カルト宗教
紀藤正樹(著)
/アスコム
作品情報
◎マインド・コントロールなどの勧誘の手口や活動内容
◎収奪や虐待など人権蹂躙の実態
◎カルト宗教と政治(家)との関係
◎家族や知人を脱会させる方法と脱会後について
◎国や私たちがこれからすべきこと
本書では、みなさんにぜひとも
知っていただきたいことを
あますことなく紹介しました。
カルト宗教やカルト的な団体に関する
深い知識を身につけていただきたいからです。
なぜなら、彼らからあなた自身の身を守るために、
そして家族や知人が被害に遭わないために、
そして、被害に遭ってしまった人たちを救うために、
とても必要なことだからです。
一時的にカルト的な団体は息を潜めました。
しかし、社会の関心もほどなく薄れていきました。
カルトに対する社会的規制を
恒常的に敷き続けるためには、
多くの人々にカルトの実態を
把握していただくことが必要です。
これが被害者をなくすための、
まさに第一歩となるのです。
カルト的な団体を野放しにしては
いけないということを、
みなさんになにがなんでも
知っていただきたいのです。
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この作品のレビュー
平均 4.0 (6件のレビュー)
-
このレビューはネタバレを含みます
カルト宗教について、かなり以前から問題点が上がってきたのに日本ではずっと放置されてきていました。ようやく表面化してきて今この手の本が結構出ていると感じます。
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本書はその中でも当事者にかなり近い立場である弁護士が書いた本ということで、カルト宗教ってそもそも何だ?というところから実態や問題点などが大変わかりやすく書かれていて内容は軽くはないけれども大変読みやすい。
そして行間からはカルトと以前から闘っておられる著者の怒りと決意を端々に感じました。
数々あるカルトの中でも本書は統一教会に焦点を当てています。カルト宗教全般について知りたければ本書は足りないでしょうが、問題を考える入り口としては良い一冊と思います。
巻末に相談先や提言があるのも良いと思います。
投稿日:2023.03.12
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紀藤正樹(きとう・まさき)
リンク総合法律事務所所長。弁護士(第二東京弁護士会所属)。
1960年、山口県宇部市生まれ。大阪大学法学部卒。同大学院博士前期修士課程修了。法学修士。日本弁護士…連合会消費者問題対策委員会幹事を92年からつとめ、「ダイヤルQ2部会」「宗教と消費者部会」「電子商取引部会」などの担当副委員長、委員等を歴任。元第二東京弁護士会消費者問題対策委員会委員長。
市民の立場から、一般の消費者被害はもちろんのこと、宗教やインターネットにまつわる消費者問題、被害者の人権問題、児童虐待問題などに精力的に取り組んでいる
時に、法秩序や社会秩序を破壊する団体という意味で、世界平和統一家庭連合(統一教会)に代表される「過去に多くの社会的問題や事件を引き起こしてきた」宗教団体のことを、アメリカは一般のカルトと区別するために、「破壊的カルト」と呼んでいます。
カルト宗教を明確に定義することはできませんが、カルトと呼ぶに足る行為(社会的問題や事件)の例を示すことならできます。 内容をわかりやすく分類すると、挙げられるのは次の4つのタイプです。 ① 対社会妨害攻撃型 ② 資金獲得型 ③ 家族破壊型 ④ 信者・構成員収奪型
マルチ商法団体という正体を隠して勧誘活動に 勤しむ姿はカルト的宗教団体のそれと同様ですが、そもそも名乗る名前を持たないマルチ商法団体の手口は、じつに巧妙かつ悪質といわざるを得ません。 また、現代では「モノなしマルチ商法」が主流となりつつあり、 株やFX、暗号資産(仮想通貨)など、海外事業への投資を持ちかけた詐欺が増加の一途をたどっています。 もとより特定の条件を満たさない限りはマルチ商法自体が違法行為であり、「人に紹介すれば利益が増える」といった謳い文句に乗じると、被害者であるあなた自身も加害者になることを肝に銘じてください。
安倍元首相がビデオメッセージを寄せたことで取り沙汰されているUPFこと天宙平和連合も、NGO団体という肩書きで活動しています。 同団体が関わる「ピースロード」というサイクリングイベントがあるのですが、統一教会の活動の一環だと理解してこれに参加していた人は、果たしてどれだけいるのでしょうか。 こういったものは一種のダミー団体といっても過言ではありません。統一教会自体も、日本では2015年に「世界平和統一家庭連合」へと名称を変更し、その実態をわかりにくくしています。
カルトは、徹底的に正体を隠して近づいてきます。
