【感想】避暑地の猫

宮本輝 / 講談社文庫
(25件のレビュー)

総合評価:

平均 3.5
4
7
6
5
0
  • 誰が、その猫なのか ?

     軽井沢の高級別荘で住込みの番人を務めていた一家の息子 (修平) が、第一容疑者として警察から追われ続ける 「殺人・放火事件」 ... 主人夫婦と長女, 修平の両親が死亡した陰惨な事件の背景に何があったのか ?
    高級別荘地での出来事... 行方不明になった懸賞金付きの猫, 数匹の蛇がうねるような抜道の地図, 淡い性の芽生え,... などが巧みに盛り込まれ、修平が過ごした避暑地の風景と、その裏でうごめく陰の部分が頭の中でリンクします。
    内実は、警察や読者の想像以上に陰惨です...
     そして、タイトルも巧妙です。 「避暑地の猫」 とは、いったい誰のことを指しているのか ?
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    投稿日:2014.09.15

ブクログレビュー

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  • 愛と幻想

    愛と幻想

    エンタメ調で描くと上滑りしそうだけど人を描くので事実は小説より奇なり的なあり感がある。
    令和の今だとかなりおとぎ話的かもだけどね。
    昭和の感性があればリアリティあるかな。

    屋敷の主人と屋敷番家族の話
    引き込まれて最後まで読み通した。
    宮本輝の描き出す世界恐るべし。
    また何か宮本作品読みたいなと思ったかな。
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    投稿日:2023.07.04

  • gurukunkaraage

    gurukunkaraage

    後半は一気に読みました。
    あからさまな表現はないのだけどなんとなくエッチな描写にそそるところもありました。
    可もなく不可もなく。

    投稿日:2022.10.23

  • BRICOLAGE

    BRICOLAGE

    このレビューはネタバレを含みます

     未読だと思って久しぶりに宮本輝作品を手に取ったら、2015年に既に読んでいたようだ。

     軽井沢の別荘番の息子として生まれた久保修平は、別荘の持主である布施家に対する羨望と憎悪から、その心の裡に次第に狂気を育てていく。“姉妹の麦わら帽子は、卑下と憎悪のふたつの感情をぼくにもたらせてきた。(p.56)” 布施金次郎と、自らの母・姉との間の淫靡な関係を知った彼は遂に、布施金次郎を殺すことを決心する…
     まさに愛憎劇と呼びたくなる、官能的で、怪しい物語。17歳の修平の、視野狭窄さ、自分の思い込みに徐々に囚われていく様が恐ろしい。軽井沢に立ち込める「霧」も、舞台装置として非常に効果的に働いているように感じた。“霧が出てくると、頭痛が始まり、体中の力が抜け、口をきく気力すら失うのだった。(略)すべての人間の中にひそんでいる魔…。外にあるものではなく、内に宿している魔に活力を与える媒体は、ぼくにとっては、あの軽井沢の霧であった。(p.47)”
     避暑地の「猫」というのが何を意味しているのか結局よく分からなかったが、ポーの『黒猫』のような、魔性の象徴ということだろうか?

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    投稿日:2022.01.03

  • kemukemu

    kemukemu

    十七歳、それは、大人と子どもを使い分ける狡さ……。

    「俺、軽井沢で生まれ育ったんです」

    酔っ払いに絡まれ怪我を負った男が、突然、十五年前の出来事を語りだす。
    軽井沢の別荘の持ち主と別荘番の二つの家族が繰り広げる、悍ましい愛憎劇。

    十七歳の主人公の青々とした性への欲望と、母と姉に漂う淫靡な気配、
    どうしようも無い怒りからの、暴力的な行動…「霧のせい」…退廃への逃避

    残るものは虚無
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    投稿日:2021.05.22

  • 777na

    777na

    螢川的な物語を期待して、以前先輩に勧められたこの本を手に取ってみた。
    螢川全然違うやん・・
    古き悪き昭和の香り。サスペンスを追う気持ちで読み進めていくうちに、徐々に宮本輝さんらしい筆致にのめりこんでいった。弱者を描く鋭さと薄暗い虚無感。
    そして全然直接的でないのに(ないから?)、めちゃめちゃ艶かしい姉。こういうのも書く人だったんだ、知らなかった。
    後味が良いものではなかったが、読書にのめり込む気持ち良さを久々に味わった。
    私は無邪気な後輩にオススメする気持ちにはなれないが、気持ちに余裕がある時にどうぞ。
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    投稿日:2020.12.30

  • ありんこゆういち

    ありんこゆういち

    内容(「BOOK」データベースより)
    修平の両親が番人として雇われた別荘には秘密の地下室があった。別荘の主、布施金次郎と両親たちとの密約の存在を知った17歳の修平は、軽井沢にたちこめる霧のなかで狂気への傾斜を深めていく。15年の沈黙を破って彼が語り始めたひと夏の出来事とは?人間の心の奥に潜む「魔」を描ききった傑作長篇小説。続きを読む

    投稿日:2019.11.05

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