オホーツク核要塞 歴史と衛星画像で読み解くロシアの極東軍事戦略
小泉 悠(編者)
/朝日新書
作品情報
超人気軍事研究家が、ロシアによる北方領土を含めたオホーツク海における軍事戦略を述べる。この地で進む原子力潜水艦配備の脅威を明らかにし、終わりの見えないウクライナ戦争との関連を指摘し、日本の安全保障政策はどうあるべきか提言する。
もっとみる
商品情報
- 著者
- 小泉 悠
- ジャンル
- 教養 - ノンフィクション・ドキュメンタリー
- 出版社
- 朝日新聞出版
- 掲載誌・レーベル
- 朝日新書
- 書籍発売日
- 2024.02.13
- Reader Store発売日
- 2024.02.13
- ファイルサイズ
- 10.9MB
- ページ数
- 384ページ
以下の製品には非対応です
この作品のレビュー
平均 5.0 (1件のレビュー)
-
「新書」というのは、少し特殊な内容も含めて、専門的な研究を踏まえた知見を一般向けに説くような内容を含むモノが多いと思う。本書はそういう「新書」が有する「らしさ」を色濃く備えていると思う。この一冊を大変…に興味深く読了した。
ロシア等の軍事に纏わる研究を手掛けているという著者なので、「ロシア軍に纏わる内容?」とは思いながら、本書の題名を視て少し首を傾げた。「オホーツク核要塞」なる表現は、正直なところ耳目に触れ易いというのでもないのだと思う。
「要塞」とでも聞けば、「難攻不落の堅固で大きな城」のようなモノを思い浮かべる。他、何やら禍々しい武装で敵対勢力の行動を阻む存在というような様子を思う。さもなければ、「要塞」という語を比喩的に用いて何事かを表現しようというようなことなのかもしれない。が、本書を読む限り、「要塞」というのが「兵力展開をする場合の概念」というようなモノに冠した呼び方というような感じであると解せる。
ロシアの海軍は、非常に大きな原子力潜水艦を保有している。それらの艦にはミサイルが搭載されている。ミサイルが大きいので、ロシア海軍の潜水艦はサイズが大きくなったのだそうだ。これらの艦は2万トン台や3万トン台というような話しも在るので、日本国内で150台以上のトラックを積んで航行している大きなフェリー(1万3千トン台から1万5千トン台程度。北海道内であれば、苫小牧港や小樽港で見掛ける、本州方面の港を結んでいるかなり大きく見える船が該当する。)よりも更に大きなモノが潜航するということになる。
ミサイルを搭載した潜水艦は、簡単に所在を掴めない海中を航行し続け(原子力艦の場合、原理原則としては無限に動き回り続けられるが、乗員は交代が必要なので定期的に母港に帰還はする)、何時でもミサイルを敵対する陣営が擁する様々な目標に撃ち込むことが可能である。そうした能力が「存在感」を発揮して、諸国間の様々な関係性や軍事行動に影響を及ぼすというような訳である。
そういうミサイルを搭載した原子力潜水艦に関して、ロシア海軍は「要塞」と呼ぶべき、各種施設が辺りに配置され、様々な兵器も配置されている、少し攻められ難いような海域、侵入する敵対勢力を排除することも十分に可能と見受けられる海域を中心に展開している。そういう「要塞」というような概念の場所に在るミサイルを搭載した原子力潜水艦が、「存在感」を発揮する訳だ。その「要塞」の一つが「オホーツク海」なのだという。そして潜水艦に搭載のミサイルには核弾頭も備えられる。そこで「オホーツク核要塞」という本書の題名の用語が登場する訳だ。
本書を読み進めると、ソ連海軍、更にロシア海軍の太平洋艦隊というモノが辿った主に第2次大戦後の経過、核兵器の登場と発達、そうした中での潜水艦に搭載される核弾頭を備えたミサイルの経過、その運用の変遷が判る。艦や兵装に関する技術発展の経過と、それに伴う戦術や戦略の変化というようなことも語られる。ロシア海軍の歴史であり、ロシア海軍の潜水艦と兵装の歴史という感だ。本書の「あとがき」に、著者は歴史を得意としているのでもないというような言も在るのだが。
第2次大戦後のソ連海軍の、更に最近30年程のソ連海軍を後継したロシア海軍の経過が本書に詳しいが、なかなかに興味深い。ことに太平洋艦隊に非常に詳しいと思う。太平洋艦隊は、沿岸部や航路の安全を護る存在だったが、潜水艦の発展でもっと戦略的な、重大な役目を担っていく。ミサイルの射程が延びるに連れ、潜水艦から発射するそれで敵対勢力の様々な目標を狙い撃ちという役目が重視される。1960年代頃に起こって発展し、1980年代に絶頂期を迎えるのだが、ソ連の破綻で1990年代以降は様子が変わる。混乱し、困窮し、1980年代に在ったような姿からは退潮してしまう。そこを何とか抜け出し、2010年代に持ち直して再建が図られて2020年代に入っているという訳だ。
そういう様子を概観しながら、最近の潜水艦の運用状況を推定するような試みが為され、合わせてロシア・ウクライナ戦争も進展中という中での「軍事」という問題の種々の論点も挙げられている。大変に重要なことであると思う。本書に在る話題の多くは、より広く、より多くの人達が知っていても好いと思われる話題だ。それが供されている本書は価値が高い。御薦めだ!続きを読む投稿日:2024.02.17
新刊自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
※新刊自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新号を含め、既刊の号は含まれません。ご契約はページ右の「新刊自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される「増刊号」「特別号」等も、自動購入の対象に含まれますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると新刊自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約・新刊自動購入設定」より、随時解約可能です続巻自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
- ・優待ポイントが2倍になるおトクなキャンペーン実施中!
※続巻自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新巻を含め、既刊の巻は含まれません。ご契約はページ右の「続巻自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される特別号等も自動購入の対象に含まれる場合がありますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると続巻自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約自動購入設定」より、随時解約可能ですReader Store BOOK GIFT とは
ご家族、ご友人などに電子書籍をギフトとしてプレゼントすることができる機能です。
贈りたい本を「プレゼントする」のボタンからご購入頂き、お受け取り用のリンクをメールなどでお知らせするだけでOK!
ぜひお誕生日のお祝いや、おすすめしたい本をプレゼントしてみてください。※ギフトのお受け取り期限はご購入後6ヶ月となります。お受け取りされないまま期限を過ぎた場合、お受け取りや払い戻しはできませんのでご注意ください。
※お受け取りになる方がすでに同じ本をお持ちの場合でも払い戻しはできません。
※ギフトのお受け取りにはサインアップ(無料)が必要です。
※ご自身の本棚の本を贈ることはできません。
※ポイント、クーポンの利用はできません。クーポンコード登録
Reader Storeをご利用のお客様へ
ご利用ありがとうございます!
エラー(エラーコード: )
ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。