彼女たちの山 平成の時代、女性はどう山を登ったか
柏 澄子(著)
/山と溪谷社
作品情報
山を駆けた女性たちの軌跡をたどり、平成の30年間を振り返る貴重な記録。
平成の30年間(1989-2019)、登山の世界で女性がどのように活躍してきたか。
代表的な人物へのインタビューを中心に、平成の登山史を振り返る。
それぞれの人生に山がもたらしたものとは何か。
『山と溪谷』2020年4月号から12月号まで連載した内容に、再取材のうえ、大幅に加筆・修正して単行本化。
■内容
1章 平成を登った5人の女性たち
山野井妙子、田部井淳子、谷口けい、野口啓代、遠藤由加
2章 テーマで見る女性登山者
山ガール、山小屋の女性たち、山岳ガイド、大学山岳部、スポーツクライミング、アルパインクライミング
もっとみる
商品情報
- 著者
- 柏 澄子
- ジャンル
- スポーツ・アウトドア - 登山
- 出版社
- 山と溪谷社
- 書籍発売日
- 2023.03.14
- Reader Store発売日
- 2023.03.14
- ファイルサイズ
- 8.2MB
- ページ数
- 256ページ
以下の製品には非対応です
この作品のレビュー
平均 3.5 (5件のレビュー)
-
この本の著者は、大学山岳部の後輩である。ぼくの時期はほとんど大学山岳部ではなく自分たちで作った山の愛好会だったのだが、山岳部を継ぐ部員の激減による存亡の危機に晒されたため、メンバーの多いぼくらの山の…会は山岳部に移籍合流した。著者の柏は、ぼくの卒業次年度に山岳部に純然と入部してきた生粋のクライマーである。
在学時期は重なっていなかったが、山の繋がりは一生である。人生の折々に会ったり話したりの付かず離れずの関係が他のどのメンバーとも続くので死ぬまで終わることはないのだと思う。ぼくが4年前に病気になって死にそうになった(と思わされた)とき、病室(それも無菌室)に柏澄子は、スキーとリュックを抱えて見舞いにやって来てくれた。
一月、毎年のようにクロカンや層雲峡のアイスクライミングを楽しみにやってくる時期ということで、その帰りに柏は時間を作ってくれたのだ。山の血湧き胸躍る冒険のドキュメント『冒険の蟲たち』を土産に持ってきてくれた。ぼくは柏の書いた『山の突然死』を用意しており、サインを乞うたのだが、サイン経験がないという彼女は楷書体で時間をかけて名前を書いてくれた。無理を強いて悪かったかなと苦笑しつつ、心より彼女の誠実がこもった不器用なサインに後でそっと手を合わせたものだ。
その柏澄子が、自分の人生の集大成を思わせる本書、山を恋う心とそれらを手に山へ向かっていった多くの山女たちの生き様への想いを込めて、本書を世に送り出した。有名無名な幾人もの山女たちの人生を各章毎に追いかけた本書は、自分という鏡と合わせて、ぼくらの心に印象的な映像を思い切り投影してくれる少しばかり不穏な本である。
おそらくは著者は、書くことよりも遥かに多くの時間を、実在の女性クライマーたちとの触れ合いの中で費やしてきたことだろう。多くの個性的な山女たちと、自分も同じように山に人生を賭けた女性として、心を通わせ、語り合い、濃密に過ごしたことだろう。本を書く以前からの山での知人として関わってきた女性も多く、彼女らは柏澄子が共に生きた仲間としても、読者の前に今もきらきらと登場する。それらの時間を濃密な文章に込めて、それぞれに個性溢れる女性たちの生を、時には死を、改めて語ることで柏は、自分の山女としての人生を見つめ返したことだろう。そしてこれからも辿るであろういくつもの山への想いを噛み締めているのだろう。
山も、他の多くのスポーツ同様、人生に絡み合う。もしや他のスポーツ以上に、人生を決定してしまう何ものかですらあるかもしれない。本書の秀でているところは、山に関わる者たちの共通項のように見える過剰とも言える強い想念を、より女性らしいリアリズムの光で照らし出したことだろう。女性にしかわからない生理、結婚、出産、あるいは社会的・無意識的な性差別、等々。女性の聴き手と語り手によらなければ引き出し得ない現実を、山と人生という括りの中で言葉として引き出し得たポイントが様々なページの中に顕著に見られるのが本書の秀逸なところである。
まだ片足しか山にかけていないという初心者の方も、クライムに日々人生を傾倒するベテランの方も、追憶の中の山行を時々蘇らせる老年の方も、毎日のように低山をいくつもハントし続ける健康で元気な中高年の方も、特に女性であればなおのこと、本書は楽しく読めることと思う。しかし、男性にとっても気づかされることは少なくない。女性部員の多かった学生時代、今も女性の多い地元の山岳会等々、思い当たることの多くが、この本の中でぼく自身の現在を刺激してくる。
山に登る人はもちろん、これから山を始めるきっかけにしようとする人、昔は山に良く登っていたけれども今はあまり登らないという人、少しでも山への想いがこころの片隅にある方であればどなたにもオススメの、山と人生の休憩地で手に掬った湧き水の如く心身に沁みわたる一冊である。続きを読む投稿日:2023.04.04
山野井妙子さんの凄さを、知ることができた。
山野井泰史さんに関する本を少し読み、奥さんである妙子さんに焦点をあてた本を探していて見つけた。
今まで読んだ本とは視点が違い、面白かった。投稿日:2024.04.11
新刊自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
※新刊自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新号を含め、既刊の号は含まれません。ご契約はページ右の「新刊自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される「増刊号」「特別号」等も、自動購入の対象に含まれますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると新刊自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約・新刊自動購入設定」より、随時解約可能です続巻自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
- ・優待ポイントが2倍になるおトクなキャンペーン実施中!
※続巻自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新巻を含め、既刊の巻は含まれません。ご契約はページ右の「続巻自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される特別号等も自動購入の対象に含まれる場合がありますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると続巻自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約自動購入設定」より、随時解約可能ですReader Store BOOK GIFT とは
ご家族、ご友人などに電子書籍をギフトとしてプレゼントすることができる機能です。
贈りたい本を「プレゼントする」のボタンからご購入頂き、お受け取り用のリンクをメールなどでお知らせするだけでOK!
ぜひお誕生日のお祝いや、おすすめしたい本をプレゼントしてみてください。※ギフトのお受け取り期限はご購入後6ヶ月となります。お受け取りされないまま期限を過ぎた場合、お受け取りや払い戻しはできませんのでご注意ください。
※お受け取りになる方がすでに同じ本をお持ちの場合でも払い戻しはできません。
※ギフトのお受け取りにはサインアップ(無料)が必要です。
※ご自身の本棚の本を贈ることはできません。
※ポイント、クーポンの利用はできません。クーポンコード登録
Reader Storeをご利用のお客様へ
ご利用ありがとうございます!
エラー(エラーコード: )
ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。