昨今はプライバシー問題への意識も高まり、簡単に個人情報を見ず知らずの他人に教える人はほとんどいないはず。でも、意識の向けられていないところに危険は潜んでいるものです。 街中で声を掛けられるようなアンケート調査や姓名判断、番組の取材といったたぐいのものにも気を配るに越したことはないでしょう。 さらにいえば、自分自身の活動がカルトの一環だと知らずに、家族や友人、知人を勧誘してしまっているケースがあるかもしれません。
統一教会の存在が世間に広く認識されたのは、今から約 30 年前のこと。 1992年に行われた同団体が主催する合同結婚式に〝花の中三トリオ〟のひとりとしてアイドルブームを牽引した、桜田淳子さんが参加したことにあります。 広告塔としての活動はマスメディアからも批判を浴びることになりましたが、信者のなかでも彼女のような存在は特別扱いの例外でした。
カルト宗教の恐ろしいところは、教祖が「殺せ」と命じれば、なんの迷いもなく人殺しすら起こり得ることです。 その最たる例といえるのが、1995年に地下鉄サリン事件という未曽有のテロ事件を起こしたオウム真理教でしょう。 彼らの目的はサリンを撒いて人々を「ポア」すること。 ポアとはチベット仏教用語で死ぬときに魂がより高い世界に転生する(生まれ変わる)ことを意味しますが、それをオウム真理教は殺人行為の肯定、あるいは礼賛のために用いていました。 いくら宗教団体には信教の自由があるとはいえ、その行為が大きく社会通念から逸脱し、他人の人権を侵害していくのであれば、その限りで信教の自由も制限されて然るべきです。
「宗教に救われた」と言う人もいれば、「宗教は詐欺だ」と言う人もいる。 結局のところ、 宗教は正否で語れる問題ではない のです。 よくよく考えてみてください。 「私は宗教なんて信じていない」という人でも、受験のときに合格祈願をしたり、出産のときに安産祈願をしたり、納車のときにお祓いで交通安全祈願をしたり、なにかと宗教的な概念に金銭の支払いをしていませんか? もっと身近なところでいえば、みなさんも一度くらいはおみくじを買ったことがあるのではないでしょうか? おみくじは神社等に限らず、それこそ街中の至るところにあふれていますよね。 おみくじの結果がいかなるものであったとしても、詐欺だとして訴えを起こす人、被害に遭ったと思う人は、まずいないと思います。
以下に、カルトにハマりやすい人の典型的なタイプ(条件)を列挙します。どれかに該当していたら要注意。複数項目に及んでいる人は、本当に気をつけてください。 ① 大学に進学したばかりの人 ② 企業に就職したばかりの人(新入社員) ③ 最近、生活環境が変わった人 ④ 新しいことにチャレンジしたいと思っている人 ⑤ なにか社会の役に立つことがしたいと考えている人 ⑥ 素直な性格だといわれる人 ⑦ 孤独を感じるときがある人 ⑧ 健康に不安のある人 ⑨ 完璧主義といわれる人 ⑩ マインド・コントロールに絶対にかからないと思っている人
カルトは、そんなフレッシュな人たちを徹底的に狙ってきます。なぜなら、まだ新天地での人間関係が築けていないケースが多いから です。知り合いがほとんどいない状況のなか、最初の知り合いにならんとして、彼らは正体を隠して忍び寄ってきます。 親切で、話が上手で、性格も明るい。そんな人がフレンドリーに接してきたら、自然と心を許してしまうことでしょう。 入学したばかりの大学で、入ったばかりの会社で、まったく見知らぬ土地で、最初にできた〝親友〟を、いきなり疑えというのは無理な話です。 人間関係がどんどん深くなり、気づけば教団の関連施設に足を踏み入れるようになっていた──そんな例はいくらでもあります。
自分のことを信じて疑わない完璧主義者は、じつは危険極まりありません。 真面目で、信念がしっかりしていて、理屈っぽい人ほどマインド・コントロールに引っかかりやすい。これが現実なのです。 オウム真理教の幹部が高学歴の面々で占められていたことは有名な話ですが、その背景にこんな構造が存在していたということがわかれば、腑に落ちるのではないでしょうか。
そしてこれは、マインド・コントロールに絶対にかからないと思っている人にも、同じようなことがいえます。 自分に自信があり、相手の話に納得がいかなければ、きっちり反論し、場合によっては論破に臨むことも辞さないタイプ。裏を返せば、同意できる話や納得のできる話であれば、相手を認めてあげることのできるタイプです。
そして極めつきが、 89 年 11 月4日未明に起こった坂本弁護士一家殺害事件です。 オウム真理教の反社会性をくり返し批判し、被害者の会を設立するなどしてオウム真理教問題に取り組んでいた坂本堤弁護士が、奥さんと幼児を巻き添えにされるかたちで命を落としたことは、みなさんもよくご存じでしょう。続きを読む投稿日:2024.01.22
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