この作品のレビュー
平均 3.6 (14件のレビュー)
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未開人のうちに、かつての自分の野蛮さの鏡像を見てしまい、自分もまたそこに引き戻されるのではないかという不安に襲われる文明人は、彼らを放っておくことができない。
仲正昌樹『日本とドイツ 二つの戦後思想』…p149
日本の戦後思想は、マルクス主義の人々(とマルクスを独自に解釈して実践する左派の人々)が、その時代ごとに「何を考えてどう行動した(しようとした)のか」が中心。この点が詳しく書いていないと、文字通り何が書かれているのかわからないのだが、本書はその点をドイツのそれと比較して読み進められるので読みやすい。
言われてみると過去、新聞では「マルクスっぽい理想郷」というものを共通の概念として持っている、その理想郷に向かって進むことを「前提」として書かれていたようにも見える。
それら新聞や本書から読み取れるのは、なんとなく手に入れた民主主義のもとで、なんとなく自由で、なんとなく社会主義/共産主義っぽい理想郷を目指す日本のうやむやさ。逆に、理性における理想をとことんまで突き詰めた結果、人種絶滅という結果に至った後のドイツの厳格さとの対比が読みどころ。
現在、思想における二国間の共通点は思ったよりも少ないようだ。思想に関しては日本はドイツに対して莫大な貿易赤字を出しているのだが、本書にある感じだと、せっかく輸入してもつまみ食いする程度らしい。ただしお互いに「戦前と戦中に全体を覆っていた思想は全否定する」という点だけが共通しているように読める。この全否定の状態から、だれかが一歩踏み出そうとすると何かしら激しい反応が起こる点も共通している。
この「うやむや感」と「厳格さ」という極端に異なる状態にありながら、共通点が「全否定」と「全否定への否定は許さない」というところが、やはり過去に暴走を許した原因か。
日本においては、こうした「全否定する、しない」「マルクスっぽい理想郷を目指す、目指さない」の二項対立を中心。当然ながらこの前提が、なんでそんな前提になったのかよくわからないというか、そもそも自由主義と民主主義の国で、何でマルクスっぽい理想を目指すのか意味不明というか、なんでそんな他人の理想に付き合わないといけないんだよ、どっちでもいいじゃん的な現代の日本で、左派の発言力というか説得力などの全てが失速して復活の兆しが見えない原因にも思えなくもない。
続きの『戦前思想』も手に入れてあるので、その辺りを気にしながら読んでみる。続きを読む投稿日:2018.01.30
日独戦後思想を戦争責任や国家といった観点から比較概観している。第二次大戦後、同じ敗戦国としてその後の国家形成はしばしば比較されがちだが、もちろん類似点はあるものの思想・イデオロギーの観点から比較すると…違いもたくさん見えてきて面白い。自然な結論にはなってしまうが、やはりドイツのナチズム・ホロコーストは戦後に徹底的な批判検証と自省がなされていることが大きな違いを生み出しているように感じた。続きを読む
投稿日:2022.04.24
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