「イスラム国」はテロの元凶ではない グローバル・ジハードという幻想
川上泰徳(著)
/集英社新書
作品情報
2015年11月のパリ同時多発テロ以降、世界各地にテロが拡散している。ダッカでは日本人7名も犠牲となった。いまや世界中の街角が「戦場」であり、我々も「標的」の一部である。それらは、中東で凶行を繰り返す「イスラム国」が裏で糸を引く、恐るべきグローバル・ジハード戦略だ・・・・・・というイメージが流布しているが、果たして真実なのか? 本書は、長く中東報道に携わる著者が一連のテロを分析し、「イスラム国」の関与の有無を緻密に検証。そして、テロのグローバルな拡散は、中東情勢に誤った対応をとり続ける欧米にこそ責任があると立証する。【目次】はじめに/第1章 世界に拡散するテロと「イスラム国」の関係/第2章 「イスラム国」とグローバル・ジハード/第3章 「イスラム国」とアルカイダ/第4章 「イスラム国」とアラブの春/第5章 「イスラム国」を支える影の存在/第6章 スンニ派の受難とテロの拡散/第7章 「イスラム国」と中東への脅威/おわりに/参考文献
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商品情報
- 著者
- 川上泰徳
- 出版社
- 集英社
- 掲載誌・レーベル
- 集英社新書
- 書籍発売日
- 2016.12.21
- Reader Store発売日
- 2017.02.17
- ファイルサイズ
- 1.6MB
- ページ数
- 256ページ
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この作品のレビュー
平均 5.0 (2件のレビュー)
-
一読してよくわかった‥とは言えない。中東地域の対立とか協力関係は複雑‥という印象はぬぐえない。著者自身、「中東情勢を見る上で大切なのは、表に出ている情報をもとに、どのような情報が表面に出ていないか、別…のストーリーが裏で進んでいるのではないか、と考えながら状況を見ること」(p.206)と言っておられる。
ただ、イスラム国が単なるテロ組織ではない(国を維持するためには電気や水の供給、食糧・医療・貧困救済などの恩恵を人々に与えることが必要になる)こと、混乱の原因ではなく結果なのだということ、は、そうなんだな、と思った。
なるほど、と思ったことをいくつか
*米軍がイラクのイスラム国空爆に踏み切ったのはイスラム国がテロ組織だから、というより、米国と関係の深いキルクーク油田の防衛を考えたように見える(p.68)
*イスラム国にとって、民主主義の正当性を繰り返したムルシ(ムスリム同胞団)は、アッラーが下したイスラム法以外の規則を信奉した「ターグート(偶像崇拝者)」ということになる(p.129)
*イスラム国では女子教育が認められている→タリバンとの違い(p.160)
*若者がジハードに参加するのは同胞を助けたいという思いが中心で、過激思想への傾倒は必要条件ではない(p.190)
*国際社会では諸悪の根源のように言われるイスラム国だが、民間人の使者は(シリア)政府軍やロシア軍によるもののほうが圧倒的に多い(p.200)
単にイスラム国を壊滅させたとしても問題は解決しないだろう、ということ‥
イスラム国を叩くのではなく、犠牲になっている人達に目を向けるべきだということ‥続きを読む投稿日:2017.03.18
■なぜ残酷な画像を敢えて公開するのか。アルカイダの幹部で戦略家でもあるアブ・ムサアブ・スーリーによる「イスラム目がある。そこでは,「コーラン」の「戦利品章」にある「彼らに対して,あなたのできる限りの(…武)力と,多くの繋いだ馬を備えなさい。それによってアッラーの敵,あなた方の敵に恐怖を与えなさい」という一文を引用していた。この文書はアルカイダの教本の一つとされるが,ここで「テロリズム」と訳しているのは,「コーラン」の中で「敵に恐怖を与えなさい」という部分である。アラビア語では,テロリズムは「イルハーブ」である。これは「恐れさせる」「恐怖を与える」を意味する動詞「アルハバ」から派生した名詞であり,英語動詞「テロライズ(terrorize=恐れさせる)」から名詞「テロリズム(terrorism)」が派生するのに符合する。「コーラン」の「神の敵に恐怖を与えなさい」が,アルカイダのジハード指南書の中で「テロは宗教的義務」とテロを肯定する理屈になっている。敵を処刑するだけでなく,その残酷な場面をネット上で公開することは「神の敵を恐れさせる」という宗教的意味を持つことになる。
■「部族は社会の土台であり,国家が分裂すると,人々は庇護を求めて部族に目を向ける。部族は血縁に基づいたものであり,部族独自の法と秩序を持ち,メンバーを守る役割を担う。」「国家が強いときは部族の役割は弱くなり,社会の秩序や公正は国の機関によって維持され,人々も国に頼るようになり,部族長の権威は象徴的なものとなる。しかし,国の方が公正を欠くようになれば,人々は部族の法に頼るようになる。」
■「イスラム国」は混乱の原因ではなく混乱の結果である。その混乱は米国による誤ったイラク戦争と,誤ったイラク駐留によってもたらされ,更に自由も平等もないアラブ世界の強権体制に対する若者たちの反乱である「アラブの春」への暴力的な封殺が帰結したものでもある。続きを読む投稿日:2017.04.15
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