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文学

羽化の街

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あらすじ

第39回兜太現代俳句新人賞受賞の著者による第一句集

言葉の持つ象徴的なイメージが世界を構築する306句

序文 高野ムツオ
枝折文 小林恭二・穂村弘
本体184P(巻末に枝折文の小冊子付・8P)
装丁 小島真樹

小田島渚は、誰も知らない、もうひとつ別の世界を隠し持っていて、その世界といつも一人行き来しているのではないかと勘繰ってしまうことが折々あった
――高野ムツオ

清新な抒情と表現に対する冒険心が、良いあんばいで併存しており、いまだ荒削りな部分はあるにせよ、大器の片鱗を感じさせる
――小林恭二

表現の対象となったであろう事象が重い場合も、その残酷さの凝視とともに詩の歓びが失われていない
――穂村 弘

めくれば、象徴的なイメージが次々に噴き出す。〈みなかみに逝きし獣の骨芽吹く〉、川の上流で死んだ獣の骨が芽吹くさまに、自然の厳しさや死と再生の循環が示唆される。(中略)〈春野抜け乙女ら巨き船造る〉〈芋虫に咆哮といふ姿あり〉〈鶏頭をはみ出し灰となるミルク〉、イメージは複雑な多義性の豊穣をはらむ
――神野紗希「俳壇時評―多義性抱く象徴の力」
(河北新報/令和5年1月29日付け朝刊より抜粋)

みなかみに逝きし獣の骨芽吹く
子猫から子猫分裂したやうな
足生えて歩き出す岩はたた神
背中にも眼のある巨人青嵐
現身を欲して鹿の子の水辺
日輪のほどけし南瓜スープかな
蹄より馬は火炎に天の川
血だまりのごともつれ合ひ秋の蛇
あをぞらの果実捥ぐかに氷柱折る
やがて鳥の心臓が生む冬銀河
(高野ムツオ十句選)

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作品情報

Reader Store発売日
:
2023.02.28
ページ数
:
188ページ
ファイルサイズ
:
17MB