アメリカの大問題―百年に一度の転換点に立つ大国
作品情報
アメリカはいま、百年に一度の転換期に立ち、三つの大問題に直面している。第一は格差と移民の問題である。EUは100万人の難民で大騒ぎになったが、アメリカは過去25年にわたり年平均100万人の移民を受け入れており、2016年大統領選挙の争点となった。第二は力の行使の問題である。全家庭の43%が銃をもつ米国は力の行使を是とし、長年「世界の警察官」を自任してきたが、一転して孤立主義に立つ可能性が生じている。第三はエネルギーの問題である。シェール革命後どのようなエネルギー・モデルを構築するかによって、この超大国の命運は決まる――。歴史的転換の本質を、2013年から2015年までヒューストン総領事を務めた著者が、外交官の目で読み解く。
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商品情報
- 著者
- 高岡望
- 出版社
- PHP研究所
- 掲載誌・レーベル
- PHP新書
- 書籍発売日
- 2016.06.15
- Reader Store発売日
- 2016.06.16
- ファイルサイズ
- 16.9MB
- ページ数
- 280ページ
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この作品のレビュー
平均 3.5 (6件のレビュー)
-
著者の高岡望氏は、2013~15年にヒューストン総領事を務めた外交官。
本書では、(著者曰く)「テキサスがわかれば、これからのアメリカがわかる」というテキサス州・ヒューストンという視座から見た、アメリ…カが現在直面している3つの最重要テーマ(problemというニュアンスの“問題”ではない)である、「格差と移民」、「力の行使」、「エネルギー」について分析している。
主な内容は以下であるが、私には、日本人には分かりにくい、「低所得者層がなぜ共和党を支持するのか」についての考察が、特に興味深く感じられた。
◆アメリカで格差が拡大している理由は、①「小さな政府」への指向が強く、高所得者層から低所得者層への(税制等による)再配分機能が弱い、➁市場経済の仕組みが協力に作用している、➂年間100万人の移民を受け入れている(移住したばかりの移民の所得は低い)の3つ。
◆経済的には「大きな政府」の恩恵を受ける低所得者が圧倒的多数であるにもかかわらず、アメリカではなぜ「小さな政府」(=共和党)に対する支持)が根強いのか?一つは、建国以来のアメリカン・デモクラシー(政府は選挙で明らかにされた民意に従うべき)は、「小さな政府」の主張と親和性が高いこと(「大きな政府」は選挙の洗礼を受けない官僚組織の拡大につながりやすい)。二つ目は、南北戦争直後は民主党支持だった南部(リンカーンが共和党であったため)において、民主党が進める急進的な公民権運動に対する白人の反感、宗教心に篤く保守的な信条を大切にする低所得者層に対する宗教右派の浸透などにより、現在では共和党の牙城と宗旨替えしたこと。今後は増加するヒスパニック系有権者が民主党・共和党のどちらを支持するかが焦点。
◆トランプ現象の本質の一つは、大量の不法移民の流入とイスラム過激主義によるテロに対する米国民の根本的な不安に率直に向き合うことにより、従来のワシントンの政治家の「政治的な正しさ」に対して不満を持つ人々にアピールしていること。今後はトランプ氏が、更にアピールを強めて元々共和党支持だが選挙に行かなかった有権者の投票率を上げる戦略をとるのか、中道の有権者を取り込む方針に転換するのかに注目。
◆世界経済におけるアメリカの地位は相対的に低下したが、ソフトパワーの優位性、同盟国・友好国の多さ、軍事面での優位性から、アメリカの世紀は今後も続く。しかし、外交政策においては、国内優先主義(=世界の警察官を務めることにノーと言うアメリカ)を強めようとしている。日本にとっては、アメリカが引き続き東アジアに関与することが決定的に重要であり、可能な協力をすることが望ましい。
◆人類にとって採取可能な石油と天然ガスの量を一挙に数倍にしたといわれるシェール革命により、アメリカは国際エネルギー市場の主要プレーヤーとして「新しい力」を手にし、今後スイング・プロデューサーとしての影響力を発揮していく可能性が高い。
本年11月の大統領選挙の争点・歴史的な背景を知る上でも、今読んでおくべきタイムリーな一冊と思う。
(2016年7月了)続きを読む投稿日:2016.07.11
「世界一豊かな国」を自称していたアメリカが今世紀に入って直面している問題について、外務省OBの著者が3つの要項を挙げて分析する。①1千万人以上の移民が暮らす「世界一の移民大国」のアメリカでは急速に格差…が広がっており、政治がこれを巡って対立している ②国内外における「力の行使」の問題。国内ではオバマ大統領が涙ながらに銃規制を訴えた8年間にも乱射事件が多発しているにも関わらず、全米500万人の有権者となるライフル協会との協議すら許されない。しかし一方で対外的には武力の行使を抑えており、「もはや世界の警察官ではない」という宣言は次期政権にも引き継がれている。③ 石油に代わる新たなエネルギー問題。2016年に史上最大のシェール油田が発見されたテキサス州から始まったエネルギー戦略の変化の様子を、その州都であるヒューストンに総領事として赴任していた著者が如実に描きながら、アメリカにとって百年に1度の歴史的な転機となるこれら3つの大問題を検証する。続きを読む
投稿日:2020.12.12
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