殺人者たちの「罪」と「罰」:イギリスにおける人殺しと裁判の歴史
ケイト・モーガン(著)
,近藤隆文(翻訳)
,古森科子(翻訳)
/草思社
作品情報
人を殺した人間は、
どのように裁かれるべきなのか?
――殺人にいたる理由をどこまで視野に入れるべきか?
――外的な圧力や絶望的な状況は殺人の理由になるか?
――殺害する意図がなかった場合の罪をどう考えるべきか?
――責任能力の概念をどのように適応すべきか?
――法人による殺人をどう裁くことができるか?
過去に起きた驚愕の事件の数々を俎上にのせ、
人命を奪った人間の「罪」と「罰」が定義され、
分類されるプロセスを明らかにするスリリングな考察。
正しい「裁き」をめぐる社会意識の変遷を浮き彫りにする異色の社会史!
【本書「プロローグ」より】
私たちは殺人(謀殺)がほかのどの罪よりも高位にあることに慣れている。それは刑法上、ほかのどの犯罪よりも地位が高い。・・・・・・しかし、すべての謀殺が平等なわけではない。すべての殺人者を平等に扱うべきか否かという問題は、長きにわたり司法制度を悩ませてきた。・・・・・・また一九世紀に医学と精神医学が進歩した結果、裁判所も一部の殺人者は罰と同じだけ助けを必要としていることを認識しなくてはならなかった。
殺人の真実はどんなフィクションよりも奇妙で、暗鬱とし、人の心をつかんで離さない。それは物語の継ぎはぎ細工、罪と罰の物語であるばかりか、正義と不正義の物語、人間と土地、ごく個人的な悲劇の物語だ。そのどれもが絶え間ない社会の変化と政治的激動を背景に起こっている。
この歴史をたどることで、こうした死が今日の私たちの生活に与えてきた影響が見えてくるだろう。結局のところ、いちばん怖い話はきまって本当の話なのだ。
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英国の事務弁護士ケイト・モーガン初の著書。
かの地における古来から現代までの正しい〈裁き〉を巡る考察。
英国の法律では人間を殺害する行為全般を
「殺人(homicide)」と呼び、
計画的犯意…のある殺人を「謀殺(murder)」、
計画的犯意のない殺人を「故殺(manslaughter)」
というカテゴリーに分ける(日本でも旧刑法では
このふたつに分類されていた)。
これに加え、下位分類として交通事故による死や
法人による殺人があり、
いずれの事例にも容赦なく切り込んでいく(p.395 訳者あとがき)
■イントロダクション――汝、殺すなかれ
犯罪の話題と切り離すことが出来ない刑罰の問題。
■第一章――決闘場
18世紀英国の裁判において
謀殺と故殺の罪を区別する初期の試みがなされた。
■第二章――悪の狂気
英国では18~19世紀にベスレム王立病院や、
それに類する施設が、
異常な状況で他者の命を奪った殺人者の受け入れ先になった。
■第三章――自治領の外へ
1884年9月に発覚した、遭難した帆船ミニョネット号の乗組員が
仲間の一人を殺害して食糧とし、生還した事件。
■第四章――まかせてください、医者ではないので
両大戦間の十年余りのうちに、
裁判所の広範な介入によって
英国の殺人法を取り巻く状況が激変した。
■第五章――収穫逓減とキャピタル・ゲイン
1955年の復活祭の日の夜、タヴァーンの傍の舗道で
交際相手を射殺し、後に絞首刑に処された
ルース・エリス。
■第六章――HIRAETH(ヒーライス)
1966年、南ウェールズのアバヴァン(アベルヴァン村)で起きた、
炭坑近くの盛り土が長雨の影響で崩落し、
麓の小学校を呑み込んだ事件。
■第七章――鏡に口紅
冤罪の問題、あるいは
量刑には被害者による“挑発の蓄積”と
加害者の精神状態が考慮されるべきだと
考えられるようになったこと。
■第八章――法人
故人を死に至らしめたのが特定の人物ではない死亡事故について、
英国で法人が裁きの対象となるまでの道のり
→法人故殺法の成立は2007年(!)。
■第九章――謀殺:手引き
英国の法曹界において謀殺と認識される事象と現実とのズレ,
限定責任能力と被害者による加害者への挑発行為の新しい定義,
法人故殺罪の適用,
あるいは母親による嬰児殺しを取り巻く法律や
危険な自転車運転致死罪導入の是非について。
※後でもっと詳しいことをブログに綴る予定。
https://fukagawa-natsumi.hatenablog.com/続きを読む投稿日:2023.11.24
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