ティファニーで朝食を(新潮文庫)
トルーマン・カポーティ(著)
,村上春樹(著)
/新潮文庫
作品情報
第二次大戦下のニューヨークで、居並ぶセレブの求愛をさらりとかわし、社交界を自在に泳ぐ新人女優ホリー・ゴライトリー。気まぐれで可憐、そして天真爛漫な階下の住人に近づきたい、駆け出し小説家の僕の部屋の呼び鈴を、夜更けに鳴らしたのは他ならぬホリーだった……。表題作ほか、端正な文体と魅力あふれる人物造形で著者の名声を不動のものにした作品集を、清新な新訳でおくる。
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商品情報
- シリーズ
- ティファニーで朝食を(新潮文庫)
- 著者
- トルーマン・カポーティ, 村上春樹
- 出版社
- 新潮社
- 掲載誌・レーベル
- 新潮文庫
- 書籍発売日
- 2008.12.01
- Reader Store発売日
- 2020.07.03
- ファイルサイズ
- 2MB
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この作品のレビュー
平均 3.9 (353件のレビュー)
-
映画版は途中で投げ出した。
高校生の頃、自由奔放で殿方を弄ぶヒロインに嫌気がさし"Moon River"を聴かぬまま電源を切ってしまったのだ。銀幕のHolly Golightlyとはそれっきり。とっく…に大人になってても良い頃合いなのに、あの頃の気持ちを中途半端に残したまま鑑賞できないと、未だにツッパっている。でもあの時もったいないことをしたとさすがに自覚はしているから今回(一方的な)和解をしようと、思い切って原作から乗り込んだ。
この奔放さは「しなやかさ」か。(便利な言葉…) 18歳とは思えないくらいしなやかに世の中を、殿方が見上げる垣根の上を悠々と渡り歩き、時たま寂しがり屋にもなる猫ちゃん。映画と違う箇所は恐らくストーリーの一部と時代設定、彼女の見た目年齢かと思われる。彼女が愛してやまないティファニーも読者の記憶にはそこまで残らず、恐らく原作だけじゃここまで話題に上がらなかったんじゃないかな…
それでいて村上春樹氏によるほぼ現代的な翻訳が、映画で刷り込まれたクラシカルでハイセンスな印象を多少だが取り払ってくれている。(あとがきは今まで読んできた中で一番主観的&赤裸々な書き様だった笑)
「君くらい枠に収まらない人には会ったことがない」
「それが私なの」
「読み進めるうちあるある」と言うべきか、当初は気に入らなかったヒロインの、出自やそこから生まれ出た信念を知るにつれ、少しずつだが情が湧いてきた笑 特にあの電報を受け取って以降は逞しさにも磨きがかかった気がする。
自分なんかが気にかけようが毛嫌いしようが、地表でも地底でも何食わぬ顔で生存してみせることだろう。そこが彼女にとっての「ティファニー」であればなお良しってとこか。
言い忘れていたが、本書はカポーティの短編集で『ティファニー』の他にも3編収録されている。都会的な『ティファニー』とは真逆の風合いとも言える『クリスマスの思い出』が特に惹かれたかな。飾り気のない文体はカポーティじゃなくて『ティファニー』の主人公(作家)が筆をとっているのでは?と謎の妄想も膨らませていた。締めくくりもまた『ティファニー』とは真逆だが、その分あの心象風景がそのまま心に沁み入ったのである。
村上氏の仰る通り、銀幕のHolly Golightlyとは全くの別人だった。しかし姿形が変わっても芯までは手を付けられていないと今なら信じていられるから、近いうちに会いに行ってみる!続きを読む投稿日:2022.03.06
表題作は映画化で有名だけれども、映画とは人物設定も時代背景もその他諸々も全く違う話。
映画もすごく良かったし、主演をオードリーに据えた時点でああいう風に変えざるを得なかったのはわかる。けど、訳者あと…がきにあるように、原作もいいので原作通りの映画を私も見たいですぞ。
【ネタバレっぽい】
化粧室に行くたびにお小遣いをもらうというのは、トイレへ行った際に従業員にチップを渡す習慣が分かっていないと何のこっちゃだよね。タクシー代を多めに渡すようなもので、主人公はいわゆる「いただき女子」、もしくは「エンコー女子」。犯罪者にも関わってしまうところが、お尻が軽くていらっしゃるというか、倫理観がゆるい。
でも、倫理観や貞操観念など、色んなものが破茶滅茶そうなホリーが、たまに発する詩的だったり含蓄のありそうな言葉がハッとさせられるほどいい。
「そうね、それが普通かもしれない。でも私は、普通よりは自然でありたいんだ。」
「四十歳以下でダイアモンドを身につけるのって野暮。(中略)似合うのはきっちり年取った女の人だけ」
「私が明日どこに住んでいるかなんてわかりっこないでしょう。だから住所のかわりに旅行中って印刷させたの」
「野生のものを好きになっては駄目よ。(中略)野生の生き物にいったん心を注いだら、あなたは空を見上げて人生を送ることになる」
「女たるもの、口紅もつけずにその手の手紙を読むわけにはいかない」
表題作以外の短篇三作も、けっこう個性的で面白い。
「花盛りの家」。結婚について考えさせられるというと陳腐すぎるんだけれど、主人公が嫁いだ家がすごいの。両親ではなく婆さんがいるんだけど、この婆さんが怪しげで性格悪くて。それに張り合う主人公もすごい。
「ダイアモンドのギター」。これは男同士の友情がテーマと言っていいんだろうか。それだけではなく主人公の若さへの憧憬と諦念もよく描かれていると思う。少しビターなお話。
「クリスマスの思い出」。少しわかりにくいところもあるけれど、ノスタルジックな気持ちにさせてくれる。最後の一文が最高に泣かせる。
それから訳者あとがきのボリュームたるや! やはりビッグネームな先生が訳すと違いますね。カポーティ作品の解説になっていて、けっこう面白く読みましたよ。
ただ、正直にいうと、あまりスムーズに読み進められなかった。村上文体がそこまで得意ではないせいなのか、カポーティがそこまで好きでないせいなのかは不明なので、もう一冊くらい読んで確かめたい気持ち。続きを読む投稿日:2024.06.07
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