PC遠隔操作事件
神保哲生(著)
/光文社
作品情報
2012年、パソコンを乗っ取られた人々が、遠隔操作で飛行機の爆破予告や小学校の襲撃予告などを書いたことにされ、うち4人が誤認逮捕されるという事件が起きた。この通称「PC遠隔操作事件」の犯人・片山祐輔は、そもそもなぜ一文の得にもならないこのような事件を引き起こさなければならなかったのか? なぜ警察・検察・メディアは、片山の情報発信にミスリードされ続けたのか? 読んだ人の腹にズシンとくる、560ページ52万字。
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商品情報
- シリーズ
- PC遠隔操作事件
- 著者
- 神保哲生
- ジャンル
- 教養 - ノンフィクション・ドキュメンタリー
- 出版社
- 光文社
- 書籍発売日
- 2017.05.20
- Reader Store発売日
- 2017.08.04
- ファイルサイズ
- 2.1MB
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この作品のレビュー
平均 4.2 (14件のレビュー)
-
パソコンを遠隔操作されて、何も悪いことしてないのに警察に逮捕された人たちが、致命的な被害を被っている。
警察がリークした情報を、記者クラブの飼い犬たちが、ろくに検証もしないまま、被疑者の実名まで晒して…、ただただ間違った情報を垂れ流したために。
中でも、明治大学を退学に追い込まれた大学生や、仕事が忙しい真っ最中なのに犯人扱いされて多大な被害を負ったアニメーションの作家など、ほんとうにお気の毒だ。
無実の被疑者が、絶対に知るはずの無い、犯罪に使われたハンドルネームを、警察からムリヤリ自白させられている事実には笑った。
つまり、警察は、被疑者を、拷問してムリヤリ自白させたうえで、好き勝手に調書をデッチあげている。
背筋が凍りつくような無法警察・・・・。
我が国は、法治国家ではない。
厚生労働省を舞台とした「郵便不正事件」では、村木厚子・元厚生労働省社会援護局長の犯行をでっち上げるために、証拠の改竄まで行われていたからね。
証拠の改竄だよ!
『留置場は警察署の中にあるので、警察が外部に知られること無く、いつでも好きなときに好きなだけ取調べができるなど、被疑者の人権が侵害される恐れが高い。実際、日本の代用監獄制度は国連の人権規約委員会や拷問禁止委員会などから、あまりにも非人道的であり、人権を侵害している等の理由で繰り返し改善勧告を受けるほど、国際的にも問題視されている。』
警察や検察や裁判所やマスコミは、このような拷問が日常的に行われているという現実を知りながら、なぜ、問題にしない?
近代司法の最も重要な原則は「冤罪の人を決して罰してはならない」という事なのに。この原則は、守られていない。
どこの、土人の国の司法制度なんだよ、コレは?
昔、日本のマスメディアを研究してる浅野健一教授と、事件の被害者なのに、無実の罪で連日連夜自白を強要され、マスコミからは散々に叩かれ誹謗中傷された河野義行さんと、直接会って話したことがある。
あの時も、警察も裁判所もマスメディアも、あまりにもインチキすぎて、心底呆れ果てたんだけど、あの時代から、なにも進歩していない。一歩も前に進んでいない。
国際社会からは、このような違法な取調べのことを、はっきりと「拷問」だと指摘されているが、日本では、裁判所まで一緒になって、拷問を公認している。
無罪の容疑者を、警察が脅迫し恫喝して嘘の自白をさせ、死刑囚にまで仕立て上げた事件もある。
無罪の人を何十年も拘禁して、人生をメチャクチャに破壊しておきながら、はっきりと冤罪であった事が証明された後でも、警察はまともに責任をとろうとしない。
裁判官も誰一人責任をとらない。
警察にリークされるがまま、嘘の報道を実名で垂れ流した記者クラブの飼い犬記者たちも、誰一人責任をとらない。
それでもまだ冤罪であることが立証された人は良いよ。
冤罪が立証されないまま死刑になって殺された人もいるだろう。
罪の重い軽いにかかわらず、警察や検察に脅迫されて、容疑者が嘘の自白をさせられる、という事例は、かなりの頻度で起きていることなのに、記者クラブで飼いならされたバカ犬たちは、この深刻な問題を取り上げようともしない。
刑事事件に関する日本のマスメディアの報道は全く信用に足るものではない。
記者クラブに代表される一握りの報道機関に特権的な待遇が与えられ、その特権は政府が保証しているから、政府よりの報道にならざるを得ない。
警察や検察側の主張におもねって、被疑者や被告人の人権を平気で踏みにじる。
日本の司法制度も、マスメディアも、おおよそ先進国のものではない。
この問題は、毎年、国連でも指摘され、国際社会からも、日本の前近代的な司法制度の早急な改善を求められているのに。
司法も、警察も、政治家も、マスコミも、ゼンゼンこれを改めようとしない。
この現実を、はっきりと問題にしている神保哲生は本物のジャーナリストだ。
記者クラブの、もたれあい仲良しグループの中には、彼のような本物のジャーナリストは一人もいない。
ネットでウィキリークスだってなんだって見れるこの時代に、日本の新聞なんか、オレは読もうとも思わないし、そんなものに払う金は1円も持っていない。
オレだけじゃなくて、権力に飼いならされたバカ犬が書いた、大本営発表の記事なんか、そのうち、誰も読まなくなる。
バッカじゃねえの?続きを読む投稿日:2017.09.29
一つの事件をあらゆる視点で深く考察すると、こんなにも色んなテーマが出てくるのかと。新聞を浅く広く浚うような読み方をするのではなく、こうして掘り下げる事の意味を改めて感じた。
ウイルスで仕込まれた遠隔…操作ツールにより、他人のパソコンから爆破予告や殺害予告を発信。その後、警察をおちょくるように、謎解きを仕掛け、江ノ島の猫の首輪にSDカードを貼り付けた男。確たる証拠を上げられず逮捕出来ぬままに、日々ニュースで放映されていた事を思い出す。2012年頃からの事件、あれから、10年が経つ。
ハイジャック防止法も適用され、再犯加重、併合罪を加味して実刑、懲役8年。ただの愉快犯にしては厳しい気もするが、他人を隠れ蓑にした上で多くの人間を脅迫し、司法を冒涜、撹乱した罪は重い。読めば、彼は事件の前から同じようなネットの荒らし、殺害予告のような事を繰り返していたらしい。この事件も途中で止めていれば迷宮入りした可能性もある。しかし、止められず、自滅した。
スリルを求めての結果か、ネットへの書き込み、それによる承認欲求の充足、習慣化したレス乞食、ネット中毒が誤った関わり方で脳を変えてしまったのではないか。依存症になっている。最も共感を得ないのは、彼の行為で得るものは何一つない事。警察を馬鹿にする事でのカタルシスのみだという事だ。
能力が高いのか馬鹿なのかよく分からない事件だったが、警察の杜撰さや脆弱性が露呈された事、サイバー事件の一モデルとしての社会的影響は大きい。そろそろ、出所だろうか。続きを読む投稿日:2022.06.11
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