人間はなぜ戦争をやめられないのか
日下公人(著)
/祥伝社新書
作品情報
「平和」を誤解している日本人のために―――ウクライナで続く戦争は、ロシア対西側(NATO諸国)という第三次世界大戦を招くのか――。戦後78年、世界各地で戦火が絶えることはなかった。なぜ人間は戦争をするのか。平和主義者は「戦争について考えるから戦争が起きるのだ」と言う。だが著者は、太平洋戦争をはじめとする史実を検証し、むしろ「平和な時こそ戦争の危機が訪れる」と、逆説的な歴史の教訓を説く。そして戦争は政治の延長であり、外交の一手段なのだから、国家はそのための戦略と戦術を「設計」しなければならないと訴える。他の追随を許さない「現実主義」に基づく、先駆的戦争論にして不朽の名著、堂々の復刊!※本書は、1996年に『人間はなぜ戦争をするのか――日本人のための戦争設計学・序説』(クレスト社)として刊行され、2000年に三笠書房より文庫化(知的生きかた文庫)されました。2004年、祥伝社にて『人間はなぜ戦争をやめられないのか――平和を誤解している日本人のために』と改題・改筆・再編集して刊行。今回の新書化にあたっては、全体を再構成・加筆・修正して、新たに「まえがき」を書下ろし、写真を変更しています。
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商品情報
- シリーズ
- 人間はなぜ戦争をやめられないのか
- 著者
- 日下公人
- 出版社
- 祥伝社
- 掲載誌・レーベル
- 祥伝社新書
- 書籍発売日
- 2023.01.31
- Reader Store発売日
- 2023.02.27
- ファイルサイズ
- 3MB
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この作品のレビュー
平均 5.0 (3件のレビュー)
-
この本は元々は今から27年前の1996年に書かれたものです、私の記憶によればその本が文庫化された2004年頃に読んだ記憶がありますが、当時はこのようなレビューを書いていなかったこともあり読んだ感想を覚…えていません。そして最近になって新書化されたこの本を本屋さんで見つけました。
この本の著者である日下氏の本は数多く読ませていただき、35年になろうかとする私の社会人生活において大変ためになったのを覚えています。この本は日下氏が新たに「まえがき」を書かれただけでなく、構成や内容を修正及び加筆されたもので、現在起きているウクライナ紛争について触れています。
戦争とは設計するものである、それがないと泥沼になっていく、外交の延長に戦争がある、ということがやっと理解できた気がします。
社会人となった平成元年以来、多くの著者の方の本を読ませていただいてきましたが、多くの方がすでに鬼籍となられています、あと何冊読めるかわかりませんが日下氏も頑張ってほしいと思います。
以下は気になったポイントです。
・大東亜戦争終結から今年で78年、その間に戦争が何回あったか、内戦を含めれば累計135である、中には、シリア・ソマリア・カシミール・パキスタン・イエメン等、今も続いている戦争がある。人間は戦争をやめられない動物である、戦争は始めるのは容易だが、終わらせるのが極めて難しい。今回のウクライナ紛争もそうである(p4)
・戦争を終わらせるのは政治家のみが担う仕事である、政治家が戦争を根本的に考え「どのようにおわらせるか」までを設計しなければならない、この戦争設計をできる人がいない国には、停戦も終戦も訪れない。(p5)
・人間の前頭葉は物事の発生した順番を記憶できる回路で、発生した順番を記憶できるのは時間感覚につながる、そして次の段階では、後に起きたことは前に起きたことの結果であると考えるようになる、仏教でいう因果関係の発見である。(p19)ありもしない危険を作り出すのが前頭葉の犯す過ちでもある、先制攻撃をするのは人間だけで、だから人間社会には争いが絶えない(p20)
・ビザとは入国許可証、パスポートは本国への再入国許可証である、パスポートは、もう一度自分の国に戻るために必要なものである(p21)
・自衛隊が海外へ出動するのは、国連決議がある場合に限られている、だから安保理で拒否権を持っている常任理事国には全く抑止効果がない(p30)自衛隊が戦うのは、日本領土に敵軍が侵入した時と、自衛艦や自衛隊機が攻撃された時だけ、他の国にとっては、日本の領土・領空・領海に入らず、日本周辺ではやりたい放題で、怖いのはアメリカ軍の出動のみ(p31)
・脅威は「意図」と「能力」に分けられる、侵略する意図があるのか、侵略する能力があるのか、ということである。日本はプルトニウム爆弾を1年で100発作る能力を持ち、すでにH2ロケットを打ち上げ、H3ロケットを準備しているのでいつでもワシントンへ撃ち込める。原子力空母も日本の経済力なら3年もあれば5隻程度は作れる、だから新しい脅威になる(p56)
