知られざる海上保安庁 - 安全保障最前線 -
奥島高弘(著)
/ワニブックス
作品情報
海上保安庁という組織の実態は正直なところ、あまり世間に知られていないと思います。確かに『海猿』『DCU』などの漫画、映画、ドラマ等の人気作品の影響で知名度が上がり、海難救助の仕事をしている組織だということは理解してもらえていると思います。また、いわゆる尖閣問題をめぐる新聞・テレビの報道等で領海警備の仕事をしている組織だということも多くの国民に知ってもらえていると思います。しかし、海上保安庁が、実際にどれくらいの予算で、どれくらいの人員がいて、どれくらいの守備範囲の仕事をしているのか、有事の際にはどのような対応をするのか、といった運用の実態についてはほとんど知られていません。特に最後に挙げた「有事の際にはどのような対応をするのか」については、さまざまな“誤解”をもとにした議論が散見されます。しかも、安全保障に関心の高い人たちほどそうした“誤解”をしている傾向があるように思われます。日本は島国です。ご存じの通り、日本は、尖閣諸島における中国の領海侵入の問題や、韓国との竹島をめぐる問題、ロシアとの北方領土問題など、さまざまな問題を抱えています。我が国を取り巻く安全保障環境は年々厳しいものとなっており、日本の周辺海域は常に紛争の火種を抱えているといっても過言ではありません。その最前線で対応しているのが海上保安庁です。海上保安庁が“誤解”されたままでは、日本の安全保障をめぐる議論そのものが誤った方向に進んでしまうおそれがあります。当然のことながら、それは日本の国益を考えた場合プラスになりません。海上保安庁にまつわるさまざまな誤解を解いた上で、組織運営の実態を知ってもらい、地に足の着いた国家安全保障の議論をしてもらいたい――それが本書を執筆した大きな動機のひとつです。(はじめにより)【目次】第一章 国民みんなに知ってほしい海保の実態海保の非軍事性を明確に規定する庁法25条は不要?/庁法25条があるのはソ連の陰謀?/有事の際に「軍事目標」にならないために 他第二章 海保を軍事機関にするべきか領海警備を非軍事機関が担っているのは日本だけ?/東南アジアに多い海上保安庁モデルのコーストガード/法執行機関の「緩衝機能」は、いまや世界の共通認識 他第三章 海保と自衛隊の連携・協力海上保安庁の軍事機関化は“効率的”ではない/海保と海自で船舶燃料が異なるのは致命傷?/護衛艦を巡視船に転用しないと海警に対抗できない?/連携で重要なのは相手の「階級」よりも「役職」 他第四章 海上保安分野で世界をリードする海保「自由で開かれたインド太平洋」を具現化してきた海保/一省庁が全世界から組織のトップを集めて国際会議を開催/アジア諸国との“友情”を深めてきたキャパシティ・ビルディング 他第五章 海保は“絶対”に負けられない海上保安庁の“敗北”は紛争につながる/中国は「与しやすい相手」には強気に出る/海上保安庁に米軍がアプローチ/海警船を実力行使で尖閣から追い払うとどうなる? 他
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商品情報
- 著者
- 奥島高弘
- ジャンル
- 教養 - ノンフィクション・ドキュメンタリー
- 出版社
- ワニブックス
- 書籍発売日
- 2024.01.23
- Reader Store発売日
- 2024.01.23
- ファイルサイズ
- 25.6MB
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この作品のレビュー
平均 3.0 (4件のレビュー)
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タイトルと帯から最前線の事案、ドキュメンタリーを想像していたが、安全保障に意識高い系の方々の論点となる庁法25条に関する説明と背景がメインの書籍。
海上保安庁の準軍事組織化のメリット、デメリットに関し…て、これまでの様々な活動実績から冷静に意見を述べている。
我が国の安全保障、防衛力の強化・防衛装備品の増強に関する議論を行う前に、まずはこの書籍を読んでみることは新たな視点を得るためにも必要であると感じる。続きを読む投稿日:2024.02.04
海保の存在意義、海自との違い、あくまで法執行機関であることの説明に大部分が割かれている。海保の種々の活動の具体的な部分の説明は少なく残念。
海保理解の取っ掛かりにはなる。
読了30分投稿日:2024.03.07
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