「中国」という捏造:歴史・民族・領土・領海はいかにして創り上げられたか
ビル・ヘイトン(著)
,小谷まさ代(翻訳)
/草思社
作品情報
習近平は言う。
「五〇〇〇年以上にわたる歴史のなかで、わが国は優れた文明を作りあげ、
人類に卓越した貢献をし、世界における偉大な国家の一つとなった」。
だが、実際には「中国」とは近代になって強引に創り上げられたものにすぎない。
「中華民族の均一性も、中国の国境線も、さらには国民国家という概念さえも、
すべて一九世紀後半から二〇世紀前半に捏造されたものなのだ」(序章)
中国が五〇〇〇年間ずっと統一国家であり統一国民であったという神話の虚構性を、
「中国(チャイナ)」という国名と概念の導入から、
歴史、民族、言語、領土、領海など広範にわたって詳細な資料をもとに検証する。
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この作品のレビュー
平均 3.3 (4件のレビュー)
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「中国」
チャイナ 19世紀後半から 欧米で使われる
中国=文化を持つ場所 自国の名前ではない 統治する王朝名を自国名としていた
キャセイ=内陸アジアの契丹に由来
「主権」
国際法として…の国家=領土と主権 →1912年 中華民国=初めての国名 孫文
フランスのスペイン侵略1808年 アメリカ大陸の植民地独立 ペソ銀貨価値低下
中国 清 銀塊価格上昇 デフレ 輸入困難 食糧難 私貿易商人 アヘン戦争
中国古来の主権=支配者の権力 朝貢国と天下万国=中国 衰退へ
現代中国 人類運命共同体 一国の天下=他国干渉と国際的なルールはすべて排除
華僑 海外に中国人を祖先に持つ華僑6000万人
「漢民族」
清史編纂委員会
民族=国民 1901年に造語した中国語 白色人種と戦うための黄色人種の統一
政治改革のための歴史編ざん:中国=5000年続く漢族とそれに同化した諸民族
「中国史」
中華民族=中華民国 1911年 孫文
異なる民族の融合 五族共和(満州、漢、モンゴル、ウイグル、チベット)
「中国語」
広州と香港のテレビ、教育 広東語を普通話へ
長江デルタの住民は東南アジアから来た
「官話」(マンダリン) 漢族の官僚の話し言葉
「文」読み書きの言語 地域の発音で読める
清=満州語 辛亥革命で消滅し「官話」が「国話」に
「言文合一」 話し言葉と文字の一致 人口の半分の北京の話し言葉を採用
「領土」 リントゥ
teritoryの訳の日本語を借用 中華民国創立時の国境は曖昧
国恥地図 清朝が失った領土(疆域ジィァンユー=王国の境界)
蒋介石 台湾と朝鮮は緩衝国家 1945年 台湾「光復」へ
モンゴルが独立、チベット強制、ロシア、インド、ベトナムとの国境は近年に決定
「領海」
九段線 パスポートや国内の地図に明示義務
1906年のイギリスの「シナ海水路誌」からの誤訳で海中の岩礁も島とした
南沙諸島、西沙諸島 どの国も領有権を主張する根拠がない
「中国夢」
西洋発の帝国主義の遺産 「主権」「領土」 歴史神話の創造 続きを読む投稿日:2023.06.06
時間がなくて少し読んだだけで図書館に返却してしまったけど、おもしろかった。そもそもの中華思想というか、皇帝は代々自分のところが天下万国の中心だと思い込んでいてそれ以外のところはすべて臣下だと思っていた…らしい。なので各国が平等に主権を持っているなどという考え方は到底理解できなかった。朝貢の儀式が重要なので、外国人はそれさえやって臣下のふりをすれば、たくさんお土産をもらって儲かったとのこと。そのうち外国がやってきたことや日本の急速な近代化を見たりした人が象徴的な儀式でなくバックに軍事力がなければやられてしまうことに気づいて奏上するも、これまで儒教の勉強しかしてない役人たちはいつまでもあきれるほどに周囲の状況、つまりは国際法にうとかったらしい。そうこうしているうちに日清戦争には負けるし、他の外国との外交交渉でも妥協を余儀なくされ、大清国は消滅してしまった。
周金平はこの天下万国の中心という考え方をしているようで、主権という言葉をゆがめていると書いてあった気がする。続きを読む投稿日:2023.11.16
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