サラリーマン球団社長
清武英利(著)
/文春e-book
作品情報
「僕は“この人”一言でカープ復帰を決断した」
黒田博樹(元広島カープ投手)
「星野(仙一)さんと“この人”がいたから、タイガースは優勝できた」
金本知憲(阪神タイガース前監督)
【内容紹介】
旅行マンから阪神タイガースに出向した野崎勝義。経理部員から広島カープに転じた鈴木清明。野球の素人だった彼らは、ある日を境に突然、球団運営に身を投じることになる。「営業収益アップ」「商品販売の効率化」「上司の理不尽な命令」「異例の人事異動」「業務のデジタル化」・・・・・・異端な2人のサラリーマンが“どん底”球団の優勝にむけて行った改革とは!?『しんがり』『石つぶて』の著者が放つ渾身の企業ノンフィクション!
【著者プロフィール】
清武英利(きよたけひでとし)
1950年宮崎県生まれ。75年に読売新聞社入社。社会部で警視庁、国税庁を担当し、2001年より中部本社社会部長。東京本社編集委員などを経て、04年8月に読売巨人軍球団代表兼編成本部長。11年11月、専務取締役球団代表兼GM・編成本部長・オーナー代行を解任され係争に。現在はノンフィクション作家。『しんがり 山一證券 最後の12人』(講談社文庫)『石つぶて 警視庁二課刑事の残したもの』(講談社)『トッカイ バブルの怪人を追いつめた男たち』(講談社)など著書多数。
【目次】
第1章 傍流者の出向
第2章 赤貧球団なんでも屋
第3章 あきらめたらあかん
第4章 焼肉丼の味
第5章 下剋上人事
第6章 主流派との闘い
第7章 マネー・ボールのあけぼの
第8章 社長室はソロバンをはじいた
第9章 血を流す覚悟はあるか
第10章 「コア」をつかめ
第11章 サクラサク
第12章 ボロボロになる前に
第13章 枯れたリーダー
第14章 耐雪梅花麗
もっとみる
商品情報
- シリーズ
- サラリーマン球団社長
- 著者
- 清武英利
- 出版社
- 文藝春秋
- 掲載誌・レーベル
- 文春e-book
- 書籍発売日
- 2020.08.26
- Reader Store発売日
- 2020.08.26
- ファイルサイズ
- 3MB
- ページ数
- 328ページ
以下の製品には非対応です
この作品のレビュー
平均 4.2 (18件のレビュー)
-
本書の主役は、阪神タイガース 野崎勝義氏と広島東洋カープ 鈴木清明氏。いずれも元選手ではなく、行きがかり上、プロ野球界に背広組の一員として入ったバリバリのサラリーマン。
野崎氏は阪神電鉄の海外旅行部…門一筋のエキスパート、鈴木氏は東洋工業経理マン。この話は門外漢のふたりが球団改革に駆り出されていくところから話はスタートする。
著者は読売新聞社からジャイアンツに転身、GMを務めた。同一リーグのライバル球団のフロントマンとしてシノギを削った間柄。ゆえに親会社と現場の板挟み、オーナーの朝令暮改な指示に翻弄される中間管理職の悲哀…理解し合える、謂わば同士のような関係だけに文中にも時折「私」として登場し、見解を添える。
【広島東洋カープ 鈴木清明 氏の奮闘】
主催ゲームの売店で販売するちくわの仕入本数に悩み、フィットネスクラブの店長の辞令を受けたり、南米ドミニカ共和国でのカープアカデミーの担当者として派遣されたり、とにかくオーナーからの無理難題を押し付けられ、球団の基礎固めに奔走。球団運営に回ればエースと四番の高騰する年俸に対応できず、毎年の様にFA宣言され他球団へ流出。そう、育てては去られるの繰り返し。それでも鈴木氏は前を向きに『大木がなくなれば、そこに陽が差し、また新しい芽が出る』と語る。そんな苦境を乗り越え、念願のスタジアムの完成、大リーグの高額年俸を蹴りカープに電撃復帰した黒田博樹の男気、刃折れ矢尽き果てた新井の復帰、そして2016年の25年ぶりとなるリーグ優勝…。この裏には、鈴木氏の慈愛の精神と情熱、鈴木氏の手腕を信じ任せたオーナーの胆力が揃い、大団円を迎える。現在は常務取締役球団本部長として辣腕を振る。
【阪神タイガース 野崎勝義 氏の奮闘】
球団役員と言っても親会社の部長クラス。改革しようにもそこに立ちはだかる社内に巣食う営業・編成・スカウト各部門の既得権益者たち。様々な抵抗に遭いながら地道に社内の風土改革に励む。一番の難敵は野崎を抜擢した阪神電鉄会長兼球団オーナーの久万氏。対米追従の日本政府よろしく巨人の動向を気にし、日和見主義な言動を繰り返す。92年の2位を最後に10年間下位を低迷。観客動員も200万人を切る惨状ながら、大ナタと振ることは監督の首のすげ替えと信じて疑わない旧態依然の電鉄本社、群盲の守旧派が席巻する球団スタッフ。やがて野崎氏は社長に就任し、手を緩めることなく大胆な球団改革に着手する。それはベースボール・オペレーション・システム(BOS)の球界初の導入。
