キーエンス 高付加価値経営の論理 顧客利益最大化のイノベーション
延岡健太郎(著)
/日本経済新聞出版
作品情報
生産財企業に求められるイノベーションは、顧客企業が大きな価値を享受できるソリューション提案です。
自社の商品と顧客企業の現場での提案を組み合わせて、顧客企業の売り上げや利益が向上し、コストが低下する提案ができれば、顧客はその費用対効果に応じて、大きな対価を支払ってくれます。
本書は、この視点から、生産財企業を日本で最もうまく経営しているキーエンスを事例として、イノベーションの論理と実践の両面から説明するもの。
キーエンスは自動制御機器、計測機器などの販売および製造を行う生産財企業。
「最小の資本と人で、最大の付加価値をあげる」という経営理念を掲げ、2020年度も含めて過去30年以上にわたって売上高営業利益率が平均40%を超える日本の製造業としては最高レベルの業績を上げています。
さらには2021年度は営業利益が4180億円と日本を代表する製造業の一つとなっています。
キーエンスにとっての価値創造の鍵は、「世の中にない商品」によって「顕在化していない潜在ニーズ」を発掘することにあります。顧客がほしいと思うものをそのまま提供するのではなく、顧客が「こんなものがほしかったんだ」と新たに気づき、本当に喜ぶものを提供し、顧客の利益拡大に貢献するのです。
本書は、これまで研究者の調査・取材に応じることがなかったキーエンスから、本として初めて出版協力を得たもの。なぜキーエンスが成長し続ける企業なのかを論理的に解明します。
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商品情報
- 著者
- 延岡健太郎
- 出版社
- 日経BP
- 掲載誌・レーベル
- 日本経済新聞出版
- 書籍発売日
- 2023.03.13
- Reader Store発売日
- 2023.03.13
- ファイルサイズ
- 4.1MB
- ページ数
- 288ページ
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この作品のレビュー
平均 4.1 (10件のレビュー)
-
『キーエンス。高付加価値経営の論理』
具体性☆☆☆☆☆
納得度☆☆☆☆☆
圧倒的☆☆☆☆☆
1)購読動機
キーエンスは、営業利益率50%、時価総額国内10位以内の高成長企業です。しかし、その経営の…論理については、あまり知られていません。この本は、キーエンスを長年にわたり取材してきた著者が、キーエンス公認のもとで書いた数少ない書籍です。そのため、購読しました。
2)キーエンスの経営の基本
キーエンスの経営の目的は、付加価値(事業で稼ぐ利益)の最大化です。その方法は、顧客企業の利益につながる商品の開発・販売です。具体的には、顧客企業の売上を増やす、またはコストを削減する商品を提供します。顧客企業の利益が増えるということは、その利益が社会に還元されていくということです。
3)付加価値を最大化するための仕組みと考え方
①業績に対する考え方
キーエンスでは、組織やチームで業績を達成するという考え方があります。業績賞与があるので、会社が獲得した付加価値利益の一部が社員の給与に加算される仕組みです。そのため、社員は業績すなわち付加価値を獲得する動き方となります。
②営業に対する考え方
キーエンスの営業は、プロセスと結果の両方に注目します。過去の行動の蓄積(原因、結果)により、何をすれば結果につながるのか?が体系的に整理されています。具体的には、営業活動(いつ、どの企業の、どの部門に、どのような行動をするのか?)やデモのやり方(何を目的に実施するのか?どこに重きをおくのか?など)が明確になっています。
③時間チャージの考え方
時間チャージとは、会社が計画で稼ぐ付加価値総額を全社員の就業予定労働時間で控除した金額です。この割当てられた時間チャージ額を上回る動き方が、付加価値総額の達成に近づくという運営です。例えば、A社員の時間チャージが1万円、B社員が3万円の場合、二人が商談にいった場合は、1時間あたり4万円以上の利益が必要です。累計で50時間で受託した場合は、4*50=200万円以上の付加価値が必要です。
④資料作成時間の考え方
資料作成時間も時間チャージの一部です。そのため、資料作成にかかる時間も記述します。これは、それ以上の付加価値が見込める内容なのか?を客観的に判断するためです。
4)顧客に選ばれる理由
①機能的価値と意味的価値の訴求
顧客が商品を購入する場合、機能的価値(スペック。**が良いという領域)と意味的価値(使用・経験する価値、意義が大きいという領域)があります。キーエンスの商品が粗利益率80%で売れ続けている理由は、他社と比較して意味的価値を訴求できているからです。具体的には、その商品を入れることで、どのような利用用途で、どの程度の費用対効果が見込めるのか?を説明し、顧客に理解させています。
②商品ハンドブックの活用
意味的価値を訴求するためには、商品ハンドブックが重要です。商品ハンドブックには、商品の機能、導入方法、利用方法、費用対効果、事例などが記述されています。営業は、このハンドブックを利用して、顧客に明確に説明できます。これは、商談とは別にロールプレイを行っているからです。
なお、機能的価値は形式知であり、整理も判断もしやすいです。一方で意味的価値は、暗黙知になりやすいがゆえに重要度が高いです。そのため、この意味的価値も商品ハンドブックに記述しています。
5)すべての業務が「顧客起点」
キーエンスでは、すべての業務が「顧客起点」です。顧客にとって意味があるのか?すなわち、顧客の付加価値を増加させる内容なのか?という視点で行っています。商品、パンフレット、市場動向調査など、すべてにおいてこの視点が重心です。
①カタログ、事例の作成
キーエンスでは、カタログや事例は何度もやりなおします。顧客はどのような順番で、どのような内容を、どのような文言で説明されると、理解できるのか?顧客の利益増加につながるのか?という視点で作成します。カタログや事例は、商品の機能、導入方法、利用方法、費用対効果などを網羅しています。
②中期経営計画の不要性
キーエンスは、中期経営計画を策定しません。策定することが顧客企業の利益増加につながるとは限らないからです。市場は絶えず変化するので、計画に執着するよりも、顧客企業の付加価値増加に取り組むことが、最終的にキーエンスの付加価値増加につながると考えているからです。
③新商品の開発
キーエンスは、新商品の開発にも積極的です。テーマが10個ある場合は、実際の価値を徹底的に調査して、どの商品に取り組むかを決めます。その際にマスカスタイゼーション(1顧客ごとに対応しながら、その需要、用途が市場の多くに適用できるか?)ができるかを検討します。続きを読む投稿日:2024.02.09
超高収入企業、キーエンスの秘密を書いた本。大学の先生が丁寧な取材で論理的に分かりやすく説明しています。例えば、キーエンスの製品を50万円で購入すると企業は100万円コストを削減できる。そういう製品を作…るため、キーエンスは顧客よりも顧客のことをよく知り、顧客が想像もしていなかったレベルの製品を作り出す。考え方はシンプルだけど他の企業が出来ていないことを行っている。ビジネスをする人全てが読むべき本です。続きを読む
投稿日:2024.03.23
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