カレー移民の謎 日本を制覇する「インネパ」
室橋裕和(著)
/集英社新書
作品情報
【どこにでもある「インドカレー店」からみる移民社会】
いまや日本のいたるところで見かけるようになった、格安インドカレー店。
そのほとんどがネパール人経営なのはなぜか?
どの店もバターチキンカレー、ナン、タンドリーチキンといったメニューがコピペのように並ぶのはどうしてか?
「インネパ」とも呼ばれるこれらの店は、どんな経緯で日本全国に増殖していったのか・・・・・・その謎を追ううちに見えてきたのは、日本の外国人行政の盲点を突く移民たちのしたたかさと、海外出稼ぎが主要産業になっている国ならではの悲哀だった。
おいしさの中の真実に迫るノンフィクション。
【目次】
はじめに 「ナン、おかわりどうですか?」
第一章 ネパール人はなぜ日本でカレー屋を開くのか
第二章 「インネパ」の原型をつくったインド人たち
第三章 インドカレー店が急増したワケ
第四章 日本を制覇するカレー移民
第五章 稼げる店のヒミツ
第六章 カレービジネスのダークサイド
第七章 搾取されるネパール人コック
第八章 カレー屋の妻と子供たち
第九章 カレー移民の里、バグルンを旅する
おわりに カレー移民はどこへ行くのか
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この作品のレビュー
平均 4.4 (6件のレビュー)
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学生時代(今から20数年前)にインド料理店でバイトをし、その後海外に出て30台半ばで帰国した私にはずっとなんとなく抱えていた違和感があった。いつの間にか、インド料理屋はみんなネパールの人がやってるし、…メニュー構成が同じ。標準的にはおいしいけど、以前のような発見や意外性が消えておもしろくない。新宿三越脇の地下にあった店も、三越裏の2階にあった店も、消えてしまった。インド料理店のランチタイムといえばビュッフェだったのに、セットメニューだけの店ばかり。安いのはありがたいけど、つまらない…。
その違和感にズバリ答えてくれる本だった。一気に読んだ。
私がかつてハマっていたインド料理はムグライ料理で、つまりインドの人々にとっての外食の味だったこと。三越裏の2階にあった店には確かに「宮廷料理」と書いてあって、ディナータイムは学生がおいそれと入れる料金帯ではなかった。バイト先もこの類だった、ということを認識できた。そこはオーナーがパキスタン人(別に中古車輸出業もやっていたらしい)で、同僚のホール担当君と、広い厨房を1人で回していたコックはインド人だった。ホール担当君は独身だったが、コックさんは国に家族を残して来ている出稼ぎ者だった。ラッシーやチャイの作り方を教わったし、初めてビリヤニという料理を食べたのもバイト先でだった。店のメニューにないその料理は、「お祭りとかお祝い事の時の特別な料理」だと言っていた。今日はインドでは大きなお祭りかなにかなの?と聞いたら、「君がバイトで来る日だからだよ」と言われてものすごく嬉しかった。初めて食べたビリヤニの感動は忘れられない。最近はずいぶんいろんなところで食べられるようになったけど、今でもあの時のビリヤニが一番おいしかったと断言できる。
その後ネパール人コックの流入があって、出稼ぎ大国のネパールからどんどん人がやってきて、独立して増え…。なるほどなるほど、となんどもぶんぶんうなずいた。以前岡山で入ったインド料理店は典型的なインネパで、グリーンカレーやパッタイも出すという「エスニックひとくくり」みたいなタイプ(最近じわっとタイ料理やベトナム料理を出すインネパ店、これまた増えてきていると感じる)だったのだが、これがまあびっくりするほどおいしくなかったのだ。マズいというか味がない。マトンカレーかなにかを食べたと思うのだが、とにかくおいしくなくて驚いた。インネパってまあ標準的なものを出すというイメージだったから。
でも、後半の章を読んで納得した。
筆者は冷静に、客観的に起きていることを観察しているが、その視線には彼らへの純粋な興味と温かさがある。陽があれば闇もある。どこからの移民でも2世は苦労するものだけれど、今まさにその問題にぶつかっているのが大量のネパール人2世なのだと初めて知った。
最近はダルバートが静かにブームだし、スリランカカレーという新勢力もいる。インドで修行した日本人が作る、パレットのように色鮮やかで美しいミールスを出す店や、インドの各地方料理に特化した店も増えてきた。私にとっては嬉しい変化だが、インネパど真ん中のコック、経営者にとっては厳しい流れなのかもしれない。でも、より本流へと移行していくのは当たり前のことのようにも思う。どんどん細分化され、本格化していく。
インネパはやがて、ごくごく一部を除いて淘汰されていくのだろう。それが自然な流れのように思う。少なくとも今のような、どこの駅にも必ず一軒はインネパがある、ような状況はなくなっていく。
その時、適切な教育を受けられなかった2世はどこへ行くのだろう。続きを読む投稿日:2024.03.25
最近読んだ新書のなかでダントツに面白かった。
読後に改めて自分の住む街を見晴らしてみると、たしかにある、インドネパール系のカレー屋さん。飛び抜けて美味しいカレーお店もあれば、どこかで食べた味と同じだ…なと感じることもあり、その違和感というか類似性の謎が解けた一冊でした。
この本のすごいところは、インドネパール系のカレー屋さんのルーツから、そこで働く人が日本にやってきた背景や社会情勢、それからカレー移民第二世代の現在の生活までも綿密に書き込んでいて、カレーのように味わい深い、と同時に課題がたくさん煮込まれた書籍になっていること。まさか現地にまで取材に行くとは。タイに暮らしていた経験がある作者さんらしく、グローバルなフットワークの軽さには驚きました。超濃密。
おいしいなぁと思って食べていたカレーが、移民とその市民を迎え入れる日本の問題点も炙り出していて、読後に後をひく“辛さ”。それでいて、読む対象を選ばないバターチキンカレーみたいな親しみやすい文体で、読んで良かったと思えました。
多分、読んでいるほうからして、かなり身近に感じることができる異文化理解のサポート本だと思う。あと単純に、明日はカレーにしよう、と思ってお腹が空いてくるので、ダイエット中の方はご注意を!笑続きを読む投稿日:2024.05.02
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