誇り　ドラガン・ストイコビッチの軌跡

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  初めて生で観戦したJリーグの試合に出場していた。
  一人別次元だった。その当時、彼が誰か把握できていなかったけど、思い出すのはピクシーのプレーばっかりだ。
  この本を読んでピクシーは様々なものを背負いなが…らもあんなプレーを見せてくれていたんだなと…。
  戦争なくなれ。続きを読む

  投稿日：2010.01.16

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  ロビーＢ

  このレビューはネタバレを含みます

  今や絶滅寸前と言われるファンタジスタという種。
  しかし、現代サッカーにおいてもハメス・ロドリゲスやネイマール、メッシらがいるように、ファンタジスタという種は絶対に絶滅はしない。
  必ずその時代において確…かに息づいているのだ。
  
  欧州、そして日本においてファンタジスタとして一時代を築いた男、ドラガン・ストイコビッチ。
  そのファンタスティックなプレイスタイルは名古屋だけでなくすべてのＪリーグサポーターを魅了し、高い評価を得た。
  「まるで魔法のような」としか形容しようがないくらいに華麗で、鋭利さと柔らかさの両方を兼ね備えたプレイ。
  観る者すべての想像を軽々と超えていく最高のアタッカンテ。
  僕の言語能力ではピクシーのプレイを表現するのは不可能だ。
  
  そんな素晴らしいプレイヤーがそのキャリアの最盛期において、欧州選手権とワールドカップという、憧れ求め続けてきた舞台を奪われていた。
  彼らセルビア人がどれほどに翻弄され、どれほどに迫害され、どれほどに虐げられてきたか。
  
  ときにスポーツは政治を陵駕する。
  政治では到達し得ない領域にスポーツは易々と踏みこんでいくことができる。
  しかし政治はスポーツを越えない。
  それを支配することはあっても。
  
  世界中の人々の心を鷲づかみに出来るファンタジスタを、長きにわたって表舞台から抹殺し、同じ国に生まれた同胞達に殺し合いをさせたものの罪は重い。
  
  ドラガン・ストイコビッチ。
  彼のプレイを僕は決して忘れない。
  彼のプレイはセルビア人の「誇り」だった。
  そのことも絶対に忘れない。
  
  ピクシーは本書の中で、何度も「クロアチア人たちに憎しみはない」と語っている。
  戦争を始めてしまった以上、クロアチア人とセルビア人が対立するのは仕方がないことだが、内戦の前までは互いに憎しみなんていう感情はなかったはずだと彼は言う。
  強引な独立を求めたのも、それを武力によってとめようとしたのも、一部の人間たちの意志に過ぎない。
  にもかかわらず、最も苦しむことになるのは無辜の人たちなのだ。
  活躍の舞台を奪われたピクシーたち。
  そしてそのピクシーたちのプレイを楽しむ権利を奪われたフットボールのファンたち。
  国連の（アメリカの）制裁措置が間違っていたとは言わないが、もっと他のやり方があったかもしれないとも思う。
  
  バカげていない戦争なんて聞いたこともないが、内戦というのはその中でも群を抜いて馬鹿げていると思う。
  
  なぜ、同朋たちが殺し合いをしなければいけない？
  つい昨日まで同じゴールを目指してボールを繋いでいた仲間だったのに、なぜ同じピッチに立つことすらできなくなる？
  なぜ、クロアチア人とセルビア人のサポーターが、互いの代表チームの敗退を切に願うほどに憎しみ合わなくてはならない？
  誰もこんな問いに答えることはできないだろう。
  それほどこの戦争がバカげていたということだ。続きを読む

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  投稿日：2020.10.08

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