都市の起源 古代の先進地域=西アジアを掘る
小泉龍人(著)
/講談社選書メチエ
作品情報
「都市の起源」を探究することは、文明の起源を知ることである。従来、「世界最古の都市」とされてきたエリコ遺跡は、近年、その「都市説」が見直されている。本書では、イラクのウルク遺跡と、シリアのハブーバ・カビーラ南遺跡を「世界最古」の有力候補とし、さらに、メソポタミア各地の遺跡を検討。人の移動、すなわち「よそ者」の流入を契機に快適な生活空間への工夫がなされ、同時に人々の「格差」が生まれるまでを解明する。
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商品情報
- 著者
- 小泉龍人
- 出版社
- 講談社
- 掲載誌・レーベル
- 講談社選書メチエ
- 書籍発売日
- 2016.03.10
- Reader Store発売日
- 2016.04.08
- ファイルサイズ
- 19.9MB
- ページ数
- 256ページ
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この作品のレビュー
平均 4.0 (3件のレビュー)
-
都市とは自然と対局に位置する人工的な英知の結集空間、とされている。快適さや便利さ、出会いなどが待っている一方で、格差や支配構造なども生み出す。
人類最古の都市は、と考えると、オリエント世界、西ア…ジアだ。
当初の都市の倉庫には鍵もなく、みな平等な暮らしをしていたことが伺える。けれど豊富な食をもとめてよそ者が入ってくると、余剰食料の倉庫も信頼から物理的な鍵(粘土塊)による封印に変わる。
その鍵を持っている人が、一般と格差のある住まいに住むようになる。
ワインやビールなんかも作るようになる。ますますよそ者を惹きつける。
そして神。神殿が都市の支配の中心だったという説がかつては流行ったらしいが、「大切なもの」を保管しているのが支配者だ、と考えると、それは神殿ではなく実質的支配者の宮殿に置かれるようになった。
もちろん次のステップは戦争だ。シュメール都市国家では、平時における土木作業員が有事には兵士となった。
何がどうなった、という大まかな話はもちろんだが、ひとつひとつのディテールこそが興味をそそるのだ。銅と鉛はどんなふうに使い分けられていたのか。空中庭園は本当にあったのか。どんな生産設備を備えていたのか。うまくいった都市と放棄された都市にはどんな違いがあったのか。などなど。
さて、西アジアの環境は厳しい。厳しいからこそ、よい環境を手に入れたいと都市化がはじまった。文明とは、人間が自然だけから成る原初の環境から自己を切り離すために作り上げられた自作の環境である。
となると、日本の都市化とは、いわゆる都市化とは違ったアプローチではじまったことになる。
環境を克服するという大義ではない下に集った都市は、清濁併せ呑みながらも一枚岩、となりきれないのかもしれない。ま、でもどの都市にだって問題あるよね。続きを読む投稿日:2016.09.06
南メソポタミアの南部=シュメール地方=最古の都市「ウルク」=食料余剰が豊富にあった。指導者は倉庫の管理者。
墓は同じ。倉庫に鍵はない。=当初は平等な社会。
よそ者が集まってきて、倉庫に鍵がかけられた…。
神官=倉庫の管理=パートタイム的に役割を担っていた。
うまい食べ物、快適な暮らしがよそ者を集める=都市的現象。
ものづくりの専業=土器工房。金属器専業工。
階層化が進む=司祭者がリーダーになる。鍵付きの倉庫。
街の特徴=城壁と目抜き通り。排水の便のために、川に沿った道。上流側に神殿。
メソポタミアとインダス・モヘンジョ・ダロ遺跡の対比。
水は川の水は飲まない。井戸。革は排水用。モヘンジョ・ダロも同様。ローマの上水路は後々のこと。
上水が豊富ではないため、ビールやワインが作られた。
スポーツの原点はレスリング、ボクシングなど格闘技。
目と蛇。土器の紋様に使われた。
船から車へ、運搬具の変化。
記憶補助装置「トークン」
銅から錫へ。
都市の規模は、ウルク後期には約250ヘクタール=皇居の2倍弱。南メソポタミアで、ウルク以上の都市は見つかっていない。
戦争の始まり。都市国家の成立。
軍人の職能が分化=よそ者の傭兵化。武器の製造=冶金技術の発達。
文字の記録が進んだ=多数のよそ者に伝達するため
インダス文明はメソポタミアに似ている。
エジプトは気候が温暖で土地が豊か=どこに住んでもいい=都市化が進まない。続きを読む投稿日:2016.06.16
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