科学者は戦争で何をしたか
益川敏英(著)
/集英社新書
作品情報
ノーベル賞科学者・益川敏英が、自身の戦争体験とその後の反戦活動を振り返りながら、科学者が過去の戦争で果たした役割を詳細に分析する。科学の進歩は何の批判もなく歓迎されてきたが、本来、科学は「中性」であり、使う人間によって平和利用も軍事利用も可能となる。そのことを科学者はもちろん市民も認識しなければならないと説く。解釈改憲で「戦争する国」へと突き進む政治状況に危機感を抱く著者が、科学者ならではの本質を見抜く洞察力と、人類の歴史を踏まえた長期的視野で、世界から戦争をなくすための方策を提言する。【目次】はじめに/第一章 諸刃の科学―-「ノーベル賞技術」は世界を破滅させるか?/第二章 戦時中、科学者は何をしたか?/第三章 「選択と集中」に翻弄される現代の科学/第四章 軍事研究の現在――日本でも進む軍学協同/第五章 暴走する政治と「歯止め」の消滅/第六章 「原子力」はあらゆる問題の縮図/第七章 地球上から戦争をなくすには/あとがき
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商品情報
- シリーズ
- 科学者は戦争で何をしたか
- 著者
- 益川敏英
- ジャンル
- サイエンス・テクノロジー - 数学・物理学・化学
- 出版社
- 集英社
- 掲載誌・レーベル
- 集英社新書
- 書籍発売日
- 2015.08.17
- Reader Store発売日
- 2015.10.16
- ファイルサイズ
- 0.2MB
- ページ数
- 192ページ
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この作品のレビュー
平均 4.1 (28件のレビュー)
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科学は誘惑、する…?。
大学院以上に進むと、バイドール法が適用され、研究者倫理の一貫としてデュアルユース研究についての倫理についての説明を受けなければいけないようです。
そのこと自体については、なんだ、そんなの当たり前では…ないか、と感じていたのですが、この益川先生の本を読みながら真剣に考えてみると、少し他人事ではないような気がしてきます。
核兵器を筆頭とした大量破壊兵器を持つのは明確な国際社会への挑戦です。ところが日本の防衛費は伸び続けており、北朝鮮問題も相まって、憲法改正の論議は高まっています。日本一国の民族主義的観点からすれば、核兵器を筆頭とした大量破壊兵器の保有は、日本の国家としての生存と繁栄を保証するわけで、憲法改正からその流れに載せようとする活動が行われるのは政治家から見ると自明のことではあるでしょう。ですが、戦中、戦後を知る知識人、従軍の現地士官などが生きている間はあの大日本帝国がなぜ滅んだのか、明確な反省点があるわけですが、彼らも今はほとんどの人が80代を超えています。その意味で、国際調和の観点から、あの戦争を踏まえて議論され、戦後から現代まで国際社会で活躍された益川先生のお言葉は非常に重いように感じるのです。
研究というものは人の役に立ち、国の役に立ち、美と文化を発展させる、そういう原理原則の大切さを改めて痛感します。偏狭な民族主義に陥らず、冷静な視線を保ちながら憲法改正の運動とその未来を見つめていきたいものです。
私は科学は誘惑ではない、と信じています。
歴史の過ちを振り返りながら、星は5つです。続きを読む投稿日:2018.07.27
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もともと国際政治には興味がありましたが、戦争を科学者の視点から見た事はなかったので、この本の内容は新鮮でした。
投稿日:2023.05.08
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