・戦争が始まるとアメリカの大学生は続々と軍隊を志願したが、日本の大学生は殆ど志願しなかったので、学徒動員が必要だった。誰もしないから強制措置が必要になった(p72)
・新都市計画法は、市街化区域と市街化調整区域を指定して、大都市部の農地には宅地並課税をするのが法律の中身である、農地は固定資産税が100分の1で相続税がかからないが、それをやめることにする。しかしこの課税は見送られたので、農民は大喜びして自民党様様となった。日本中の市街化区域の指定は途方もなく広がった(p85)
・昭和10年くらいまでは軍人の生活は大変だったが、盧溝橋事件が起きると、突然ボーナスがでて勲章が出るようになった。青年将校が515、226事件を起こしたのは、軍人がこのように不幸だった事情も見逃せない(p115)
・アメリカが第一次世界大戦に参戦したのは、財界がイギリスとフランスにたくさんお金を貸していたから、ドイツには貸していない。イギリス、フランスが負けると金を取りはぐれることになる、その要望が参戦を決めた本音であった(p149)
・戦略とは「目的に照らして、どの戦術を選択するか」であり、戦術とは「ある局面における戦い方」であり「あそこの陣地を取れ」と言われた時、損害を出さずに時間をかける、損害を出しても今日中に取るのも戦術である、戦術には何通りもあって、どの戦術が良いかは戦略によって決まる。戦略も何通りもあり、どの戦略で行くかは「政治」で決まる(p153)
・戦争が終わって中国を支配したのは、アメリカが支援した蒋介石政権ではなく、毛沢東だから、アメリカと日本は第二次世界大戦では惨敗である、この意味ではイギリスも負けている、中華民国も同様、勝ったのは、毛沢東の中華人民共和国とソ連である。勝ったとは、最初に狙った戦争目的を達成したかどうかである(p161)
・日本と中国は昭和12年以降、戦火を交えていたが、お互いに宣戦布告をしていない。当時アメリカには中立法があって、交戦国に対する融資や武器輸出を禁じていた。従って、日中両国が宣戦布告をすると、アメリカから武器を輸入できなくなる。アメリカの武器メーカ(ボーイング、ロッキード、ダグラス、カーチスなど)は、日中戦争のおかげで倒産寸前を助かっているので、アメリカは支那事変を戦争とは認定せずに武器輸出を続けた(p168)
・ポツダム宣言は、明らかに「平和のための講和条件の提示」であって、無条件降伏の勧告ではない、ドイツ政府は無条件降伏を承諾せず、そのまま瓦解したが、日本国はこのポツダム宣言を受諾して終戦した。すなわち「有条件降伏」であり、ポツダム宣言は勝者も拘束される条件である、5月8日「無条件降伏とは、軍隊の無条件降伏である」という対日声明を出した(p184)
・日本がベトナムから引き上げた時、ホーチミンは昭和20年9月2日に独立宣言をしていた、そこにフランス軍が入ってきた。ビルマも昭和18年8月1日には独立していた、なので新しい侵略国は、昭和20、21年における、イギリス・アメリカ・フランス・オランダである、日本がインドネシアから引き上げた後に、オランダが入ってきた(p192)
・日本は昭和16年12月8日に開戦するにあたって「日本は民族解放のために戦う、大西洋憲章と同じ目的である」と開戦の詔書に書くべきであった、植民地解放のためにオランダ・イギリスと戦うということにすればよかった(p209)
・戦後78年を経る今、日本が反省すべきことは、侵略でも大虐殺でもない、戦争を設計せずに、大東亜戦争へ突入したことである。このことを反省しない限り、日本は再び大きな過ちを繰り返すことになるだろう、それを防ぐのが政治の使命である(p216)
2023年3月13日読了
2023年3月19日作成続きを読む投稿日:2023.03.19
久々に日下公人の本を読んだ。これまでにも太平洋戦争を題材にしたビジネス本をたくさん読んできたが、この本は秀逸で、ビジネスへの参考度はかなり高いと思う。特に第三章の戦争設計についての記述は大変勉強になる…。やみくもに正面からぶつかったり、バカ正直な受け止め方や対応をするのは良くない。だが正々堂々が美徳と刷り込まれている日本人の戦争観は昔のままで、その後繰り返されたいくつかの戦争から何も学んでいないという指摘はご尤もだと思う。
歴史にもしは禁句、と言われるがそうやって思考停止するのではなく、あれこれ考えて学ぶ姿勢は必要だと思う。
続きを読む投稿日:2024.01.21
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