悪魔のささやき
加賀乙彦(著)
/集英社新書
作品情報
人は意識と無意識の間の、ふわふわとした心理状態にあるときに、犯罪を犯したり、自殺をしようとしたり、扇動されて一斉に同じ行動に走ってしまったりする。その実行への後押しをするのが、「自分ではない者の意志」のような力、すなわち「悪魔のささやき」である――。精神科医、心理学者、そして作家として半世紀以上にわたり日本人の心を見つめてきた著者が、戦前の軍国主義、六〇年代の学園闘争、オウム真理教事件、世間を震撼させた殺人事件など数々の実例をもとに、その正体を分析。拝金主義に翻弄され、想像を超えた凶悪な犯罪が次々と起きる現代日本の危うい状況に、警鐘を鳴らす。【目次】はじめに 二十一世紀の日本を蝕む悪魔のささやき/第一章 悪魔はいかにして人を惑わすか/第二章 日本人はなぜ悪魔のささやきに弱いのか/第三章 人間を嘲笑い破滅させる、ささやきの正体/第四章 豊かさを餌に太り続ける現代の悪魔/第五章 いかにして悪魔のささやきを避けるか/おわりに
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商品情報
- シリーズ
- 悪魔のささやき
- 著者
- 加賀乙彦
- 出版社
- 集英社
- 掲載誌・レーベル
- 集英社新書
- 書籍発売日
- 2006.08.17
- Reader Store発売日
- 2014.07.04
- ファイルサイズ
- 0.3MB
- ページ数
- 224ページ
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この作品のレビュー
平均 3.9 (37件のレビュー)
-
精神科医、犯罪学者でもある著者が、医務部技官として勤務した東京拘置所で囚人たちと接して、犯罪を起こしたその時の心理を表現した言葉として多かったのが
「あの時は、悪魔がささやいたんです」
「どうしてあ…んなことをしたのか、自分でもわからない。悪魔にささやかれたとしか思えない」
その「悪魔のささやき」とは何なのか?
高学歴で将来を嘱望されていた人たちが、オウム真理教のようなマインドコントロールを受けるのはなぜか?
家族を簡単に殺してしまうのはなぜか?
見知らぬ人と集団自殺するのはなぜか?
自殺する勇気のない人が、犯罪を起こすことによって死刑になろうとするのはなぜか?
昨今は理解に苦しむ事件も多く、「どうして?」「なぜ?」と沢山の疑問符がついたまま。
「悪魔のささやき」とは何なのか。
「悪魔にささやかれ」ないようにするためにはどうしたら良いのか。
そんなヒントを与えてくれる本です。続きを読む投稿日:2019.02.17
・加賀乙彦も留学中(仏)に、ひどく心を閉ざしていた時期があった
「自分がたった一人の黄色人種であることを突きつけられたような気がしてしまう。パリの医者のように外国人を小馬鹿にしたりしない朴訥で人のいい…人物ばかりだと思っていた同僚たちとのあいだに、心底からは打ち解けられぬ冷ややかな者があるように感じられる。とにかく気持ちが沈んで、毎日が憂うつで、身体もだるくてしょうがないのです。・・・こうして留学までしたけれど、おまえは本当に犯罪学をやりたいのか?やがて、死を願う気持ちは次第に薄れて行きました。日本語の本を読み、日本語で考えるのを自分に許してからのことです。・・・ネイティブな言語という者がいかに人間を元気づけてくれるか、それは驚くほどでした」(pp.46-7)
・肉体を介したコミュニケーションで、前頭前野を刺激!(p.162)
「お互いの肉体が発する表情や雰囲気、手振りや身振りも非常に大切な者なのです。・・・前頭前野は人間だけが特別に発達している部分で、考える力、記憶力、コミュニケーション力、自制力、自発性などに大きく関わっている」
・現代人は悪魔に「さあどうぞ、お入りください」と言っている(p.179)
自分の目の前、身の周りだけに関心をとどめてしまわず、視界を360°に広げ、できるだけ遠くまで見はるかすこと。それが悪魔を避ける方法、その一なのです。
→現代人は誰にでも悪魔に囁かれる可能性を持っている。続きを読む投稿日:2023.07.17
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