安倍政治 100のファクトチェック
南彰(著)
,望月衣塑子(著)
/集英社新書
作品情報
ファクトチェックとは、首相、閣僚、与野党議員、官僚らが国会などで行った発言について、各種資料から事実関係を確認し、正しいかどうかを評価するもの。トランプ政権下の米国メディアで盛んになった、ジャーナリズムの新しい手法である。本書は、朝日新聞でいち早く「ファクトチェック」に取り組んできた南彰と、官房長官会見等で政権を厳しく追及する東京新聞の望月衣塑子がタッグを組んだ、日本の政治を対象にした本格的ファクトチェック本。第二次安倍政権発足後のさまざまな発言を100の項目別に整理し、○、△、×で判定。何が「嘘」で、何がフェイクなのかを明らかにした。平成末期の日本政治を記録する、貴重な資料でもある。【目次】はじめに 望月衣塑子/第一章 森友・加計学園問題/第二章 アベノミクス/第三章 安全保障法制/第四章 憲法・人権・民主主義/第五章 官房長官会見/おわりに 南 彰
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商品情報
- シリーズ
- 安倍政治 100のファクトチェック
- 出版社
- 集英社
- 掲載誌・レーベル
- 集英社新書
- 書籍発売日
- 2018.12.19
- Reader Store発売日
- 2019.01.18
- ファイルサイズ
- 21.5MB
- ページ数
- 240ページ
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この作品のレビュー
平均 4.0 (4件のレビュー)
-
本書の著者は、(元朝日新聞の)南彰さんと(東京新聞の)望月衣塑子さん。
両者とも安倍政権から数多くの圧力を受けているので、「ウソや言いわけ」をかき集めた批判本かも?と思っていた。
読んでみたらそんな自…己満足に浸る要素は無く、淡々と事実の列挙に徹した内容だった。
南彰さんは「ファクトチェック」に早くから取り組んでいた人でした。
本書は「ファクトチェック」の手法の実施例だと気づいたので、
途中で中断して「ファクトチェック最前線」という本を先に読み、本書に戻ってきた。
最近はAIが生成した偽情報も蔓延しているから、ファクトチェックの重要度が増していると思う。
信頼する人が偽情報のリツイートやいいね!をすることもあり、誰もが騙されやすい環境にある。
「ファクトチェック」では判定のために参照した情報は何かを確認することも大切だ。
例えば「福島の海洋放出処理水」の放射能データが東電の測定結果だけだとすると信用できない。
「ファクトチェック」に当事者が関わると嘘や隠し事が混じるからだ。
チェックする人の考えや想像が入っていてもいけない。
「~なのでしょう」「~かもしれません」「~はおかしい」といった個人の感想は厳禁です。
本書のように、あくまでも事実の積み重ねだけで真偽を判定しなければならない。
信頼できるファクトチェッカーを知っておく必要がありそうだ。
チェック対象に選んだ発言は、予算委員会や記者会見でのものが多かった。
チェックという目的があるので、発言の一字一句を正確に再現している。
本書の性格上、精読が求められるので読むのに時間がかかった。
特に安倍総理の答弁は読んでいてイライラするし疲れた。
口癖の「いわば」「つまり」「まさに」「~の中において」「~なんですよ」が気になってしまう。
後に続く言葉が「いわば」でも「つまり」でも「まさに」でもない内容だし、
質問の答えでないことを長々と話すので何を言いたいのか伝わってこない。
対して菅官房長官は、ぶっきらぼうで短く「~じゃないですか」「それが全てです」「~はありません」と言葉が足らなすぎる。
本書はチェック対象の発言を、〇△×の3種類で判定しているが、本来は6種類ほどに分類しているようだ。
虚偽があれば × としており、虚偽の証拠となる文書も明記されている。
正しい場合は 〇 だが、嘘ではないが都合の良いデータを用いていたりする。
そのデータを根拠とすると真実が見えなくなるという、結論に合うデータを見つけてきたというもの。
△は個人の見解によって解釈が分かれるようなものが多いと感じた。
例えば、「状況はコントロールされている」という発言。
"状況は"が何の状況なのか不明確だし、どんな状態ならコントロールされたと言えるのかも曖昧である。
チェック対象はほとんどが政権側の発言だが、野党側の間違いも取り上げられていた。
そのうち一件が蓮舫さんだが、確かに蓮舫さんは勢いで未確認のことを口にする傾向があり反撃に遭いやすい。
それにしても安倍政権は、嘘や嘘を正当化する言い訳が多すぎた。
アメリカではワシントン・ポストがトランプ氏の発言のファクトチェックをデータベース化して公開していた。
日本ではどうなのか調べていないが、記者クラブに属している大手マスコミではできないだろう。
だから(集英社から)こんな本が出版されることになる。
議論の内容の「ファクトチェック」では、両者の発言がいずれも事実関係に誤りがなく○×判定ができないこともある。
単に言葉尻を捉えるのではなく、本質の問題は何かを明らかにすることに注意を払いたい。
あと、「文書はない」「文書は廃棄した」「記憶にない」「確認できなかった」という答弁が目立つ。
国の行政機関の文書管理が杜撰で、将来に証拠を残さないという隠蔽体質が心配になる。
日本は、きちんと記録を残し、保管、開示する仕組みを作り直さなくてはいけないね。続きを読む投稿日:2023.09.16
国会で118の虚偽答弁を行い議会を空費させた安倍元総理。本書でチェックの対象として扱ってるのが、モリカケ、アベノミクス、安保関連、憲法、官房長官会見で、安倍元総理の発言だけでなく、菅元官房長官、稲田元…防衛大臣、佐川元理財局長、その他閣僚、野党議員の発言も対象になっている。モリカケとセット(?)のサクラがないし、収賄で逮捕者続出の五輪関連もほぼないのだが、この2つが入ると新書の厚さには収まらないのだろう。なにせサクラだけで118だから。嘘の上塗りで収集がつかなくなっている森友学園問題や、自分に都合のいいように言い募るアベノミクス、安保関連、終始居丈高な菅官房長官の記者会見など、作為的な嘘もあれば不作為でただの思い違いというものもあるのだが、安倍元総理の発言に限っていえば、前者よりも案外後者が多かったような印象を受けた。不作為だから仕方がないということではない。曖昧な記憶にも関わらずその場しのぎなのに断定的だったりするのは、あとからちゃんと調べて違っていても謝罪すればいいとでも思っていたのだろうが、それだけ多くの人に無駄な時間を使わせることに対する気遣いのかけらもない。「晋三は情というものがないから政治家には向かない」という父安倍晋太郎氏の言う通りの人物像だと思う。議会でついヒートアップしてそうなってしまうというのは、安倍元総理だけに限ったことではないかも知れないが、安倍元総理はそれが強すぎる。言い合いで「相手に負けたくない」、この人にはその一心しかないのだろうかと思ってしまう。詭弁と強弁で難局を切り抜けてきた自らの成功体験がそうさせる、腹黒い謀略家というよりは生まれつきの嘘つきなのだろう。とにかく「不誠実」ということにつきる。続きを読む
投稿日:2022.09.23
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