2040年 半導体の未来
小柴満信(著)
/東洋経済新報社
作品情報
--半導体業界「キーマン中のキーマン」が提言する「日本再生戦略」。日本経済がしくじり体質から脱却し、復活するかどうかは「最先端半導体」にかかっている!--
世界ではいま、半導体がかつてないほど〝熱い〟。
1つは、新型コロナウイルス感染症によって半導体の製造と供給が一時大きく滞り、世界経済に大きな影響を与えたこと。もう1つは、半導体をめぐる米中関係の緊張の高まりだ。「台湾有事」の可能性も取り沙汰されるようになった。
いま世界中のあちこちで、自国に半導体製造工場を誘致しようとする「国産化」の動きが起きている。
私はJSRに1981年に入社した。JSRは、半導体のシリコンウェーハに塗布するフォトレジストで世界トップクラスのシェアを持つ。2009年から社長、会長として計11年ほど企業経営にかかわった。2023年に名誉会長を退任するまで、40年超にわたって半導体業界を現場の視点からつぶさに見てきたつもりだ。そうした経験から、「最先端半導体の開発と製造を日本国内で再び行うべきだ」と考えている。
いまや世界を牛耳るGAFAMはインターネット産業で大きく成長し、その後、AIが次の波になると見るや、素早く自社のサービスに取り入れることでさらなる強大なパワーを手にしてきた。それによってGAFAMが本拠地を置く米国が、世界の覇権を握ってきた。
それを支えたのは「コンピューテーション(計算基盤)」であり、もっといえば、コンピューテーションの基盤となる半導体にほかならない。すなわち、半導体は企業の力の元であり、国の力を支える基幹産業なのだ。半導体の復活なくして、日本の未来が明るくなることはない。
ここにきて「日の丸半導体、復活か」と思われる動きが相次いでいる。TSMCによる熊本新工場の建設、先端半導体の国産化に向けた新会社Rapidus(ラピダス)の設立――。
ただ、こうした「半導体の喧騒」を冷めた目で見ている人も多い。
「失われた30年の間に、技術力も技術者もなくなった。工場だけ建てたところで、そう簡単につくれるはずがない」
こういった批判の声は、私の耳にも直接入ってくる。一理ある意見もあるが、それでも日本は国産化へまっしぐらに突き進むべきだという私の考えはいささかも揺るがない。なぜなら、そこには勝算があるからだ。(「はじめに」より抜粋)
【この本でわかること】
□なぜ半導体が注目されるようになったのか
□背景にある世界を巻き込む事情とは何か
□その中にあって、日本はどう進むべきか
□半導体開発競争の先にある未来のテクノロジーとは何か
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商品情報
- シリーズ
- 2040年 半導体の未来
- 著者
- 小柴満信
- ジャンル
- コンピュータ・情報 - IT・Eビジネス・資格・読み物
- 出版社
- 東洋経済新報社
- 書籍発売日
- 2024.06.19
- Reader Store発売日
- 2024.06.19
- ファイルサイズ
- 8.6MB
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この作品のレビュー
平均 4.0 (3件のレビュー)
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単なる未来予測本ではなく、半導体産業の歴史、半導体の技術上・社会上・国家安全保障上の意義が語られている。現在の半導体産業の技術上のボトルネックや課題、それに対するラピダスの可能性など、著者の半導体に対…する熱い想いが語られて、とても興味を惹かれる内容だった。
トランジスタのGAA構造化、ブレインレスロボットや量子コンピュータ、それによる核融合発電などの次世代テクノロジーだけではなく、ジョブズが実践していた「将来の進化を先取りする」ビジネス上の考え方など、とても勉強になった。続きを読む投稿日:2024.06.20
【文章】
とても読みやすい
【ハマり】
★★★★★
【気付き】
★★★★・
10年以内にアメリカの対中規制が緩和される可能性がある。
産業革命は、エネルギー、通信手段、輸送手段が変革するとき。投稿日:2024.07.14
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