ディズニーキャストざわざわ日記――“夢の国”にも××××ご指示のとおり掃除します
笠原一郎(著)
/三五館シンシャ
作品情報
「ハッピーなことばかりの仕事などない」清掃スタッフ(カストーディアルキャスト)が描く、不安と夢の現場報告――これは私の実体験であるわれわれも人間だから、手を抜くこともあれば、ミッションを忘れるほどゲストに対して怒りを覚えることもある。仲間と会社の愚痴も言い合うし、給料が安いと不満を持ったりもする。それは本書をお読みいただければ、おわかりになるだろう。私が本書をつづろうと思ったのは、数多のディズニー本に対する違和感が一因だ。本書は模範回答的なディズニーランド像に対する現場からの実態報告でもある。そして、本書にあるのは決して「創作された物語」などではなく、すべて私が実際に体験したことである。――57歳で入社し、65歳で退職するまで、私がすごした8年間で見た“夢の国”の「ありのまま」の姿をお伝えしよう。●もくじ●まえがき――ディズニーランド、「ありのまま」の姿第1章 キャストの慌ただしすぎる日常某月某日 肉体労働者:暑い日も、寒い日も某月某日 何をしているんですか? :ゲストからの質問某月某日 ××処理:できればしたくない作業某月某日 ネズミ取り扱い注意:動物の死がい処理某月某日 ぎこちないスマイル:いつも笑顔なんてムリ?某月某日 ゴミ屋さん:清掃業への差別意識を考える某月某日 通勤ラッシュ: 「日常」と「非日常」の狭間で某月某日 走ると危険です:フルスピードのゲストたち某月某日 気になる個室:ノックに応答なし某月某日 誰が使ってもいいけれど:レストルームのマナー某月某日 キャストになる:会社員としての暗黒時代第2章 決して口外しないでください某月某日 お金の話: 「決して口外しないでください」某月某日 ここだけの話:不平不満が飛び交う場所某月某日 苦手な人:すさまじい「おもてなし力」某月某日 ディズニールック:守る人、守れない人某月某日 混んでいる日には・・・: “夢の国”にあるまじき声某月某日 恐怖! 埼玉県民の日:忘れてはならない記念日某月某日 早番、遅番:それぞれの苦労と役得某月某日 自己アピール:PHSとグループ通話某月某日 謎の落とし物:ヘアピン1個、届けますか?某月某日 三度のメシより好きなもの:心が浮き立つ「解消」某月某日 入園者数予測:不思議なくらい当たらない某月某日 出社から退社まで:これがキャストの一日某月某日 殴り合い:一度だけ目にした光景某月某日 妻の病:突然の宣告第3章 ヘンなゲスト、もっとヘンなキャスト某月某日 迷子:非日常の世界観を守るため某月某日 人間関係:SVからの思わぬ注意某月某日 取られ損:組合には入ったけれど某月某日 ディズニー愛の個人差:ティンカー・ベルが教えてくれたこと某月某日 ボランティア:ある少年との交流某月某日 身の上話:キャストたちのいろいろな前職某月某日 条件反射: 「お困りのことはございませんか?」某月某日 「神対応」の舞台裏:東日本大震災の現場で某月某日 難問:ゲストはいつも予測不能某月某日 コスプレ:制服姿でプカプカ某月某日 不人気キャラクター:人知れぬ哀しみ某月某日「おやっ」と思うこと:SCSEは実践されているか?某月某日 久しぶりのインパ:緊急事態宣言を受けて第4章 “夢の国”のリアルな風景某月某日 休憩室を観察する:キャストの職種別傾向某月某日 君子危うきに近寄らず:楽しみ方は人それぞれ某月某日 大人買い:キャストショップのマル秘活用法某月某日 去っていく人:たくさんの出会いと別れ某月某日 魔法の粉の使い道:彼女が本当に欲しかったもの某月某日 暇そうな人: 「バースデーシールください」某月某日 ハイテンション:ついていけない「サンクスデー」某月某日 褒めて、褒めて:真似したいさまざまな仕掛け某月某日 定年退職:さよならディズニーランドあとがき――大きくなったらキャストになりたい?【発行】三五館シンンャ/【発売】フォレスト出版著者について笠原一郎(かさはら・いちろう)1953年山口県山口市生まれ。一橋大学卒業後、キリンビール入社。マーケティング部、福井支店長などを経て、57歳で早期退職。東京ディズニーランドに準社員として入社。65歳で定年するまで約8年間にわたりカストーディアルキャスト(清掃スタッフ)として勤務。満員電車に乗って舞浜に通っていた日々を懐かしみながら“夢の国”の「ありのまま」の姿を本書につづる。
