この作品のレビュー
平均 4.3 (23件のレビュー)
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このレビューはネタバレを含みます
半藤一利氏は昭和5年(1930年)生まれ、方や出口治明氏は昭和23年(1948年)生まれ、と18歳もの年齢差がある。半藤氏は、自称「歴史探偵」で、「幕末史」という分厚い本も上梓されており、この対談では出口氏が、半藤氏の胸を借りる形で、対談が進んでいくんだろうなと予想していたが、実際にはまったくそうではなく、まさに「がっぷり四つ」の対談だったように思う。
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半藤氏はもちろんだが、出口氏の博識はすごい! 現代における歴史の頂点対談の一つだろう。そして、そういうお二人の扱うテーマが、「明治維新とは何だったのか」だから、これは面白くないということはありえないだろう。
むしろ半藤氏のほうが、「自分の弱点である経済的な観点が、びっくりするほど完備している方」と、出口氏に尊敬の念をもって対談しているくらいだ。
この言葉どおり、対談のところどころで、当時の各国のGDPの統計データなど経済データを出しながら歴史を語る出口氏の凄さを体験することができる。出口氏は、ふだんから「タテヨコ(歴史と世界)」の視点を重視されている。
対談冒頭、この「本書のタイトル」となっている「明治維新」という言葉に、半藤氏がモノ申す。改元前後に、「明治維新」なんて言葉はなかったんだと。せいぜい「御一新」という言葉があったくらいで、「明治維新」なんて言葉は後付けだと。その理由も後の対談の中で説明されていくが、さすが探偵の歴史へのコダワリに、思わず「来ましたねー」とにやついてしまった。
一方、出口氏はやはり腰低く、謙虚に対談に入っていかれましたが、それはほんの始めだけで、「どんな球でも必ず打ち返しますよ」的な余裕さえ感じられる対談を展開していかれます。
第3章の「幕末の志士たちは何を見ていたのか」では、当時の主要な人物についてのお互いの人物談義が交わされている。「幕末の志士たちは何を見ていたか」というより、「対談のご両人は、志士たちをどう見ていたか」というのが実質的なタイトルでしょう。
そして、けっこうな点で、両者の意見は一致していたかと思う。幕末というと、維新の三傑、西郷隆盛、大久保利通、木戸孝允についての評価が高く、坂本龍馬や吉田松陰など小説の影響もあり、英雄的に語られることが多いが、二人の意見の一致で見ると、阿部正弘を維新のグランドデザインを描いた一番の功労者とし、そのデザインを踏襲し近代化を実質的に推し進めた、大久保利通を第二の功労者とし、半藤氏が思い入れが最も強い勝海舟の功績についても、出口氏も認めるところで、これがベスト3だったのではないか。
一方、二人そろって西郷評は思わしくなく、吉田松陰に至っては酷評でしかない。もちろん、それぞれの人物の偉大な点は認めたうえでであるが。
岩倉具視は、この時代最大の陰謀家(ワル)で認識が一致し、維新三傑亡きあと権力を握った山縣有朋についても厳しい評価だが、これらは一般の視点と一致するところかもしれない。
本書が「世界史から考える」と副題されているように、「鎖国で後れをとった世界の中の日本」という視点でとらえたときに、その後の日本再構築において、誰の功績がもっとも大きかったのかという視点からこの結論に達しているのではないかと思う。
巻末に、両著者オススメの関係書籍が紹介されている。
半藤氏15冊、出口氏20冊。これらもそうだが、両著者の他の本にも興味が湧いてくる。投稿日:2020.03.08
このレビューはネタバレを含みます
「維新」とは新政府が後につけた正当化の呼び名。阿部正弘のグランドデザインと引き継いだ大久保。伊藤、山縣の権威付けに利用された吉田松陰(この人へも低評価)。統帥権が西南戦争からの山縣の発想で帝国憲法前に…できていたとは知りませんでした。世界を見てきた者と内しか知らない者。権力に対する執念の有無。これまでは新政府側からの時代小説やドラマで語られることの多かった「明治維新」。確かに最近幕府側からのストーリーも増えてきましたね。その方が公平で立体的に考察できますね。やはりこの時代は面白い。お二人の対談、グッド。続きを読む
レビューの続きを読む投稿日:2024.03.21
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