しかしながら、ここでも守旧派の抵抗に遭い、野崎氏の目論見は露と消える。システムの推進役は日ハムにヘッドハンティングされ、それを導入するや日ハムは常勝集団に突き進むという実に皮肉な結末をたどる。在任中二度のリーグ優勝を果たすも、その後野崎氏は球団を退任。
著者は野崎氏の肝いりで導入しようとしたBOSの頓挫について、ある事例を用いて解説する。
トヨタの生産システムである『カンバン方式』を導入・定着させた大野工場長は、自身の合理性と洞察力に加え、システムを徹底させるために時に『怒鳴り声』を上げた。従わない社員を怒鳴り上げてもやらせる気迫が加わってこそ初めて実現したシステムだったと。
翻ってタイガースには、その怒鳴り声を発する工場長がいなかった。本来なら球団本部長が陣頭指揮すべき者が守旧派のスカウト側に立って反対している有様。
当時を知る球団要職者は坦懐する。
『本社は2回優勝して満足してしまった。野崎さんはドラスティックに球団を変えました。彼の球団本部改革やスカウト改革を、私たちが推進することができなかったという自省があります。特に編成部長やその下のスカウトや現場の抵抗が強かった』。
昔、ある清廉な政治家が首相就任を打診された際に語った『表紙だけを変えたところで何も変わらない』。優勝から15年も遠ざかり、相も変わらず監督の首のすげ替えを繰り返し、功労者への労う言葉を持たない阪神球団。
この言葉ほど、この球団を言い得たものはない。
久々にトホホな読後感に苛まれた一冊。
続きを読む投稿日:2020.10.08
球団の運営とはもっと華々しいだと言う印象を持っていたけれども、実際のところはプレイする選手が目立っているだけで、支えているのはちょっとした中小企業、と言っては失礼だけれども、そういった旧態然の組織がつ…い最近まで来てやってきてたのだろう。
傍流から来たからこそ気づく、そこからあえて言おうと思える、そういう粘りを追いかけた話。
野崎は球団に関わるときに、阪神に関する書籍を片っ端から読むことで、自らの組織が世間からどのように思われているのか、期待されているのかをまず知った。
また、オーナーは読書家であることから、自説ではなく本を渡したとある。きっかけ作りのための戦略勝ち。続きを読む投稿日:2023.02.08
新刊自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
※新刊自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新号を含め、既刊の号は含まれません。ご契約はページ右の「新刊自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される「増刊号」「特別号」等も、自動購入の対象に含まれますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると新刊自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約・新刊自動購入設定」より、随時解約可能です続巻自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
- ・優待ポイントが2倍になるおトクなキャンペーン実施中!
※続巻自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新巻を含め、既刊の巻は含まれません。ご契約はページ右の「続巻自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される特別号等も自動購入の対象に含まれる場合がありますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると続巻自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約自動購入設定」より、随時解約可能ですReader Store BOOK GIFT とは
ご家族、ご友人などに電子書籍をギフトとしてプレゼントすることができる機能です。
贈りたい本を「プレゼントする」のボタンからご購入頂き、お受け取り用のリンクをメールなどでお知らせするだけでOK!
ぜひお誕生日のお祝いや、おすすめしたい本をプレゼントしてみてください。※ギフトのお受け取り期限はご購入後6ヶ月となります。お受け取りされないまま期限を過ぎた場合、お受け取りや払い戻しはできませんのでご注意ください。
※お受け取りになる方がすでに同じ本をお持ちの場合でも払い戻しはできません。
※ギフトのお受け取りにはサインアップ(無料)が必要です。
※ご自身の本棚の本を贈ることはできません。
※ポイント、クーポンの利用はできません。クーポンコード登録
Reader Storeをご利用のお客様へ
ご利用ありがとうございます!
エラー(エラーコード: )
ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。