もっとみる
商品情報
- 著者
- 笠原一郎
- ジャンル
- 教養 - ノンフィクション・ドキュメンタリー
- 出版社
- 三五館シンシャ
- 書籍発売日
- 2022.01.21
- Reader Store発売日
- 2022.01.21
- ファイルサイズ
- 3.6MB
以下の製品には非対応です
この作品のレビュー
平均 3.8 (71件のレビュー)
-
「ディズニー好き?」と聞かれたら、もちろん答えは「イエス」。ここでの「ディズニー」は、ディズニー映画を指すわけでも、もちろんウォルト・ディズニーその人を指すわけでもなく、ランドもシーも含めた「東京ディ…ズニーリゾート」なのだけれど、そのように難なく解釈できるのはやはり好きだからだろうか・・・などとどうでもいいことを初っ端から書いてしまった。
本書は、キリンビールを早期退職し、ディズニーランドのキャストとして8年間働いた著者が書いた、キャスト目線のありのままのディズニーランドだ。
本書を知ってからすぐに図書館に予約をした。すごく興味があると思った。というのも、遠い遠い昔、大学時代、「ディズニーランドでバイト、いいかも」とちょっと思ったことがあったから。結局、「ちょっと遠い」とか「大変そう」とか「夢の国は夢の国のままであって欲しい」とか思って、つまり行動力がなく、実現しなかったけれど。
図書館の長い長い順番待ちの末、やっと借りることができて、すぐに読み終わった。短時間で読める本だったけど、予想通りとても興味深かった。
ディズニーランドのキャストといっても職種は様々。著者の笠原さんはカストーディアルキャスト(清掃スタッフ)として勤務されていたとのこと。ちょっとびっくりしたのは、このカストーディアルキャスト、様々なキャストの中でも人気の職種なんだとか。笠原さんが書かれるまでもなく、雨や暑さ寒さが大変そうなのに、みんなすごいねぇ、と思ってしまった。でも、考えてみれば、一番頻繁にゲストに関わる職種であるともいえる。清掃を主とする職種とはいえ、「ポップコーンこぼしました、すみません、お願いします」だけでなく、「〇〇はどこですか?」「パレードはどこからよく見えますか?」「バースデーシールください」など、本当に色んなことを聞かれ、頼まれ・・・まさしく「ゲストにハピネスを届けたい」という思いがない人は絶対にこなせない仕事だと思った。
しかし、まぁ、色んなゲストがいるもので、これは日常生活だろうと、夢の国だろうと関係ないのだろうけど、人間として基本的な礼儀や節度のない態度には読んでいてイラっとする。キャストの皆さんの忍耐強さに頭が下がる思いだった。
逆に笠原さんも書かれているように、すばらしい出来事もあり、きちんとした感謝は当然のこととして、わざわざ笠原さんを探して御礼を告げたというゲストには、何の関係のない私からも「彼らに幸あれ」と願ってしまった。
対ゲストの話題以外にも笠原さんがたくさん書いておられたのが、キャストの人間模様、人間関係など。ディズニーが好きで好きでキャストをしている人が多い中、全く好きではないというキャストもいるとのことで、少し驚きつつも、好きじゃない人がいても当たり前だし、笠原さんが言われるようにそっちの方が組織に多様性があっていいのかもしれない。ただ、常に横柄な態度で、ゲストに対してもそっけないキャストもいたようで、そんなキャストさんにはお目にかかったことがないので、かなり驚いた。それこそSVに注意されないのだろうか。(あ、でも、そのキャストはのちにゲストとトラブルになり退職したとか。)いくら夢の国・ディズニーとはいえ、特に「職場」となってしまうと、好きな人嫌いな人苦手な人がいて当然だけど、あいさつもしない人もいるとはこれまた驚いた。若い人にありがちな、自己中心的な勝気な態度なのだろうか。こういう人に限って、ゲストには愛想をふりまくのだろうかと考えたり・・・。
それにしても、SVの指示にちょっと反発したりする天邪鬼な著者に、なんか近いものを感じてしまった。
で、著者の笠原さんがこの本で何を伝えたいのか。
「オリエンタルランドよ、もう少し従業員の生活を守るために給料をアップしてくれ」だと私は解釈した。
これは日本全体に言えることだと私は思う。
