韓国カルチャー 隣人の素顔と現在
伊東順子(著)
/集英社新書
作品情報
韓国カルチャーが世界で人気を得る、その理由は?
韓国人にとってのパワーワード「ヒョン(兄)」の意味は?
一般富裕層とは違う、財閥の役割とは?
挨拶がわりの「ご飯を食べましたか?」が持つ意味は?
本書で取り上げるのは、小説・映画『82年生まれ、キム・ジヨン』、ドラマ『サイコだけど大丈夫』『愛の不時着』『梨泰院クラス』『Mine』『SKYキャッスル』『賢い医師生活』、映画『南部軍』『ミナリ』『タクシー運転手 約束は海を越えて』、小説『もう死んでいる十二人の女たちと』『こびとが打ち上げた小さなボール』『野蛮なアリスさん』など・・・・・・。
近年話題となった小説、ドラマ、映画などのさまざまなカルチャーから見た、韓国のリアルな姿を考察する。
【主な内容】
・キム・ジヨンはなぜ秋夕の日に憑依したか?
・治癒のための韓国料理、チャンポンとテンジャンチゲ
・日本とほぼ同時期に始まった、北朝鮮の韓流ブーム
・男の友情を南北関係に重ねる、パワーワードとしての「ヒョン(兄)」
・性的マイノリティと梨泰院
・『ミナリ』は『パラサイト』とは真逆の映画かもしれない
・財閥ファミリーの結婚
・3年前に大ヒットした、もうひとつの「上流階級ドラマ」
・悩める40代、エリート医師たちはどんな人生を選択するのだろう?
・自分が属するステータスを表す「住まい」
・チョンセの起源とその功罪
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商品情報
- シリーズ
- 韓国カルチャー 隣人の素顔と現在
- 著者
- 伊東順子
- 出版社
- 集英社
- 掲載誌・レーベル
- 集英社新書
- 書籍発売日
- 2022.01.17
- Reader Store発売日
- 2022.01.27
- ファイルサイズ
- 0.6MB
- ページ数
- 256ページ
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この作品のレビュー
平均 4.1 (14件のレビュー)
-
8月某日、実に4年ぶりにパスポートをつくった。これは旅の気分盛り上げ選書の3冊目。つまり次回外国旅はきっと韓国。本書は様々な韓国映像作品を伊東さんが読み解き、更に付随するカルチャーに言及した本です。た…だし、私の知っている作品が載っている「章」のみご紹介する。※すみません、作品自体の紹介は、冗長になるので省略します。
◯小説と映画、それぞれの凄絶「82年生まれ、キム・ジヨン」
伊東さんは小説版の解説も書いている縁で、小説は何度も読み込み、映画も韓国と日本で2回観たという。そこで2つを丁寧に比較している。
韓国フェミニズム作品の嚆矢である。伊東さんはキム・ジヨンの性格豹変を「憑依」と表現する。確かに韓国の町を歩いていると、角のあちこちにムーダン(巫堂)の家がある。日本の恐山的な口寄せをする霊媒師は、韓国ではまだ日常なのである。映画には原作にない、ジヨンが祖母に憑依し、その娘(つまりジヨンの母)に語りかける場面がある。このシーンは母親役の演技力もあり、伊東さんはゾッとしたという。
映画は原作と結末が違う。その理由を、2015年(原作)と2019年(映画)では韓国社会が大きく変化したからだ、と伊東さんは言う。蝋燭革命を経て、当選した文在寅大統領はフェミニストを自認していた。希望が持てる内容になったのはそういうわけだ。
伊東さんは現代では韓国よりも日本のほうが、特に若い女性の置かれている状況はしんどいという。日韓逆転が始まったのは2000年代だ。2005年「戸主制廃止」。戸籍がなくなり、個人登録制に切り替わったそうだ。(関連ドラマ「あなたはまだ夢見ているのか」「黄色いハンカチ」「息子と娘」)2010年代「学生人権条例」で体罰禁止、服装頭髪自由、校内集会許容。中学生で茶髪もミニスカートもOKを経験した子が今は大学生になっている。←この点で確かに日本は遅れている。甲子園の長髪が未だに話題になるすごい国だもんな。次回行けば、高校生の茶髪率を注目してみよう。
◯韓国ドラマ・映画と北朝鮮
「JSA」(2000)では、主演はイ・ヨンエだったが、1番かっこよかったのは3番目の未だ若手だった北朝鮮兵士役のソン・ガンホだった。
