ものがわかるということ
養老孟司(著)
/祥伝社
作品情報
自分を自由にしてくれる養老流ものの見方、考え方。「わかる」とはどういうことなのか、それが「わからない」。じゃあ説明してみましょうか、ということでこの本が始まりました。それなら私が「わかるとはどういうことか」わかっているのかと言えば、「わかっていない」。「わかって」いなくても、説明ならできます。訊かれた以上は、何か答えるというのが、教師の抜きがたい癖なのです。(本文より)学ぶことは「わかる」の基礎になる考えることが自分を育てるものがわかるとは、理解するとはどのような状態のことを指すのでしょうか。養老先生は子供の頃から「考えること」について意識的で、一つのことについてずっと考える癖があったことで、次第に物事を考え理解する力を身につけてきたそうです。養老先生が自然界や解剖の世界に触れ学んだこと、ものの見方や考え方について、脳と心の関係、意識の捉え方について解説した1冊。
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この作品のレビュー
平均 3.9 (12件のレビュー)
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自分って「変わっていってる」のわかってる?
人生の意味なんか「わからない」ほうがいい。
世界をわかろうとする努力は大切だが、同時に知りえないことも了解しておく必要がある。
「理解したい」とか「わかりたい」というのは、それだけみんなが意味を求…めているから。
世の中、実は意味のないものが大半なのに。
でもみんな、意味のあるものしか価値がないと思っている。
すべてが意味に直結する社会に生きている。
意味を求めたがっているのは意識だが、現代はそれが肥大してしまっている。
なぜなら世界がどんどん複雑化していくため、意識は必死に単純化して、なんとか説明付けしようとしている。
人間は脳が発達したことで、「違い」だけでなく「同じ」という感覚を意識の中に生み出すことができるようになった。
この「同じ」という感覚が、相手の立場だったらと、自らを相手と「交換」する能力を育んだ。
人間の脳は、個人間の差異を無視して、同じにしよう、同じにしようとする性質をもち、できるだけ多くの人に共通の了解事項を広げていくように発展した。
その際に有効なツールとなるのが言葉や記号だが、現代はこれらが溢れ過ぎた情報社会で、動きや変化を止めるピンの役割をもつ記号と、絶えず変わり続ける人間との間で齟齬が生じている。
情報や記号は一見動いているように見えるが、実際は動いていない。
なぜならそれらは、作られた瞬間から動きを止めてしまうからだ。
考える際に非常に便利な言葉も、思考停止の道具になってしまっている。
「知るとは自分が変わること」で、学びを得て世界が変わったように見えても、実際は見ている自分自身が変わったにすぎない。
こうした「自分が変わる」ことを棚上げにしているのが未来予測で、「ああすれば、こうなる」なんて予測がアテにならないのは、常に自分の変化を無視して組み立てられているからだ。
養老先生は映画の例を引き合いに出して、変わらない記号や情報と、変わり続ける自分を説明しているが、CGなんて嘘と誤摩化しの塊。
画面の中に映る登場人物は喋っているように見えても、見えるだけで喋っていない。
動いているように見せてるだけで、そこにあるデジタルデータのピクセルは1ミリも動いていない。
単にピクセルの色が変えているだけ。
そもそも動画が動いて見えるということ自体が錯覚で、よく言われているように、犬はそもそも映画を見ることができない。
クリエイターやエンジニアは、タネのわかった手品をどれだけ巧く作れるか。
心に個性があるなんてチャンチャラおかしくて、あるのは共通性だけだ。
そもそも他人にも理解できない心情がわかったなんて言う方が、頭おかしい。
お互いに気持ちがわかり合えてるとしたら、そこに壁はないはず。
如何ともしがたい個別性、私だけのものやあなただけのものがあるとしたら、それは身体だけ。
ゆえに脳も個性だと言える。
しかし、脳が生み出す意識や心は、先ほども言った通り、共通性を目指した「共通了解の世界」のため、同じもの、つまり個性はないのである。
SNSも「同じ」をつくり、違いを認めない。
そこに身体性は皆無なのだ。
インタビューを文字起こししたであろう本書は、著者の独特の文章のリズムが発揮されず、物足りない。
最後に、後輩にむけての金言を紹介。
「好きなことをやりたかったら、やらなくちゃいけないことを好きになるしかない」続きを読む投稿日:2023.05.15
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″個性″についての考えはとても納得しました。
確かに一定の『型』という基準があり、どうしてもそこから外れるのが個性ですね。型がないのによ〜いドンで個性を伸ばせと言われても基準との差異がわからないので何…を伸ばしていいかわからない。結果悩む。
文体から語りかけてくる養老先生が想像できる一冊です。続きを読む投稿日:2023.05.30
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