オンライン脳 東北大学の緊急実験からわかった危険な大問題
川島隆太(著)
/アスコム
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オンラインでのコミュニケーションは、今後、私たちの社会に大いなる悪影響を及ぼす可能性があるのではないか?
こうした危機感を抱いた私は、それを証明するために実験を重ね、驚くべき結果を得ることができました。一刻でも早くみなさんに知っていただくべく、私は本書『オンライン脳』を緊急出版することにしたのです。
オンラインなら、会社にも個人にもメリットが大きい、と思われているかもしれません。
ところが、ここに大きな落とし穴があるのです。「便利になった」のと、私たちの「脳がどう感じているか」は、まったく関連性がないことだったのです。
なぜ、「オンラインコミュニケーション」が問題なのでしょうか。
ひとつは、オンラインは「楽だ」ということです。肉体の移動をともなわずにコミュニケーションできるのですから、とても「楽」です。
一方、対面コミュニケーションでは、実際に人と接することで、脳がさまざまな刺激を受け、活発に働きます。オンラインでは「楽」をした分だけ刺激が少なく、脳の一部しか働かないのです。
また、対面でお互い顔を見ながらよいコミュニケーションがとれた場合には、お互いの脳活動が「同期する」という現象が起きます。
ところが、オンラインでは脳が「同期しない」という実験結果が出たのです。これは、重要なことを示しています。脳活動が同期しないことは、脳にとっては、「オンラインでは、コミュニケーションになっていない」のです。
情報は伝達できるが、感情は「共感」していない。つまり、相手と心がつながっていない、ということを意味します。
一刻も早く、対面でのコミュニケーションができる社会に戻さなければいけません。しかしながら、私は、オンラインはやめてコロナ前に全面的に戻れ、と言っているのではありません。オンラインの便利さは享受しながらも、私たちや子どもたちの脳にできるだけ悪影響が出ないような生活をしていかなければなりません。
本書で言うところの「オンライン脳」とは、「スマホ・タブレット・パソコンなどのデジタル機器を、オンラインで長時間使いすぎることによって、脳にダメージが蓄積され、脳本来のパフォーマンスを発揮できなくなった状態」を指します。本書では、オンラインと脳の賢い付き合い方についても書きました。ぜひ、参考になさってください。(「まえがき」より)
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この作品のレビュー
平均 4.1 (8件のレビュー)
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偶然だが、斎藤環と佐藤優の『なぜ人に会うのはつらいのか』を読んだ後にこの本。斎藤環の対談本は、対面の暴力性を解説し、オンラインと対面の両立が良いという話だった。本著は、オンラインの危険性を説く本。両面…から考える事で、より理解が深まった。ただ、結論としては、私はオンラインで十分だ。
オンラインでは脳の刺激が少なくお互いの脳が同期して共感すると言うプロセスが損なわれている。OECDの学習到達度調査によると学校にコンピューターが配置されればされるほど数学や国語の成績が下がると言うデータがあるらしい。
共感を齎す一つの因子が、視線。他者の視線が自分に当たったとき、脳の扁桃核が強く反応する。嫌なことや怖いことに直面したときに働く部位だ。脳が様々な感覚を処理する領域の中で、視覚情報を処理する領域が最も大きい。対面により、視線を得て、脳が働くという理屈だ。
著者は実際に東北大の生徒と共に、これを実験して立証している。リアルの方が脳が働く。それはそうだろう、と直感的にも理解できる。ゲーム麻雀よりも、リアル麻雀の方が緊張感があり、脳は疲れる。雑談を含む麻雀という目的以外の無数の行為、気遣い、肉体的な要素。当たり前では、とも思う。脳が楽する代替手段はオンライン以外に多数もある。洗濯だってボタン一つより、川で洗う方が脳が働くだろう。問題は、著者が言うように、〝それで脳が劣化するのか”という事だ。
指摘を読み続けよう。著者はスマホによる集中力の低下にも言及する。何かに集中しているときに妨害が入り、別のことをやり始めるスイッチング。スマホの長時間使用による学力低下の大きな原因の一つはこのスイッチングだと。LINEやSNSで散漫になる。これは確かに。私も読書をしながらスマホで調べ物をすると、ついつい余計なサイトを見ている。よく分かる。
最後、スマホやパソコンなど双方向型のデジタル機器を長時間使用する子供たちの脳は大脳灰白質と大脳白質の発達が遅れるのだと。毎日の使用が3、4時間以上の子供はほとんど発達が止まっているとか。んー、いや、実感としてこれは言い過ぎだろう。と思っていたら、回復可能だという。回復可能!それはそうだろう。社会にゾンビが増えているという実感は無い。結局、脳は働かない時間と働く時間を切り替えているだけで、スマホでアイドル時間になった部分を切り抜いて研究結果と言っているだけではないのか。脳トレ理論、ご健在。続きを読む投稿日:2023.01.26
この感想もスマホで書いていますが、やっぱりスマホは良くないことがよく分かります。対面でのコミュニケーションの大切さについてもサイエンスとして説明されていて納得です。
投稿日:2024.01.17
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