◯映画「ミナリ」
「半地下の家族」に続いて、2年連続韓国はアカデミー賞に沸いた(ユン・ヨジョンが助演女優賞)。「ミナリ」とはセリのこと。韓食のセリは、海鮮鍋に大量に投入される。慶尚道人には万能薬。
韓国人口は約5000万人。海外同胞は700万人。米国国籍を取得した「韓国系米国人」と永住権者など「在米韓国人」合わせて約200万人。80年代韓国移民の話を描いて貴重。「パラサイト」と比べて「保守的」という批判を浴びた。
◯光州は世界をつなげる
パク・ソルメの短編集に「じゃあ、なにを歌うんだ」という光州民主化運動をテーマにしたものがある。主人公が京都のバーで白竜が「光州City」という歌を歌っていたことを聞く。この小説の登場人物(日本人)は、「その時代に生きていたから知っていて当たり前」という。その時代に生きていた私なのにこの歌(1980年発表)は知らなかった。この歌は日本では未だ発禁処分になっている(←YouTubeには韓国サイトのものしかなかった。日本語なのに‥‥)。2010年に、主人公は光州のバーで「あなたのための行進曲」という光州民主化運動のシンボルとなった歌を聴こうとして「何故今更聴くのか」と他の客と口論になる、という粗筋である。光州の位置付けは、それから10年で大きく変わったと伊東さんは言う。
映画「タクシー運転手 約束は海を越えて」(2017)公開がメルクマールだった。文在寅政権の絶頂期でもあり1200万人の観客を動員したという(国民の5人に1人以上は観た)。この本で初めて知ったが、不明だったタクシー運転手の実像が公開後に判明した。息子が証言したのである。運転手は実は語学も堪能だったので、光州に行く目的も危険も承知していてドイツ人記者とは同志関係だったそうだ。それどころか、日本の記者もこの時潜入していて同様に命かながら抜け出している(←日本のバラエティの再現ドラマにしたら、映画ばりにスリルあるものが出来るぞ!‥‥いや、多分絶対作られない)。写真は光州民主化運動記念館に展示されているという。全く気が付かなかった。次回行った時は必ずチェックしよう。
私も感動したテレビドラマ「砂時計」(1995)も外部者から見た光州民主化運動である。60%の視聴率。伊東さんはリアルで体験し、ホントに街が閑散となったという。
画家冨山妙子、音楽家高橋悠治共作の「倒れたものへの祈祷1980年光州」の存在も初めて知った。これらの運動が金大中の救出、名誉復活、大統領当選にまで繋がっている。これら日本の動きはもっと、韓国や日本に知られて良い。
←日本のメディアのみなさん、この「運動」を「光州事件」と呼称するのは、もう止めようではないか!光州市民は犯罪を犯したのでもない、反乱でも紛争でも戦争でもなければ、偶発的に起きた虐殺でもないのだ。
本書はWebサイトに連載(20.11〜21.09)文章を加筆・修正したもの。2022年1月発行。コロナ禍の下の「社会」ではなくて「文化」の雰囲気はなんとなくわかった。
続きを読む投稿日:2023.08.30
韓国に所用あり。少し話題としてカルチャーに触れておこうと思ったが、甘かった。何せ、韓国映画も韓国ドラマも見たことが殆ど無い。だから、向こうの芸能人が分からない。本著はその映画やドラマを切り口にした内容…だから、正直着いていけない。映画の話は映画を見た方が良いのだろう。唯一、理解し易かったのは『82年生まれ、キム・ジヨン』の話。これだけは、本で読んだから。
韓国人とは寧ろ日本や韓国以外の国での付き合いがある。お互い歴史観に相違があっても、特に欧米では、第三国への互いのコンプレックスからか同族意識が高まる。どこかで一線を引いているという事かも知れないが、何故かとても大切にしてくれた印象だ。そういう経験からのイメージを、映画により見出せるかは分からない。結局、自分の周囲は、自分の選択により、接する人も変わる。その点は、外国人か日本人かは、あまり関係ない。当然ながら、一概には語れないだろう。
今回の所用では、背伸びしてドラマの話をしてみるのはやめようと思った。自分たちは、目の前の自分たちであり、何も背負わなくて良い。続きを読む投稿日:2023.10.28
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