中央銀行は持ちこたえられるか――忍び寄る「経済敗戦」の足音
河村小百合(著)
/集英社新書
作品情報
今や政府の債務残高は1200兆円を超え、名目GDP比の250パーセントに迫る勢いだ。その増加傾向にブレーキはかからず、安倍政権が目標とする「2020年プライマリー・バランス黒字化」の目途はまったく立っていない。増え続ける巨大債務を抱えながらも「デフレ脱却」を至上命題として、掟破りの異次元緩和と“事実上の財政ファイナンス”に邁進する政府・日銀。しかし、成果は一向に上がらず、もはや「出口」の見えない展開に突入しつつある。このまま行けば遠くない将来、日銀の政策運営が制御不能となる日が必ず来る。その時、われわれ国民を襲う悲劇的な結末とは!? 恐るべき警告の書。【目次】第一章 わが国の政策運営の油断と慢心/第二章 「財政危機」のあり得るシナリオ/第三章 欧米諸国と日本「財政・金融政策」比較/第四章 金融危機後の「金利ゼロ」の世界と「量的緩和」/第五章 中央銀行は持ちこたえられるか/第六章 財政破綻のリアルI――欧州債務危機の経験から/財政破綻のリアルII――戦後日本の経験から/第八章 蓄積され続けるリスクと遠のく正常化/第九章 なぜ掟破りの政策運営は“放置”されてきたか/第一〇章 子どもたちの将来への責任/あとがき/参考文献
もっとみる
商品情報
- 著者
- 河村小百合
- ジャンル
- 教養 - ノンフィクション・ドキュメンタリー
- 出版社
- 集英社
- 掲載誌・レーベル
- 集英社新書
- 書籍発売日
- 2016.11.17
- Reader Store発売日
- 2017.01.13
- ファイルサイズ
- 13.9MB
- ページ数
- 264ページ
以下の製品には非対応です
この作品のレビュー
平均 4.4 (5件のレビュー)
-
このレビューはネタバレを含みます
17
レビューの続きを読む
世界中が仰天した異次元緩和
2013.04.~
年間約50兆円という型破りの規模、前代未聞の規模で国債を買い入れてマネタリーベースを供給するという量的質的金融緩和Quantitative and Qualititative Easingを開始。
質的というのは、ETF指数連動型上場投資信託やJ-REIT不動産投資信託の買い入れが雲拡大し、株や不動産といった資産価格への働きかけも行ったから。
2014.10.~ 追加緩和で年間約80兆円に増額
20
結果
QQEの開始から3年半あまりが経過した2016.10.
消費者物価は、2015.04.以降は前年を僅かに上回る程度の水準に戻る
2016.01.以降は、前年比マイナスの幅が、月を追うごとに拡大。
22
日銀による国債の買占め
26
この3年半余りを振り返れば、財政再建に向けての取り組みは棚上げ状態。
27
日銀がQQEという事実上の財政ファイナンスを続けられなくなった時、わが国の財政と経済にとっての危機が訪れる。
32
債務腸製の2つのパターン
1.連続的な債務調整 10年20年といった長期にわたり国民生活に重い負担が及ぶ
ex.
・毎年10%~30%も物価があがる高インフレーション
・金融抑圧 閉鎖経済の中で金融抑圧をやると、多くの国で高インフレが起きる
32-45
2.非連続的な債務調整 国民生活が切り捨てられる
ex.
