パンデミックとたたかう
押谷仁(著)
,瀬名秀明(著)
/岩波新書
作品情報
燎原の火のごとく広がる新型インフルエンザ.その世界的大流行は我々に何を問いかけているのか.小説家の想像力と専門家の洞察力とが切り結ぶ対話篇.過度に恐れず適切に恐れ,想像力をはたらかせ,この危機を乗り切る.根源を見すえた議論が,パンデミックに立ち向かう勇気と,冷静に対処する視座を与えてくれる.
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商品情報
- シリーズ
- パンデミックとたたかう
- 出版社
- 岩波書店
- 掲載誌・レーベル
- 岩波新書
- 書籍発売日
- 2009.11.20
- Reader Store発売日
- 2020.03.26
- ファイルサイズ
- 2.6MB
- ページ数
- 190ページ
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この作品のレビュー
平均 3.8 (13件のレビュー)
-
2009年の新型インフルエンザについて書かれているのに、2020年現在進行している新型コロナウイルスの現状を語っているかのような内容。日本、そして世界も一部の国を除いて同じこと(過ち)を繰り返している…ようで、これまでのパンデミックで何も学べなかったのかと忸怩たる思いも湧き上がる。冒頭の講演だけでも、ウイルスの感染性とその指標としての再生産係数、病原性、超過死亡といった、今では日常に耳にする用語が並ぶ。そして誰もが感染の起点になること、その「感染鎖」が遠くまでつながることを想像する大切性を説く。この想像することの大切さが本書のキーになっていると思う。幸いこの講演は、笹川財団のウエブサイトで再掲されているので確認できる。
本文ではプロアクティブに動くことの重要性、それぞれの当事者の役割を説く。政府は被害を最小限にするための基本戦略の策定(日本にはその戦略が欠けていることも指摘)、感染症の専門家は現状の分析と行政や一般へのアドバイス、医療従事者はキャパシティを超えたときにどうするかを考えることと地域の医療従事者の重要性、企業はBCPの策定と症状がある人が家で静かに休むようにできること!、地方自治体は住民サポートと広報活動、一般の人は想像力を働かせること、メディアはある一定のレベルの注意を保たせることを指摘する。
第3章では被害を軽減するために「流行のピークを遅らせる」「流行の規模を小さくする」「なだらかなピークにする」ことを挙げているが、これは現在のCOVID-19でも同様の方策が挙げられている。しかし残念ながら第2次の波が来ているようである。しかもそれが大きい。
押谷先生は現在新型コロナウイルス感染症対策分科会委員だが、どう見ておられるのだろう。彼の当時のポジションは、まるで今の西浦先生。本書は現在電子版のみ入手可能だが、示唆に富んだ内容であり、改めて学ぶためにも紙での再版を強く望む。それが無理であれば、現在のCOVID-19の感染について、ある程度収まったところで是非同様の分析書を出版してほしい。
後学のためメモをフレーズに。
速水融先生の研究成果、小松左京の「空中都市008」も登場。続きを読む投稿日:2020.07.24
新型インフルエンザ(2009年)の時に発売された本ですが、その後にエボラ出血熱(2014年)、新型コロナウイルス(2020年)のように、パンデミックは周期的に訪れています。その都度、それに対して学び、…そして忘れていく...世界はそんな流れになっている感じがします。この本の要は「極端に走らないこと」です。そしてウイルスの正体よりも、人間心理と言うか、それぞれが思惑に従った情報発信と情報選別をしている現実も描いています。正解がないだけに、ある程度、周囲に前ならえをする必要はあるかと思いますが、それぞれの価値観が違うだけに、難しい所もありますね。
私の論説も含まれますが、例えば、十分にソーシャルディスタンスが取れている野外でマスクをしている人が多い現実があります。今は熱中症対策でハズす事が奨励されていますが、それでも同調圧力があって、まだまだ進んでいません。そもそもマスクはいずいものなので着けたくないですよね?だからちゃんと自分の意志と理論に重きを置いて、マスクをする必要のない場所ではハズす!それがニューノーマルにおけるマナーだと思うんです。そうじゃないと、誰もマスクを着けなくても良いと思っている場所で、全員がマスクを着けているなんて言う、無意味で同調圧力の産物みたいなシチュエーションが生まれてしまいます。続きを読む投稿日:2020.07.09
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