夜行
森見登美彦(著)
/小学館文庫
作品情報
怪談×青春×ファンタジー、かつてない物語。
「夜はどこにでも通じているの。世界はつねに夜なのよ」
私たち六人は、京都で学生時代を過ごした仲間だった。十年前、鞍馬の火祭りを訪れた私たちの前から、長谷川さんは突然姿を消した。十年ぶりに鞍馬に集まったのは、おそらく皆、もう一度彼女に会いたかったからだ。夜が更けるなか、それぞれが旅先で出会った不思議な体験を語り出す。私たちは全員、岸田道生という画家が描いた「夜行」という絵と出会っていた。
怪談×青春×ファンタジー、かつてない物語。
春風の花を散らすと見る夢は
さめても胸の騒ぐなりけり
--西行法師
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この作品のレビュー
平均 3.7 (264件のレビュー)
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第一夜から、四つの旅先(尾道、奥飛騨、津軽、天神峡)での怪異変譚がそれぞれの人間から語られた。
4人の話の共通点は、知り合いの長谷川さんが大学時代、鞍馬の火祭りの最中失踪したということ。話の中に何故…か、岸田道生の銅版画の連作「夜行」(タイトルは尾道、奥飛騨、津軽、天神峡)が、姿を現すという事。
これは「四畳半」シリーズの森見登美彦の文体が封印された、「きつねのはなし」に通じる、京都怪異変譚の変化系である。ただし、京都が舞台になるのは「最終夜 鞍馬」のみ。
読んでいて、おそらくレビュアーの評価は賛否両論あるだろうと推測した。何故ならば、連作短編集ではあるが、繋がっているようで明らかに繋がっていないからである。「これは話が破綻しているのではないか」と訝(いぶか)る人もいるのではないか?と思ってレビュー読んだら殆どいなかった(^ ^;)。不思議話は不思議話として、そのまま受け止める日本人の「心性」があるのかもしれない。それこそ、古代から綿々と。
それはともかく、読み進めていくと、上記以外に或るキーワードが登場する。
彼女と話していると、心を見透かされているように感じることがあった。それでいて彼女は余計なことを一切いわなかった。どちらかと言えば内気で、自分だけの「夜の世界」を胸に秘めているような人だ。そういうところを俺は好ましく思っていた。
俺はそんな事を岸田に話した。
岸田は「興味深い人だね」と言った。
「そういう人は『神隠し』に遭いやすい感じがする」
「天狗にさらわれたとでも言いたいのか?」
「場所が場所だからね。それに祭りの夜でもある。」(第四夜 天神峡より)
どうして『夜行』というタイトルなのか分かるかい。百鬼夜行の夜行だよ。岸田の描いた女はみんな鬼なのさ。だから顔がない。(第四夜 天神峡より)
旅先でぽっかりと開いた穴に吸い込まれる。その可能性は常にある。(最終夜 鞍馬より)
「世界はつねに夜なのよ」と彼女は言った。(最終夜 鞍馬より)
「神隠し」「天狗」「鬼」「ぽっかりと開いた穴」「夜」‥‥。
柳田国男「山の人生」において、中世から明治時代の「今」までに、鬼や天狗に攫われ、あるいは婚姻させられ、ぽっかりと穴に入る如くいなくなり、数年経って現れてくるいう現象は無数にあったことが「証明」されている。勿論その原因は、ホントの天狗かどうかは疑わしく、この小説でも微かに示されている如く、夫婦の危機なのかもしれず、姉妹の確執なのかもしれず、人格分裂症なのかもしれず、いや、そもそもいつも責任回避をしている人生態度そのものだったかもしれないが、本書発行当時の2019年現在においても、宇宙の「本当の暗闇」の向こうには、現代の今もわからない夜=謎があることは確かなわけだから、本書もやがて後世の歴史家は、一つの「山の人生」の伝説の「語り直し」として評価するのかもしれない。
続きを読む投稿日:2023.05.31
#読書記録 2024.6
#夜行
#森見登美彦
ホラー風味をまとったファンタジー。
京都だけでなく尾道や津軽、奥飛騨を舞台に、ゾワっとするけど魅力的な異界感が展開。この摩訶不思議な感じは最新作の「…シャーロック・ホームズの凱旋」にも生きている。
やっぱり森見さんの紡ぐ文章は大好きだなーと再認識したよ。
#読書好きな人と繋がりたい
#読了続きを読む投稿日:2024.06.13
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