徳川家康 弱者の戦略
磯田道史(著)
/文春新書
作品情報
徳川幕府が250年隠してきた真実を暴く!
信長、信玄、そして秀吉。圧倒的な強者を相手にしてきた家康はつねに「弱者」だった。それがなぜ天下人となったのか? そこには弱者だから取り得た戦略、ライバルからの旺盛な「学び」があった。第一人者が家康の実像に迫る。
はじめに――家康はどうしたのか!
第一章 「境目の土地」三河という運命
第二章 信長から学んだ「力の支配」とその限界
第三章 最強の敵・信玄がもたらした「共進化」
第四章 二つの滅亡 長篠の合戦と本能寺の変
第五章 天下人への道
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商品情報
- シリーズ
- 徳川家康 弱者の戦略
- 著者
- 磯田道史
- 出版社
- 文藝春秋
- 掲載誌・レーベル
- 文春新書
- 書籍発売日
- 2023.02.17
- Reader Store発売日
- 2023.02.17
- ファイルサイズ
- 2.8MB
- ページ数
- 192ページ
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この作品のレビュー
平均 3.9 (23件のレビュー)
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巧みな人心掌握術と悪運の強さ
2023年のNHK大河ドラマは、松本潤が演じる『どうする家康』で、弱虫だった家康が少しずつ成長して、天下人になるまでを描いてゆくようである。本書ではその弱虫だった家康を歴史学的に検証しながら、逆境に…学び続けた天下人の実態に迫ってゆくのである。
家康は強力な超人パワーと実行力に満ち溢れていた信長や、権謀術数と巧みな人心掌握術に優れ、さらに膨大な兵力と資力を誇る秀吉のようなカリスマではない。だが己が経験したことや見聞きしたことをひとつひとつ地道に積み上げ、信長や秀吉が成し遂げられなかった15代にも及ぶ長期政権の礎を築いた努力と辛抱の人だったようだ。また優れた家臣に恵まれていた……というより家臣の使い方が非常に巧みだったのである。
また当然のことながら、家康が天下人になるまでには、いくつかの障害と選択肢があった。まずは今川を裏切って織田と同盟を結んだこと、もしこの選択肢を誤っていれば、天下人どころか今川とともに滅んでいたことだろう。さらに武田信玄急死による武田軍廃絶や、本能寺の変で無事伊賀越えと成し遂げたという運の良さ、さらには天正大地震で秀吉側が莫大な被害を受けたことなど数え上げたらきりがないほど悪運に恵まれていたようだ。
さて今回の大河ドラマでは、家康の正室である築山殿をかなり美化しているのだが、歴史学的にはそもそも今川出身の築山殿にしてみれば、家康が今川を裏切った時点から恨み続けていたようであり、嫡男・信康においても、気性が激しく日頃より乱暴な振る舞いが多く、家康とは反目しあっていたとも言われている。従って単に信長の命令だけで、築山殿と信康を処断したわけではなく、家康の意向も含まれていたと解釈されているようだ。
また秀吉による関東転封も、家康自身はさほど不服だったわけではなく、むしろ秀吉との棲み分けや石高の大幅増加、関東平野や江戸湾などの地勢にも惹かれて積極的に受け入れたようである。
本書ではこのような話を織り込みながら、歴史学者的観点を踏まえながら分かり易く家康が天下人になれた経緯を描いてゆく。また190頁という新書版の薄さも手伝ってか、遅読の私でもたった3日であっという間に読破してしまった。寝苦しい夏の熱帯夜を忘れるためにも、是非手軽に本書を手に取ってみようではないか。
続きを読む投稿日:2023.12.06
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p14 記紀でいえば、ヤマトタケルを最後まで苦しめたのも、この地域でした。野原で火攻めに遭い、草薙の剣で難を逃れたのが静岡の焼津で、それを奉納したのが尾張の熱田神宮です。
熱田神宮はのちに武門の神とし…て厚く進行されます
p35 駿河の今川家の方が権威・文化を重んずる西日本の社会原理に親しかった
