【感想】宿屋めぐり

町田康 / 講談社文庫
(18件のレビュー)

総合評価:

平均 4.1
4
10
2
0
0
  • めくるめくマチダ節

    同じ作者の『パンク侍、斬られて候』や『告白』がお好きだったら心配ありません。ある意味マンネリズムというか、良くも悪くも作風は同じです。ただ展開の目まぐるしさはこれまで以上に際立っており、ページをめくらせる力はめっぽう強いです。

    しかし、この人はよくもまあ、こんなにハチャメチャな文章・ストーリーをどんどこ書けるものだと感心してしまいます。
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    投稿日:2013.11.07

ブクログレビュー

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  • nekotaro

    nekotaro

     町田康の多くの小説は、多彩な擬音・現在と過去の区別・実在なのか創造か・人間なのか動物か・死んでいるのか生きているのか等等 意味不明・摩訶不思議な調子で淡々と続くのです。結末も何だかスッキリしない読後感があったりするのですが、面白いいんです! 読みながら何故だか声を出して笑ってしまうんです。

    この小説は、ある世界で師匠に仕えて暮らしているうだつの上がらない弟子”鋤名彦名”が主の指令で大刀を遠い国の神社に奉納する道中記ですが、いきなり大刀奉納って江戸以前?とか思うのですがやはり町田小説は凄いのです。現代ぽいテンションと江戸的な様相を呈した舞台となっていて何がなんだか判りません。。。

    この彦名は各地を旅しながら不本意にも人を殺したり強盗を働いたり街を破壊したりと次々と犯罪を繰り返して行く、それでも主の命である大刀奉納を目的にどんどん障害を乗り越えたり逃避行したりしながらつき進んでいく。

    一度は磔になって殺されながらも最後にはミッションを完了するのだが目の前に現れた現実は、、、

    人生は”宿屋めぐり”です延々とぐるぐる廻るみたいです
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    投稿日:2021.08.24

  • block

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    みんながおれを悪党だというが
    なにもおれは悪党になりたくてなったわけじゃない
    わざとじゃないんだ、わざとじゃ
    だからおれは絶対に謝らんぞ
    といったような、ちんけなプライドに根ざす傲慢さを抱えながらも
    わたしはけっして根っからの悪党じゃない
    だからつねに、そんなわたし自身の自己防衛的ないいわけについても
    懐疑的でありつづけているのです
    だからおれは本質的には善人であるわけだ
    絶対に謝らんぞ
    といった具合に、おれとわたしが無限増殖をしている
    といった具合で、たくさんの我を背負っている
    それ故にむしろ我ありということがいえるのではないかしら?
    などとそのように
    己を正当化するための欺瞞的信仰まで持ち出してくるのなら
    もはやこちらとしては戦争しかないのであって
    それを避けたいというなら、せめて形だけでも詫びを入れてほしい
    頭を下げてほしい
    郷に入れば郷に従ってほしい
    つーか普通に生きなさいよ普通に
    などとそんなつまらぬ結論をみるまでに
    700ページも小説を読まなければならない
    かくも人間の自意識とは度し難いものである
    が故に
    普通とはなにか?それを定義せよなどといった
    クソめんどくせえ議論がここからはじまってしまうであろうことも
    容易に予測できてしまうのであるが
    まあ神ならぬ人の子がやることですからね、仕方ないね
    絶対に謝らんからな
    ってまたそういう話になってしまうわけよ
    安らぎを得るために、我ら人の子は無謬をあきらめるしかないよ
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    投稿日:2018.11.29

  • bookkeeper2012

    bookkeeper2012

    『パンク侍』や『告白』のあたりで芸風がすっかり固定したようだ。相変わらずの目くるめく町田節。特にこの本は、主人公の道中のドタバタぶりや、展開の目まぐるしさが際立っている。ページをめくらせる力はめっぽう強い。

    「主」(最初は「あるじ」かと思っていたが、やっぱり「しゅ」と読むんでしょうな)という存在が、この波乱万丈の物語を唯一つらぬく背骨になっている。しかし、いったいなんなんだろうなこれは。こんな話をよく次から次へと書けるものだよ。
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    投稿日:2018.11.05

  • saga-ref

    saga-ref

    著者の猫エッセイに魅せられて本書を購入したは良いが、普通の文庫本なら2、3冊はありそうな厚みに手を出せなかった。江戸時代とも現代ともつかぬ設定は『銀魂』のよう。不条理、ナンセンスな物語の進行に、あらすじを引いて感想を書くのも詮無い気がする。解説も本書の書きぶりを踏襲するような表現で、これが解説? と疑問を抱くと同時に、ただでさえ本編で満腹なのに、さらに追加料理が出てきた感じ。続きを読む

    投稿日:2017.08.26

  • bukkubuku

    bukkubuku

    ながい…長い…。
    主人公の口語的スタイルで話しが進んでいくのにちょっと慣れが必要だった。
    ほかにも読みたい本やまほどあるというのにかかりっきりで読んだくらい面白かった。
    キタナイ、できれば目を背けたい、自分にはそんなところありませーんっていい人ぶっていたいような見たくないところを、見せられる、何度も。
    でもそれが良いのだった。
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    投稿日:2017.02.04

  • obrigado

    obrigado

    このレビューはネタバレを含みます

    700ページを超える長編は、読み進むに連れ町田康ワールドがヒートアップし、やがて全開へ。これだけ広げて、いったいどう収拾するのだろうと心配になるくらい(なるほど、そういう結末か)。「パンク侍」の小説が面白いのは、やはり優れたリズムの文体にありと再認識した。
    独特の文体や世界観から読み手を選ぶ町田康作品だけど、「小説好き」「落語好き」な人には、ぜひ一度読んでもらいたい(今作ややグロいところもありますが)。
    巻末の笙野頼子の解説が、暴走&空回りしています(笑)

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    投稿日:2015.03.01

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