血の轍(8)
押見修造(著)
/ビッグスペリオール
作品情報
咎(とが)の追及がママと静一に迫り来る!
家で転倒したはずみで、失われた記憶がしげるに戻った!?
そんなしげるがママに対して動揺する姿を見て、伯母さんはママを疑い出すも
静一はそれを全否定する。
そんな静一の姿にママは感動し、二人の仲はより強固で濃密なものとなる。
しかし、伯母さんがママに抱いた疑念は増幅し
ついに2人へ牙を剥き始めるーー!!
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商品情報
- シリーズ
- 血の轍
- 著者
- 押見修造
- 出版社
- 小学館
- 掲載誌・レーベル
- ビッグスペリオール
- 書籍発売日
- 2020.04.27
- Reader Store発売日
- 2020.04.27
- ファイルサイズ
- 39.9MB
- シリーズ情報
- 全17巻
※この商品はタブレットなど大きなディスプレイを備えた機器で読むことに適しています。
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この作品のレビュー
平均 4.5 (4件のレビュー)
-
このレビューはネタバレを含みます
目がイッテて怖いw 父親なんでキレた? こりゃフロイトのいう”抑圧されたものへの回帰”だな。近親相姦的固着、二人精神病、母ー胎児 の関係。押見作品は途中で飽きるケースが多くて今回もそうかなあ?と思ったけど、中盤から盛り返してきた。色んな要素が絡みまくってて面白い。特に目、目がすべてを表している!モヤのかかったような絵が、丁度いい。高崎が舞台だったかな、田舎の人間関係も一役かってそう。
レビューの続きを読む投稿日:2020.04.28
毒親ってどういうことかすごーくよくわかる。これはあまりにも毒を極めすぎてるけど…
親を中心に世界が回るどころか、世界に親しかいなくて、自分はいなくなる。自分という存在がないものにされる。
親の願望を…叶えて、親の嫌がることはせず、親が見たくないものは全て見なかったふりをして……都合のいい生き物でいなければいけない。ロボットになることすら許されない。
全てこの通りにしないと、居場所はなくなる。新しい居場所を作ろうとすると親の手で奪われて、更に辛いところへ追い込まれる。
そしてどんな悪いことがおきても責任は自分にあると思わされる。
静一は自分の内側の心も、外側の環境も、どんどんズタズタにされて、どんどん自分の価値も危ぶまれてきている。お母さんが好きとかどうとかの次元を超えてもう、母に見捨てられたら何もかも終わりって状態にされてしまったんだろうなあ。
母は気分で言うことを変えるし、少しでも「間違える」ことがあったらあなたはいりませんという態度を日頃からあえて見せているから、常に崖の際に立たされている感じだ。だから常に怯えてて、顔色を伺っているんだろうな。母の顔色を伺う時の静一の目が本当に…恐ろしくて痛々しくて…毎回毎回なんとも言えない気持ちになる。
もはや崖に立ててもいないのかもな、縛られて吊るされてるのかも。もがくと崖が崩れるんだなとよくわかるように、目はしっかり見開かされて。
静一って名前は母の静子と父の一郎からとったんだろうな。それを静ちゃんって呼んだら、静子になってしまう。静子の分身というか体の一部のようにしか生きることを許されていない。すごく悲しい。
被害者と加害者は、紙一重だったり両立されたりしていることはすごく多いのかもしれないな、ともあらためて思った。
一線を越えるか越えないかは、法律的な面も含めてやっぱり最も重視しなければいけないことだと考えている。静子がしたことは絶対に許されない。どんなに辛くても、もっと別の方向に進む選択肢を彼女は持っていたのだから。たとえ本人にはその選択肢を目視することができなかったとしても、できない状態まで追い込まれたのだとしても?加害は加害で、それは揺るがない事実だ。
一方で、おばさんたちが静子にしたことも、見ていてすごく嫌な気持ちになる。ひどいことをする権利があるかのように、自分は何一つ悪くないかのように振る舞われるとモヤモヤする。それも本当の気持ちだ。
加害者だからって蹴って殴っていいのか。そんなはずはない。でも被害者になった時、全部許してあたたかく接するのがいいって本当に言えるのか。わからない。そんな極端な二択で処理できる話ではない。
全部が、全員がまっ白でもまっ黒でもない。ただどちらかというとみんな黒っぽい。静一は何の罪もない被害者だったけど、ただの被害者でいられるラインを越えてもう加害者にもなってしまった。原因がどこにあろうとその事実は揺るがないものになってしまった。
素晴らしい作品すぎて本当に最悪だった。読んでて本当に息が詰まるし胸の奥がずーんと重くなる。なんて気持ち悪いのだろう。それでもまだ悪い方へ進むのが止まる気配がない。本当に嫌になる。(全部褒め言葉)続きを読む投稿日:2023.09.23
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