p44 日露戦争で、バルチック艦隊を撃破した参謀、秋山真之は、アメリカ留学時代に書いた天剣漫録に、世界の地図を眺めて日本の小なるを知れ。世界を統一するものは大日本帝國なり。家康は三河武士の赤誠と忠勤によりて天下を得たりと記しています。
三河で家康が発揮した外交力です。三大国に囲まれて、いかに生きるか。そこで最も大事なのは、3つのうち、l最低一つ、できれば2つを味方にして敵にまわさない、ということです。小国が3つの大国をすべて敵に回したら、滅ぶほかありません。昭和の大日本帝國は、この過ちをおかしてしまいました。
p68 歴史は、どのように尾ひれがつくかも大事です
p73 信長疲れの総決算が、明智光秀
p76 信長型は、求心力が強く、急速に成長可能ですが、ブラック化しやすく、メンバーが信長疲れを起こします。秀吉型も強力な成長志向で拡大路線には強いが、朝鮮出兵の失敗のように、行き詰まると、やはり秀吉疲れの弊害が表面化します。そのなかで、もっともサスティナブルだったのが、家康の棲み分け路線だったのです。
権威の支配と力の支配をみて、家康はその両方の限界を知りました。そのうえで、あんばいよく、たどり着いたのが、互酬信用の支配だったのでしょゆ。そして、こらが日本社会によく適合したのです。
p97 家康に過ぎたるものが2つあり。唐の頭に本多平八郎忠勝
p103 酒井忠次の諜報力と分析力
p115 激戦地帯の二股 そこで重要なのは鍛冶屋 鍛冶屋の家からうまれたのが本田宗一郎
二俣城を徳川勢から守り抜いたのが依田家 家来の手塚家 手塚治虫
p115 奥田氏 山家三方衆 奥三河の有力な三豪族
p117 家康が天下を取った後に、薩摩には島津、福岡には黒田、l長州には毛利といった油断のならない大名が居座ることになったそこで用心深い江戸幕府は、宮崎の延岡と大分の中津に、親徳川である譜代大名をおいた。このとき、中津藩を任されたのが奥平家
p119 長篠の合戦といえば、かつては信長家康方は鉄砲隊を三段にならべ、かわるがわる撃たせることで、押し寄せる武田の騎馬団を撃退したといわれてきましたが、これは後に作られたイメージ
p125 組織にとって最大のダメージは、やはり人を失うこと
長篠の合戦で武田側は多くの重臣を失った 山県三郎兵衛昌景、馬場信春、内藤昌秀、真田源左衛門尉信綱、
p130 出頭人 主君の前にしょっちゅう顔をだして、可愛がられる便利な者 大岡弥四郎 武田に内通していた
p132 多様性や混在よりも、仲間内での同質の安心をとる組織伝統は、徳川支配のなかで発展したもの
p133 大岡弥四郎が岡崎の信康にとりいったことでもわかるように、武田が攻撃目標にして目につけたのが、徳川家の家庭内の不和
p140 武田は、徳川同様、織田の家中にも離間工作を盛んにしかけていた
p145 徳川は、織田にしられないように、武田の落ち武者をかくまった 依田信蕃(二俣城)
p150 今川氏真や、末期の武田勝頼のように、戦わないリーダーにはだれもついてこない。それが戦国という時代です
p186 中国の古典に、馬上天下を得るとも、馬上で天下を治るを得ず。という言葉あります。軍事力で天下をとれても、力だけでは天下を治めることはできない。これは駿河時代の家康にふさわしい言葉でしょう
p187 信長、秀吉、家康の死生観
信長 死なうは一定、しのび草は何をしよぞ、一定かたり遺すよの(人はだれでも死ぬものだ、行きているうちに何をするか、人は語り残してくれるだろう、行きているうちに語り草になるようなことをやるべきだ、というわけです)
人間50年、下天の内をくらぶれば、ゆめ幻のごとくなり
(自分はしんだらそれまでなんだ)
秀吉 露と落ち霞と消えし我が身かな浪速のことも夢のまた夢
(一代で天下をとっても、死んだらすべて夢のようなものだ)
消える世界観
家康 先に行くあとに残るも同じこと連れて行けぬ別れとぞ思ふ
(殉死を思いとどまらせる歌。死後に残された人にポイントがおかれていて、自分がいなくなっても徳川の世を続けよ、というメッセージになっている)
嬉しやと再び覚めて一眠り浮世の夢は暁の空
永続の世界観続きを読む投稿日:2024.05.26
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