本書によるとオリエンタルランドの約75%が準社員やアルバイトで成り立っているという。彼らは決して高くはない時給で雇われ、日本最高のおもてなしスキルを求められる。先述したようにディズニーが好きで好きでキャストをしている方も多いようで、特に妻子持ちの男性なんかだと他のバイトとの掛け持ちでがんばっているようだ。そういう若い人に、笠原さんは「正社員での就職」を勧めていたという。これ、疎ましく思った人もいたかもしれないけど、正論だと思った。いくらディズニーが好きでも、準社員やアルバイトでは自分の生活が潤わない。生活が潤わないと、仕事もディズニー好きという趣味も潤ってこない。
「将来キャストになりたいです」と手紙をくれる子どもたちがキャストに夢を持てるように、との著者の思いは、本書でよく伝わってきたと思う。
真面目に締めてみたけど、全体を通して、ゲスト目線でしか知らないディズニーをキャスト目線で垣間見ることができてとても興味深かったので、ディズニー好きにはぜひオススメしたい。
東京を離れてからも「年一ディズニー」を勝手に目標にしていたのだが、コロナ禍でもう数年東京にさえ行っていない。「ディズニー行きたい」という思いに拍車をかけてくれた本だった。続きを読む投稿日:2023.09.04
ディズニーの良いところも悪いところも裏側きちんと知れて良かった!
その面も含めてディズニーのキャストさんは凄いし、ファンになった!投稿日:2024.06.25
新刊自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
※新刊自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新号を含め、既刊の号は含まれません。ご契約はページ右の「新刊自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される「増刊号」「特別号」等も、自動購入の対象に含まれますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると新刊自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約・新刊自動購入設定」より、随時解約可能です続巻自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
- ・優待ポイントが2倍になるおトクなキャンペーン実施中!
※続巻自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新巻を含め、既刊の巻は含まれません。ご契約はページ右の「続巻自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される特別号等も自動購入の対象に含まれる場合がありますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると続巻自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約自動購入設定」より、随時解約可能ですReader Store BOOK GIFT とは
ご家族、ご友人などに電子書籍をギフトとしてプレゼントすることができる機能です。
贈りたい本を「プレゼントする」のボタンからご購入頂き、お受け取り用のリンクをメールなどでお知らせするだけでOK!
ぜひお誕生日のお祝いや、おすすめしたい本をプレゼントしてみてください。※ギフトのお受け取り期限はご購入後6ヶ月となります。お受け取りされないまま期限を過ぎた場合、お受け取りや払い戻しはできませんのでご注意ください。
※お受け取りになる方がすでに同じ本をお持ちの場合でも払い戻しはできません。
※ギフトのお受け取りにはサインアップ(無料)が必要です。
※ご自身の本棚の本を贈ることはできません。
※ポイント、クーポンの利用はできません。クーポンコード登録
Reader Storeをご利用のお客様へ
ご利用ありがとうございます!
エラー(エラーコード: )
ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。