・対外債務調整
・国内債務調整→金融危機 ギリシャ預金引き出し規制 敗戦後の預金封鎖
57
財政制約を意識する欧米主要国
61
リーマン・ショック後の2010年
各国は2013年の財政収支赤字の半減を共通の財政再建目標として掲げた。
ドイツやスペインでは、健全な財政運営を行うことを政府に義務付ける条文が憲法に盛り込まれた。
イギリスは「財政責任憲章」立法レベル、政治的な合意レベルでルールを設けた。
70
日銀の量的緩和は世界初の試み
世界各国の中央銀行にとってゼロ金利状態の下で非伝統的手段による金融政策運営を行ったのは、2001~2006年の日銀の量的緩和が初めての経験だった。
72
マネタリーベースを増やしてもマネタリーサプライは増えず
92
出口戦略を一切明らかにしない日銀
100
バーナンキ・ショックと資産買い入れの縮小
116
マイナス金利導入の結果、損失覚悟で国債を買い入れせざるをえなくなった日銀
132
ギリシャは財政指標を粉飾していた
143
ドラギ欧州中央銀行総裁が、SMPによる国債の買い入れを停止した。
145
ギリシャは、戦後初めての、先進国の、デフォルトの事例になった。
157
「日本は貯蓄率が高く、国債の殆どを国内で保有しているから、財政運営が危なくなるようなことはない」と言うバカもいるが、それはあくまでも日本政府が健全な財政運営に努め、市場がそれを評価し、低い金利で国債を発行し、財政運営を回すことができている限りにおいての話。
放漫財政で借金を増やし続け、市場金利が上昇する、もしくは事実上の財政ファイナンスを行って巨額の国際を買い入れ続けている日銀の金融政策が行き詰まり、政府の財政運営が回らなくなった時、ギリシャがとった手は使えない。
急激な債務調整の負担は、すべて日本国民に向かう。
159
ラインハートとロゴフは『国家は破綻する』2009で
「公的国内債務のデータを探すのは、ほんの十数年前のデータでも、ほとんどの国で考古学の調査をするようなものだった」和訳p.172 と述べている。
日本は第二次世界大戦時に財政破綻している。
170
1946.02.17. 預金封鎖および新円切り替えが断行された。
最後の調整の痛みは日本国民に向けられる。
176
日銀に蓄積され続ける大きなリスク
192
日本がIMFの管理下に入る日
209
財政運営リスクの問題に一切触れない日銀
213
中央銀行の先行きの金融政策運営に一切言及しないリフレ派投稿日:2017.11.04
このレビューはネタバレを含みます
財政破綻を日銀の財務諸表の観点から解説。
レビューの続きを読む
①日銀券を大量発行してインフレになると、誰が損をするのか?(率で課税している税金は増えるが預金は実質目減りするから国民が損をする)、
②低利率の国債を大量に保…有する中、その量がBS上日銀券発行高をゆうに超え、超過準備が大量になることが許されている日本で、金利をあげると逆鞘が生じ日銀の財務運営が死亡→誰が補填?
③無利子国債→政府には一瞬メリットがあるように見えるけど②の問題が残る。
欧米は金融政策の面でもしっかりと縛りがありできる限度や条件がある。財政の面でも国債の償還ルールなどが日本ほどにはゆるくなく身の丈にあった長期国債の発行が行われてる(日本は短期債の借り換えで繋いでいるので低金利だが、綱渡りの財政運営。)。
財政破綻した場合、国外調整として債務免除をして解決できない日本は国内調整するほかない。その時、無理やり国民の資産を目減りさせる財産権の侵害を行うか、増税で徴税を行なって債務を返すか、社会サービスを切るか、、といった選択肢を迫られる。
日銀の財務運営の点は恥ずかしながらよく理解してなかったので勉強になった。新刊も出たので復習も兼ねて読みたい。続きを読む投稿日:2023.05.07
新刊自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
※新刊自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新号を含め、既刊の号は含まれません。ご契約はページ右の「新刊自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される「増刊号」「特別号」等も、自動購入の対象に含まれますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると新刊自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約・新刊自動購入設定」より、随時解約可能です続巻自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
- ・優待ポイントが2倍になるおトクなキャンペーン実施中!
※続巻自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新巻を含め、既刊の巻は含まれません。ご契約はページ右の「続巻自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される特別号等も自動購入の対象に含まれる場合がありますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると続巻自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約自動購入設定」より、随時解約可能ですReader Store BOOK GIFT とは
ご家族、ご友人などに電子書籍をギフトとしてプレゼントすることができる機能です。
贈りたい本を「プレゼントする」のボタンからご購入頂き、お受け取り用のリンクをメールなどでお知らせするだけでOK!
ぜひお誕生日のお祝いや、おすすめしたい本をプレゼントしてみてください。※ギフトのお受け取り期限はご購入後6ヶ月となります。お受け取りされないまま期限を過ぎた場合、お受け取りや払い戻しはできませんのでご注意ください。
※お受け取りになる方がすでに同じ本をお持ちの場合でも払い戻しはできません。
※ギフトのお受け取りにはサインアップ(無料)が必要です。
※ご自身の本棚の本を贈ることはできません。
※ポイント、クーポンの利用はできません。クーポンコード登録
Reader Storeをご利用のお客様へ
ご利用ありがとうございます!
エラー(エラーコード: )
ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。