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江戸川乱歩 / 東京創元社 (30件のレビュー)
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総合評価:
mag2000
1
そういう意味だったのか・・・
乱歩を読むたびに私は「本ってタイムトラベルできる装置だ」と思うのです。もちろん大正時代は知りませんが、祖父母が使っていたような懐かしい言葉使いがあったり、なじみのある東京各所の情景描写がかなり古めかし…かったりで、確実に自分と地続きの世界だと感じるのです。乱歩作品のうちでもマイナーな短編10篇。比較的有名な「モノグラム」「灰神楽」は既読でした。なんといっても表題作が強い印象で、これは古臭くないと誰もが感じるでしょう。内容はもちろんのこと語り口調も気味が悪い。「木馬は廻る」は物寂しい短編映画のようです。続きを読む
投稿日:2016.02.21
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セピア色の世界へ
表題作はまず漫画で読んでいましたが、文章で読む方が細部にわたり空想できるものだなと実感します。そしてこれは恐ろしいことに、ものすごく現代的な話でもあるんです…このまま21世紀に舞台を移しても全然違和感…がない。 あと好きなのは「躍る一寸法師」身体障害者を見世物にしたり、子供を売り買いしたりしていた「昔の」サーカスの話、最後の「木馬は廻る」はつましい生活を真面目に送る人々の一寸した憧れの話です。これらを読むとき、画面は勝手にセピア色です。 続きを読む
投稿日:2016.06.19
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Naoty
江戸川乱歩の短編。『人でなしの恋』 あらすじ 夫の様子がおかしい。ある夜、夫の跡をつけると蔵の2階で女と密会していた。 その女の正体とは…。 全く内容を知らずに読んだので、女の正体に驚いた…。江戸川…乱歩ってどうしてこんなに面白いんだろう。 結婚してすぐの一文。 『大げさに申しますれば、浦島太郎が乙姫様の御寵愛を受けたという龍宮世界、あれでございますわ、今から考えますと、その時分の私は、本当に浦島太郎の様に幸福だったのでございますわ。』 こんなに有頂天になって、まるでジェットコースターをカタカタと登ってるような感じからのあのオチ。頂上からの落下が半端ない笑 読んだ後『人でなしの恋』のタイトルの付け方に痺れた。 でもしばらく経って考えると、奥さんが「人でなし」に思えてくるので、本当にこのタイトルは秀逸。 この作品はなぜかAudibleの本気度がすごかった。まさかのピアノの音楽から始まり、蔵までの真っ暗な茂みを通る時は虫の声が入ってる!何この没入感(゚д゚) そしてナレーターが女優の笛木優子さん。 声が物語とピッタリだし、女優さんなので抜群に上手い。冷静な話し方で怖さ倍増。 Audibleにて。(本棚と表紙が違う)続きを読む
投稿日:2024.05.24
shima
このレビューはネタバレを含みます
・百面相役者 →最後オチがあっても気持ち悪い 人の顔の皮をはぐとか想像するだけでゾワゾワした ・一人二役 →なんとも言えない、女が賢いと夫婦円満なのか ・疑惑 →人間不信になる話笑 なんか少し赤い部屋のこうしたらこうなるみたいな、 悪意のない犯罪にもなる気がする。 ・接吻 →乱歩さん、女嫌いなのか、ずる賢いキャラにするの好きね ・踊る一寸法師 →単純に不気味、下衆、気持ち悪い ・覆面の舞踏者 →昔っぽい、結構下らない ・灰神楽 →やっとミステリっぽくて面白かった ・モノグラム →オチが面白い、巡り巡ってがっかりするのが最高笑 ・人でなしの恋 →これが読みたかったの! うーん、やっぱり好き、こういうの。 ピグマリオンシンドロームみたいな、 この時代の狂気耽美みたいなの好き。 最後の人間の醜さと、相反する美しい儚さが良い。 最高です。 ・木馬は廻る →昔のパパ活話笑 昔の貧富の差や貧困って切ないなと感じる。 自註自解とか解説も丁寧で有り難い。 乱歩作品全て読みたいけど、基本不気味だったり気持ち悪いの多いんだよね…。 現代の気持ち悪さとは違う、たちの悪い気持ち悪さ。 なんか苦手なんだよね…言葉や描写が陰気というか。 明智小五郎シリーズとかのミステリ全フリも読みたいけど、 まあぼちぼち好きなものから読み進める。
投稿日:2023.06.08
人でなしの痴人
はあ、と思わずため息が出るような作品。 門野が妻によって殺された彼女の轢死体を見た時、彼の心情を考えれば心底可哀想で仕方がない。 誠実ではなかった。ただ、誠実であろうとしていた。 門野は妻が彼女を滅茶苦茶にしたことを知ってるんじゃないかと。 彼女の死と、自分の恋がバレたこと、その恥と耐えきれない悲しみに結局自死(というか心中)を選んだのか。 人でなしの恋。 その結末は悲惨だけど、人でなしは一体妻の方だったのではないか? 嫉妬に駆られて、激情のまま人形を殺めたのだから。 愛しいドールと同じ墓に入りたいと思う時点で私も門野と同じ人でなしなんだろう。
投稿日:2021.06.29
Tetchy
乱歩氏の目指す本格というものがよく解らなくなったというのが本書の正直な感想。 がちがちの本格というよりも恐らくは当時乱歩は海外ミステリでよく行われていた「どんでん返し」の趣向に強い憧れを持っていたので…はないだろうか。つまり一筋縄ではいかない結末を用意することに固執していたように思われる節がこの短編集では散見される。 しかしその趣向が上手く機能しているとは云い難く、はっきり云って蛇足に近い。二流の作品で終える予定が三流の作品に貶めているように思う。つまり最後の結末があまりにしょうもなさ過ぎるのだ。 ここに至り私は、乱歩氏は本格推理小説家としての才能は初期の短編の一握りの物にしか見られないと判断する。 乱歩氏は本格推理小説を最も書きたがった通俗ミステリ作家だったのだ。続きを読む
投稿日:2020.10.28
herbtea
十の短編集。やはり皆さまお勧めの「人でなしの恋」はとても良かった。他にも女の強さや男の純粋さ(弱さ)を押し出しているものが多かった気がします。「百面相役者」の悪い癖の部分も好きですし、しっかり本格の「…灰神楽」も楽しかった。父の死の真相を探る「疑惑」も好みです。でも一番インパクトがあったのは「踊る一寸法師」のラストの影法師。こんなにめちゃくちゃなのに身を揉むほど痛々しく切ないのです。「木馬は回る」はこの短さに走馬灯のように一人の人生を追ったようでこれも良かった。読後読む自註自解が今回もとても楽しかったです。続きを読む
投稿日:2019.06.14
yoshi2013
乱歩の大人向け初期作品群は各社よりまとめ方に工夫をしながら多数でていますが、本編も新潮社の2編とかなりかぶっており、自身は再読のものが多い。題名についつい惹かれて手に取ってしまいます。大正時代の作風にしては本当に奇抜ですね。 既読のものでも繰り返して読みたくなる乱歩作品です。 表題作の「人でなしの恋」の意味は読んで納得、これだけでも価値ある作品です。
投稿日:2018.03.05
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