イスラームからヨーロッパをみる 社会の深層で何が起きているのか
内藤正典(著)
/岩波新書
この作品のレビュー
平均 4.2 (10件のレビュー)
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「イスラームからヨーロッパをみる」内藤正典著、岩波新書、2020.07.17
270p¥990C0236(2023.12.05読了)(2023.11.30借入)
副題「社会の深層で何が起きているのか」…
◆EUとトルコ
1952年、NATO加盟
1959年、欧州経済共同体との間で加盟交渉開始
1963年、「準加盟国」調停に調印
1996年、EUの関税同盟に参加
1999年、正式加盟交渉の候補国になる
2002年、コペンハーゲン基準に適合したと認められれば正式加盟交渉に入ることが合意された。
「コペンハーゲン基準」とは、民主主義、法の支配、マイノリティの人権の保障、市場経済への対応など
2004年、加盟交渉開始決定(キプロス共和国EU加盟)
(北と南のキプロスが、統合されることがEU加盟の条件とされていたけど、統合が実現されないまま、EU加盟が承認されている)
2005年、加盟交渉開始
2006年、加盟交渉中断(トルコのキプロス共和国未承認がネックに)
(加盟交渉開始時には、キプロス共和国承認は、加盟条件には入っていなかった。フランスはトルコの加盟を嫌ったらしい。)
【目次】
はじめに
序章 ヨーロッパのムスリム世界
1章 女性の被り物論争
1 ムスリム女性の被り物をめぐって
2 政教分離と被り物
3 ヨーロッパ各国での状況
2章 シリア戦争と難民
1 難民危機
2 難民問題の原点
3 国際社会と難民
3章 トルコという存在
1 難民を受け入れた国、トルコ
2 トルコのEU加盟交渉は、なぜ途絶したのか
3 トルコの政治状況から読み解く
4章 イスラーム世界の混迷
1 「イスラーム国」とは何だったのか?
2 アメリカによる戦争
3 ヨーロッパと「イスラーム国」
5章 なぜ共生できないのか
1 ヨーロッパ諸国の政治的な変動
2 ドイツ―さまざまな立場からのイスラームへの対応
3 イスラームとヨーロッパ
おわりに 共生破綻への半世紀
あとがき
関連年表
●イスラームの考え方(176頁)
イスラームには、人種や民族によって人を区分する考え方がない。したがって、同じ民族から国家をつくるという民族国家の考え方はない。信徒の共同体(ウンマ)が国家をなし、そのなかのムスリムが国民ということになる。その頂点に立つのがカリフ(預言者の代理人)である。
●民族国家と移民国家(237頁)
ヨーロッパ諸国は、アメリカ、カナダ、オーストラリアのように、もともと移民からできている国ではない。したがって、原国民以外の人間が定住することに強い違和感を示しやすい。その問題を避けるには、たとえばフランスのように、人種や民族や宗教を問わず、フランス共和国の理念に共鳴し、原則を遵守し、個人として共和国に参加するという論理を使うか、オランダのように最初から文化の多様性を保証する以外に国民として統合する方法はない。しかし、もともと血統にもとづく国民概念を採用してきたドイツの場合、ドイツ人の「血」が流れているかどうかとキリスト教の伝統にこだわるのである。
●ムスリムの信仰実践(252頁)
ムスリムは一日五回の礼拝を守り、ラマダン月には断食し、貧しい人には喜捨をして、メッカへの大巡礼をするのかというなら、する人もいるし、しない人もいる。
●「ジハード」(252頁)
「ジハードというのは何も信仰の敵と戦って抹殺することではない、みずからの信仰を正すために善行を積むこともジハードだ」
敵を殲滅に行くタイプのジハードに凝り固まっている信徒もいれば、日々の生活で、弱い立場の人を守るために戦っている人もいる。
☆関連図書(既読)
「ヨーロッパとイスラーム」内藤正典著、岩波新書、2004.08.20
「トルコ 建国100年の自画像」内藤正典著、岩波新書、2023.08.18
「イスラームの日常世界」片倉もとこ著、岩波新書、1991.01.21
「グローバル化とイスラム」八木久美子著、世界思想社、2011.09.30
「イスラム国の正体」国枝昌樹著、朝日新書、2015.01.30
「ルポ 難民追跡――バルカンルートを行く」坂口裕彦著、岩波新書、2016.10.21
「シリア情勢――終わらない人道危機」青山弘之著、岩波新書、2017.03.23
「コーラン(上)」マホメット談・井筒俊彦訳、岩波文庫、1957.11.25
「コーラン(中)」マホメット談・井筒俊彦訳、岩波文庫、1958.02.25
「コーラン(下)」マホメット談・井筒俊彦訳、岩波文庫、1958.06.25
「コーランを知っていますか」阿刀田高著、新潮文庫、2006.01.01
「ドイツリスク」三好範英著、光文社新書、2015.09.20
「世界最強の女帝メルケルの謎」佐藤伸行著、文春新書、2016.02.20
「フランスの異邦人」林瑞枝著、中公新書、1984.01.25
(「BOOK」データベースより)amazon
ヨーロッパとイスラームの共生は、なぜうまくいかないのか?シリア戦争と難民、トルコの存在、「イスラーム国」の背景。そしてムスリム女性が被るベールへの規制、多文化主義の否定など、過去二〇年間に起きたことを、著者四〇年のフィールドワークをもとに、イスラームの視座から読み解く。続きを読む投稿日:2023.12.13
イスラーム圏に少しでも身を置いたことがあるものとして、友人にも多くのムスリムがいる一人の日本人として、もっと早く読んでおくべきだった本。
一部の国では「宗教を批判することも、神を冒瀆することも、表現…の自由のうちに含まれる」は想定外で「自由」のレベルが我々の想像を絶していることを理解した。
いくら文字で「自由」と記載しても理解が違うんだな…そりゃぁ、お互いを分かり合うことは難しいし、共存も難しい。ただ、お互いを「尊重」することはできると思うのは日本人だからなのだろうか。いや、そうであって欲しくはない。続きを読む投稿日:2024.02.25
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