ヴェジネにて没す、83歳
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    投稿日:2023.06.02

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