可燃物
米澤穂信(著)
/文春e-book
作品情報
米澤穂信、初の警察ミステリ!
二度のミステリーランキング3冠(『満願』『王とサーカス』)と、『黒牢城』では史上初のミステリーランキング4冠を達成した米澤穂信さんが、ついに警察を舞台にした本格ミステリに乗り出しました。
余計なことは喋らない。上司から疎まれる。部下にもよい上司とは思われていない。しかし、捜査能力は卓越している。葛警部だけに見えている世界がある。
群馬県警を舞台にした新たなミステリーシリーズ始動。
群馬県警利根警察署に入った遭難の一報。現場となったスキー場に捜査員が赴くと、そこには頸動脈を刺され失血死した男性の遺体があった。犯人は一緒に遭難していた男とほぼ特定できるが、凶器が見つからない。その場所は崖の下で、しかも二人の回りの雪は踏み荒らされていず、凶器を処分することは不可能だった。犯人は何を使って“刺殺”したのか?(「崖の下」)
榛名山麓の〈きすげ回廊〉で右上腕が発見されたことを皮切りに明らかになったばらばら遺体遺棄事件。単に遺体を隠すためなら、遊歩道から見える位置に右上腕を捨てるはずはない。なぜ、犯人は死体を切り刻んだのか? (「命の恩」)
太田市の住宅街で連続放火事件が発生した。県警葛班が捜査に当てられるが、容疑者を絞り込めないうちに、犯行がぴたりと止まってしまう。犯行の動機は何か? なぜ放火は止まったのか? 犯人の姿が像を結ばず捜査は行き詰まるかに見えたが・・・・・・(「可燃物」)
連続放火事件の“見えざる共通項”を探り出す表題作を始め、葛警部の鮮やかな推理が光る5編。
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商品情報
- シリーズ
- 可燃物
- 著者
- 米澤穂信
- ジャンル
- 小説 - ミステリー・サスペンス・ハードボイルド
- 出版社
- 文藝春秋
- 掲載誌・レーベル
- 文春e-book
- 書籍発売日
- 2023.07.25
- Reader Store発売日
- 2023.07.25
- ファイルサイズ
- 0.4MB
- ページ数
- 280ページ
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この作品のレビュー
平均 3.8 (356件のレビュー)
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警察小説でなく警察ミステリー
著者初の警察ミステリーだが、単に「警察小説」と言わないのは、本書が組織小説を目指していないため。
県警捜査一課の物語ながら、組織内の複雑な人間模様や署員の私生活は省き、葛警部という探偵役の名推理に焦…点が当たる。
部下たちが足で稼いできた数々の手がかりを前に、葛は捜査本部で一人沈思黙考して答えを出す。
そこに常人には考えつかない跳躍とも呼べそうな推理によって毎回検挙となるため、上司は「お前の部下たちは一人前なのか」と勘ぐられることに。
各賞を総ナメにした要因も、この組織物と本格ミステリのバランスが絶妙だったのかも。
著者のインタビューを読むと、最初から葛警部を主人公にした連作短編を構想していたのではなく、雑誌社からの単発の短編の依頼が発端。
巻頭の「崖の下」のトリックをまず思いつき、そこから舞台をどこにするかとか探偵は誰にするかを決めていったという。
トリックありきだったので、凝ったキャラ設定は必要ないと考え、部下は徹夜で張り込みさせても自分はちゃっかり仮眠をとるような、仕事に徹した割り切った葛の性格が発表後に思いのほか好評で、シリーズ化が決まったと。
部下からしたら、葛からの問いかけへの返答だけで、自分の能力が値踏みされているかのような冷徹さ、恐ろしさを感じている。
雪山での殺人で誰も現場から持ち去っていないのに凶器が見つからない、なぜか?
そんなの崖下の氷柱を削って凶器にしたから消失したんだよ。
どういうわけか収集日の前夜に出された可燃物だけが何者かに火をつけられる、なぜか?
そんなの収集のルールを守らない奴らへの教育的指導だと勘違いした放火魔の仕業でしょ。
すぐ思いつきそうな安直な推理はあっけなく打ち破られる。
葛は「直感とは観察力の蓄積が発した警告だ」と嘯くように、聞き取った証言や集められた物証に感じた違和感や不自然さに対し、とことん拘り疑ってかかる。
本筋に関係ないところで面白かったのは次の2点。
警官になんとか話を聞いてもらいたいばかりに老人が、「私はこんな目にあった」「今でも体に痛みがある」などと大げさに誇張した訴えを口にしていると、「痛みがある?救急車呼びます」「えっいまは痛くない?いや、痛いと言われたのだから、きっちり診察を受けてもらう」と返されるシーン。
一度聞いてしまった以上、専門家の判断を仰がないと「あぁそうですか」と帰せなくなるという警察あるあるの話。
もう一つは時代を感じさせる話だが、一昔前であれば、一般企業に定年まで勤め上げた71歳の男が退職後も警備員として働き続けていると聞いたら、必ず何か特別な事情があるのではないかと身辺調査をかけていたが、いまでは特段に裏を取る必要性もなくなったというところ。
世知辛い話だ。続きを読む投稿日:2024.02.26
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読んでいて、何だか懐かしくなった。若い頃に父母の本棚にあった刑事ものミステリィを読んでいるような気になって。米澤穂信さんの作風の広さが感じられて、とても楽しめました。またアイデアが降りてくれば、続編も…楽しめるかも、と期待して待っています。続きを読む
投稿日:2024.06.02
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